AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

「大間違い」の遺骨返還の展開――アメリカの事例(+追記)

 推進会議の遺骨研究推進派は、遺骨の再埋葬に反対する理由を次のように挙げる。

◎アメリカのように遺骨を再埋葬してしまえば、100年後に先住民族のルーツが歴史の中で消えていくおそれさえある。アメリカの例は、現状のみに目を奪われて将来について考えないことが問題であると思う。アイヌ人骨の研究成果が、アイヌの人たちや国民に還元されるために、50年、100年保管が可能な状態が必要。これはアイヌ協会と同じ考え方。

 これは、アイヌ政策推進会議の第10回「民族共生の象徴となる空間作業部会」(2011年1月27日)の議事概要の一節であり、このブログでも前に取り上げたことがある。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainusuishin/shuchou-kukan/dai10/gijigaiyou.pdf
http://d.hatena.ne.jp/Don_Xuixote/20110218/1297961440

 URLについて一度指摘した記憶があるから、もしかしたら同じ事を2回書くことになるのかもしれないが、上のURLのshuchou-kukanは「無謬の官僚」によるミスだろうな。「しゅちょう」を入力してみると、「主張、首長、主調、主潮、腫脹、主長」と来て、次の変換候補は「酋長」である!(正確には「しゅうちょう」だろうけど。)

 余談はこの辺にして、推進作業部会のメンバーである篠田氏は講演でも、「『アメリカ・オーストラリア型の解決法』として、遺骨研究の禁止と埋め戻していることを紹介し、しかし、それは誤っていると指摘。研究の大切さを強調」しているようである。(http://pub.ne.jp/ORORON/?entry_id=3978115

 さて、以下は、篠田氏や人骨研究者に言わせれば、大間違いの展開ということになるのであろう。

 1月17日付けのThe Washington Post 電子版のAP電記事が、ネイティヴアメリカン墳墓保護・返還法制定から20年となった2010年に出された新たな連邦規則によってアメリカの大学や研究所が保有する、特定のトライブに帰属することが断定されていない「文化的に帰属先不明」の遺骨に関して行動を取ることを促されていると報じている。全米で推定16万体の遺骨に影響が及ぶものと見られている。

 「人間にこういうことをしないでしょ。遺骨がどれほど長い間そこに存在していようとかまいません。遺骨を尊重しなさい。」とクーマヤイ ネーション(Kumeyaay Nation)の文化返還委員会のルイス グァサック(Louis Guassac)さんが記者に語っている。クーマヤイ ネーションは、同ネーションの領土で出土し、現在カリフォルニア大学サンディエゴ校に保管されている1万年近く昔の遺骨を、近く再埋葬できることになりそうである。

 ハーヴァード大学のピーボディ博物館は新規則に対応するためにスタッフを追加雇用したと、同博物館の返還担当コーディネーターが記者に語った。ミシガン大学は、1,580体の「文化的に特定不能」の先祖の遺骨の大半を13のトライブに返還する計画を立てている。

“Tribes retrieving ancestral remains”
By Sudhin Thanawala, Published: January 17
http://www.washingtonpost.com/politics/tribes-retrieving-ancestral-remains/2012/01/15/gIQAmQFG5P_story.html

◎追記
 上の記事中のUCバークリー校の博物館名は、the Phoebe A. Hearst Museum of Archaeologyではなく、the Phoebe A. Hearst Museum of Anthropologyが正しい。APの記事の誤報である。
http://www.washingtonpost.com/national/correction-human-remains-fight-story/2012/01/20/gIQAklBBEQ_story.html


転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/20120118/1326828480

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