AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

「蛮行」と「議員の力、政治の責任」

 「アイヌ民族情報センター活動誌」(http://pub.ne.jp/ORORON/)の6月20日の記事に「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」総会のようすが紹介されている。「あったそうな!」というタイトル通り、新聞ネタにもならなかったのかな?それに、この超党派の議員の会はこの1年半ほど、どのような活動をしていたのだろう。今週24日には、アイヌ政策推進会議が報告をまとめる最終会合を開くそうな!

 上の記事に紹介されているURLを辿って浅野貴博衆議院議員のブログを訪問し、6月16日の記事、「アイヌ民族の名誉と尊厳の確立を。」(http://ameblo.jp/asanotakahiro/entry-10925181544.html)を読ませて戴いた。

 「議員の会」の総会―とても少人数の会のようである―で、北海道アイヌ協会の加藤理事長が「どうか先祖の名誉、尊厳を返してください」と訴えたようだが、浅野議員は、このように書いておられる。

 明治維新以後、和人の研究者が、アイヌの人骨を採集し、研究対象としていたことがありました。アイヌの方の合意を得て人骨を戴いた事例もゼロではないのでしょうが、その多くは、勝手に持ち去ったり、ひどい事例になると、遺族の反対を押し切り、無理やり墓を掘り起したこともあったそうです。


 にわかに信じられない話です。しかし、確かにそんな蛮行がなされたのです。

 「そうです」という書き方もそうであるが、それ以上に、すべてが過去形で書かれていることが気にかかる。このブログでも書いてきたことであるし、アイヌ政策推進会議でも公にされていることでもあるが、今も「和人の研究者が、アイヌの人骨を・・・研究対象」としているし、将来にわたっても「研究対象」とさせて欲しいと述べているのである。おまけに、北海道アイヌ協会もそれを「了解」していると。

 「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」の総会では「『民族共生の象徴となる空間』の早期建設」が主な課題の一つとして話し合われたようであるが、そこ(「空間」の施設)での「人骨研究」についてはどのような意見が交わされたのであろう。加藤理事長の訴えは紹介されているが、「議員の会」の話し合いの内容自体は公開されていないのが非常に残念である。

 過去の「蛮行」の真相解明も重要であるが、それが現在と将来につながっている部分の解明も同じく重要であろう。

 文科省は、「そもそも遺骨がどこにあるのかを特定することも困難としているよう」だとのこと。(書き方から、浅野議員自身が確認したのではなさそうである。)文科省の言い分も、薬害エイズ問題その他を引くまでもなく、官僚機構の常套手段のようで怪しいものである。全貌ではないとしても、北海道アイヌ協会は、北海道内だけでなく、本州の大学にある遺骨に関しても情報を把握しているようであるから、「そこは議連の力[があるのなら―D. X.]、政治の責任で」独立調査委員会でも設置して、判明している大学からだけでも調査を開始することだって出来るのではないだろうか。

 いずれにしても、「盗掘という『蛮行』によって手に入れた遺骨を、その損傷も伴う方法でDNA解析を行い、研究に利用することは倫理指針に違反しないのか」と、「議員の会」のそれぞれの党が国会で「存在意義をかけ」て文部科学省厚生労働省の見解を質してくれないだろうかな〜。わが輩の1票と交換ではダメかな。(ここでセントメリーさんの歌が耳の奥で響きだす。)
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 厚生労働省の「医学研究に係る厚生労働省の指針一覧」というサイトに「『疫学研究に関する倫理指針』についてのQ&A」(http://www.mhlw.go.jp/general/seido/kousei/i-kenkyu/ekigaku/0503qa.html)というページがある。数日前、これを読んでいて、次のようなQ&Aに出くわした。

Q4−5  入院時や手術時に、具体的な研究内容を記載しないまま、「診療データや摘出した臓器、検体などを今後の研究に用いる場合があります」と説明し、同意を得た資料の研究に利用することは可能ですか。


A4−5  本指針では、研究対象者に対して、研究の目的、意義及び方法、期間についてインフォームド・コンセントを取得すること、また、個人情報を取扱う場合には、その利用の目的をできるかぎり特定しなければならないことを定めています。したがって、具体的な研究内容等を示さないまま、研究に利用する場合があると説明して同意を得たとしても、特定の研究に当該データ等を用いることに対して同意を得たことにはなりません。
 (以下、省略。)

取得の状況は異なるが、色付けした部分は、80年代にアイヌ民族から採取されたという血液試料の研究利用にも当てはまるのではないかな?


転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/20110622/1308751924

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