AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

さらに濁され続けるお茶――アイヌ政策推進作業部会

 政府の「アイヌ政策推進会議」(座長=枝野幸男官房長官)に政策推進作業部会が新たにでき、31日に東京都内で初会合があった。

 北大アイヌ・先住民研究センター長の常本照樹氏が部会長で、今までの二つの作業部会の委員ら計10人で構成。2カ月に1回の割合で議論する方針だ。

アイヌ政策推進部会が初会合」(2011年09月01日)http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000001109010007

 いくら世がお笑いブームとはいえ、これはあまりに滑稽すぎはしないか。まさに、オーウェルの世界だ。

 しかし、それから二、三日して、ミューリエルは「七戒」を自分で読んでみて、その箇条の中で、自分たちの思い違いしていたものが、もうひとつあったのに気がついた。彼らは、[会議の名はアイヌ政策推進会議]だと思っていたが、実は、言葉を[一つ勘違いして]いたのだった。ほんとの[名称は、アイヌ政策推進作業部会]だったのだ。
ジョージ・オーウェル『動物農場』、平成13年、角川書店、p. 116から[ ]部分を改変。)

 「アイヌ政策推進会議の開催について」(平成23年2月4日 内閣総理大臣決裁、平成23年6月1日 一部改正)<http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainusuishin/konkyo.pdf>には、次のように書かれている。

2 構成
会議の構成は、次のとおりとする。ただし、座長は、必要があると認めるときは、構成員を追加し、又は関係者に出席を求めることができる。
座 長 内閣官房長官
座長代理 座長が指名する者
構成員 座長が指名する有識者


3 作業部会
会議は、必要に応じ、作業部会を開催することができる。作業部会の構成員は、座長が指名する。

 この「設置根拠」は、また一部(施行日)が改定されるのだろうが、枝野前官房長官は、職務の最後の日々に作業部会構成員を指名したということか。それも形式的で、実際には他の官僚か「有識者」の誰かが行ったのだろうが。さて、2ヶ月先の第2回会合には、現官房長官は出ることができるのだろうか。

 それにしても、なぜアイヌ政策推進会議(仮に「本体」と呼ぶ)の下にアイヌ政策推進作業部会を置かねばならないのか。わが輩は本体のあり方を支持しているものではないが、それでも、なぜ本体で政策を検討しないのかと問わざるを得ない。今までの作業部会のメンバーを活用したいのであれば、本体の構成員に座長が加えることができるではないか。まさか、彼らが「有識者」ではないということでもなかろう。

 それに、本体の構成員は、何をするために名を連ねているのか。「ただ名前を貸して下されば良いのです」とでも依頼されて同意しているのだろうか。それで本人たちの「誇り」は許すのか――そう言えば、この会議は「アイヌの人々の誇り」を論じている場だった! 本体メンバーは、名前だけなら辞任した方が良いのではないか?

 「朝日」の記事は、このような疑問に答えてはくれないが、その一方でまた、相も変わらず、まことしやかに「個人認定」が先決問題のように書いている。ろくに具体的な政策も出て来ない状況で、「アイヌ政策の遅滞が指摘される中、最も期待されるのは・・・・・・施策を実現するための議論だ」と前置きしておきながら。

 個人認定は人権上の配慮や、その手法の難しさもあり、容易に結論は出ない。法整備も必要になるかもしれない。だからといって、個人認定の議論をおざなりにしては、「施策の幅」を最初から狭めて議論することにつながりかねない。

 「容易に結論は出ない」から、いつまでも課題を先送りする口実に使われるであろう。それを「おざなりにしては、『施策の幅』を最初から狭め[る]」ことになるのか、わが輩は、頭が悪くて理解できない。「先住民族の権利宣言」に書かれてあることの方が、政府が推進しようとしている政策よりも、はるかに幅広いと思うのだが、「個人認定」が先決問題とは、どこにも書いてなかろう。

その場合、必要な施策と最優先にするべき施策を整理し、政府などに提言することも必要かもしれない。

 余計なお世話だなと思うが、「政府など」の「など」は、どこを意味(示唆)しているのだろうか。

 アイヌ施策は全国展開を目標にしている。今後、「発言力」を付ける意味でも、道内外に分散しているアイヌ民族の組織を一本化することも求められる。

 今後、「発言力」を付ける意味でも、道内外に分散しているマスメディア(某政党でもよいが)の組織と声を一本化することも求められる。こう考えてみれば、毎度のように出される、その提言の意味合いも、自ずと理解されよう。(いや、メディアは、既にどこもかしこも同じような内容の記事を載せているか。)


転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/20110904/1315063608

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