AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

Frank C. Dukepoo:ホピの遺伝学者

私たち(インディアン)にとって、私たちのどの部分も神聖です。科学者は、それは単にDNAだと言います。インディアンにとって、それは単にDNAではありません。それは、一人の人間の一部です。それは、深い宗教的意義をもつ神聖なものなのです。それは、一人の人間の本質の一部なのです。
“To us (Indians), any part of ourselves is sacred. Scientists say it’s just DNA. For an Indian, it is not just DNA. It is a part of a person. It is sacred with deep religious significance. It is part of the essence of a person.”

 これは、「非凡なアメリカ人」シリーズの中の『16人の非凡なネイティヴ アメリカン』(16 Extraordinary Native Americans)(*)というアメリカの6年生から12年生(概ね、中学生)の生徒向けの副読本(「国定」の教科書はない)に取り上げられているホピの遺伝学者、Frank C. Dukepoo(フランク C. デュークプー)の言葉である。

 Dukepooは、科学の分野で博士号を取得した最初のホピ インディアンであり、アメリカ先住民として最初の遺伝学者であった。彼が1999年に他界した時、科学分野で博士号を有していたインディアンは、米国全土で彼を含めて6人しかいなかった。彼は、アメリカ先住民の間の遺伝子異常から起こる疾患に関する貴重な研究で知られているが、同じく、インディアンの教育向上のための業績でも知られている。さらに、彼は、先住民族の権利のためにも闘った。

 Dukepooは、1943年に、ホピ インディアンの保留地にあるファースト メサという村で、13人の子どもの一人として生まれた。彼のホピ名はPumatuhye Tsi Dukpuhで、Pumatuhyeは「芽生え」とか「初成り」、Tsi Dukpuはホピのスネークダンサーが持ち運ぶ袋を意味している。村で育ったDukepooは、ホピの生活様式を身につけ、父親の農作業を手伝う中で農業について学んだ。畑で学んだことが、彼が科学者になる土台を作ったと、彼は後に語っている。

 Dukepooは、フェニックスの近くにある白人の小学校に通ったが、誰も彼の名前を正しく発音することができないため、Frank C. Dukepooという名前が与えられた。体が小さかった彼は、しばしばいじめの対象とされた。しかし、ホピの生き方の一つは「平和」であることを知るDukepooは、最良の策は学業でいじめっ子たちに勝ることだと決心した。

 彼は、高校で優秀な成績を修め、5つの奨学金をもらってアリゾナ大学に入学した。しかし、最初の学期で遊びすぎた彼の成績はDとFばかりで、すべての奨学金を失ってしまった。彼は、床掃除の仕事を見つけて大学での勉学を続けた。彼の成績は、すべてAになるまでに向上して大学を卒業し、遺伝子研究に重点を置いて動物学でアリゾナ州立大学から1973年に博士号を取得した。

 Dukepooの主な研究分野は先天性色素欠乏症(albinism)で、この病気は、白人(1万人に1人)よりもアフリカ系アメリカ人、ヒスパニックス、ネイティヴ アメリカン(227人のホピに1人)の間に多いとされている。Dukepooの研究の焦点は、この病気の原因となる遺伝子を見つけることであった。「ホピの間の先天性色素欠乏症」という彼の研究は、遺伝学の古典的論文と見られている。彼は、自分の研究に関する2本の映画も作っている。

 こうして、遺伝子学者であったDukepooは、アメリカ先住民族のようなさまざまな人々の集団に対する遺伝子研究の影響を理解する独特な立場に身を置くことになった。彼は、遺伝子研究の対象とされている人々の権利のために声を上げるようになった。

 Dukepooは、世界中の人々から遺伝子を集めてデータベースを作成するヒトゲノム多様性プロジェクト(HGDP)で多くの仕事をしていた。多くのアメリカ先住民たちが、プロジェクトの対象になることに不安を抱いていた。Dukepooは、彼らの代弁者となり、発言した。

私たち(インディアン)にとって、私たちのどの部分も神聖です。科学者は、それは単にDNAだと言います。インディアンにとって、それは単にDNAではありません。それは、一人の人間の一部です。それは、深い宗教的意義をもつ神聖なものなのです。それは、一人の人間の本質の一部なのです。

 Dukepooは、科学者のためにブックレットを書き、HGDPのような科学研究で対象となるアメリカ先住民たちに生じ得る不安を取り上げた。(**)

 以下、彼のインディアン教育に対する貢献については省略。

(*)http://walch.com/16-Extraordinary-Native-Americans.html
(**)http://www.walch.com/samplepages/062824.pdf#search='Dukepoo'


転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/20110617/1308317840

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