AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

この矛盾!

 それにしても、出ませんねー。プルゼニドにしようか、マグミットにしようか、などと便秘の話ではない。議事概要のこと。前回、議事概要に言及した後で、ある方からこのようなメールを戴いた。許可を得て、引用する。

震災関係の重要な議事録がないとされてそのまま通る国ですから、1ヶ月遅れぐらいは大目に見てあげましょう。ついでに内容に文句をいうのも担当者のやる気をそぐので控えましょう(笑)。

 1ヶ月は、とっくに過ぎてしまったのだが・・・。

 今夜、改めて、「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会(第5回)議事概要」を読んだ。前にも引用したことのある部分だが、もう一度引用する。

札幌医科大学のイチャルパ、供養祭と言いますが、遺骨の返還、更にはDNAのレベルでのアイヌ古人骨による研究申し入れについての話し合いなど、取組は進めてきているところです。これらの取組は、不当な方法で収集されたアイヌの人骨の返還などに関わる先住民族の権利に関する国連宣言第12条の具体的な取組でもあると思っています。この取組の更なる推進と、東大や京大などの国内外の大学他に分散し、保管されているアイヌの人骨について、先住民族の先祖の尊厳回復と今後の研究、アイヌ文化、歴史の理解促進、啓発の意味合いを込めて、象徴的な施設を早急に国民の理解を得て国の責任のもとに設置していただければありがたいと思っています。
 その上で、アイヌの経済的、社会的状況の改善に関する総合的施策立案のため、日本政府も加入している人種差別撤廃条約の国内実現も見据えて、その報告義務にもあるように、北海道の調査だけでなく、国が主体となって、生活状況の実態調査を早急に取り組んでいくことをお願いしたいと思っております。(6ページ)

 青字部分は以前、研究者側(篠田氏)の考えだと思ったが、その後を良く読むと、北海道アイヌ協会代表者の発言のようでもある。過去の言及記事(2011-06-09=http://d.hatena.ne.jp/Don_Xuixote/20110609/1307550168と2011-02-20=http://d.hatena.ne.jp/Don_Xuixote/20110220/1298181531)に訂正とお詫びを追記することにする。やはり、議事概要には発言者名も記して欲しいものである。早とちりはわが輩の責任である。あらためて、お詫び申し上げたい。
 まさか、第6回会合でのこの発言も・・・同じであろうか?

先住民族の人骨の慰霊と研究の両立は、世界では例がない取り組みであり、我が国では可能ではないか。慰霊が主であるが、人骨研究もアイヌにとって如何に重要であるかを時間をかけて説明していきたい。それまでの間、将来の研究の可能性を含め、一カ所できちんと管理していくことが重要。

 話を元に戻したいが、いずれにしても、「遺骨問題」こそ人種差別撤廃条約との関連でも取り上げるべき問題だと思うのである。だが、条約委員会で活動しているNGOも、「遺骨問題」にはてんで関心がないみたいだし・・・。

 こちらは、篠田氏の話の一部である。

 ただ残念なことは、アイヌ民族のDNAは現在利用できるものが51名分しかありません。ですから、これも1つの村から採取されたDNAと言われていますので、果たしてこれがアイヌの集団全体の遺伝的な構成を表しているかどうかは分かりませんが、それを見てもこの2つは大きく違っているということが分かります。(4ページ)

 このDNAは、前に書いたことのある、血液から得たものなのだろう。「51」――イチロー選手の背番号だ、覚え易い!――という数字は見過ごしていた。この標本が、恐らく、その後の研究で「転用」されているものなのであろう。(http://d.hatena.ne.jp/Don_Xuixote/20110527

 この後(5ページ)、「反省」の話が出てくる。

 資料1に主なアイヌ人骨がどのように集められたかということを表にしました。古くは明治時代から集められた人骨もあります。大正時代あるいは昭和の初期、あるいは戦後に随分沢山の人骨が集められています。このような先達が集めた人骨の研究によって、私たちはアイヌの成立あるいはアイヌの集団の地域差といったものを見ることができたわけですが、決定的に本土と集め方が違っていたのは、本土の日本ではそこの人々自体に収集の目的、ないしはその意義を説明して人骨を集めましたが、残念ながらアイヌ人骨の中にはそのような手順を経ずに集めた人骨がかなり混ざっています。これは人類学者としても率直に反省しなければいけない点だというふうに思っていますが、このような人骨の研究、特にDNAの研究などは、今後更に研究が進めば、より多くのデータを得る可能性があります。ですから、このような人骨も合わせて、慰霊とそれから研究というものの両方ができるような設備が整って、今後アイヌ研究あるいは日本人全体の成り立ちの研究といったものが更に進むといったことを私どもは願っております。

血液サンプルの収集に関しては、「そこの人々自体に収集の目的、ないしはその意義を説明して」集められたのであろうか。その文書は、きちんと保管されているのであろうか。

 北海道大学が所蔵されているアイヌ人骨は一桁違う量ですので、この研究が自由にできるようになれば、非常にまた新しいことが分かってくると思います。ぜひ、アイヌの方々との間で研究協力に関する話し合いなどを行いながら、研究を進められていくような体制ができればと思います。(7ページ)

 「慰霊と研究」施設とは「研究と研究」施設という、オーウェリアン ワールドの言葉みたいだ。文部科学省の調査で判明するアイヌの遺骨も全部そこへという狙いではありますまいな。


転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/20120306/1330966584

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