AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

フランス政府、20人分のマオリの頭部をニュージーランドに返還

 ビッグニュースが入って来た!

 特にWashington Postに定めて読んでいるわけではないのだが、また同紙のAP電記事がビッグニュースを報じている。

 現地時間の23日、フランス政府が20人のマオリの頭部/頭骨をニュージーランド政府に返還した。20の頭部/頭骨はフランス各地の博物館に保有されていたもので、2010年に制定された法律が返還への道を開いた。

 ニュージーランド政府が一旦ニュージーランドへ持ち帰った後、マオリの関係トライブと協同して最終的な戻り先を決定する。

 詳細は、後日。

“France returns 20 Maori heads to New Zealand in hopes of properly respecting the dead”
By Associated Press, Published: January 23
http://www.washingtonpost.com/world/europe/france-returns-20-maori-heads-to-new-zealand-in-hopes-of-properly-respecting-the-dead/2012/01/23/gIQAvXOdKQ_story.html

◎追記(2012/01/25, 0:15 a.m.):

 昨晩はゆっくり考える時間がなかったので「頭部/頭骨」という曖昧な書き方をしたが、わが輩は返還された頭部の状態を実際に見たことはないし、公開されていないから、それがどのような状態で保存されていたものかはわからない。つまり、ミイラ化したものなのか、頭蓋骨だけなのか、記事には“heads”とか“remains”と述べられているだけである。刺青が残っているようでもあるから皮膚も残っているのではないかと考えられる、戦利品としての話から剥製にされた頭部であろうと推察する。いずれにしても、“remains”には骨のみならず、例えば頭髪や皮膚その他の人体組織も含まれる。わかりやすく言えば、(人間の遺骸の)「残された部分」ということになる。以下、headsは「頭部」として訳出する。


パリ発――その種のものとしては過去最大のものとなる帰還の前段階として、ニュージーランド政府当局者が23日の月曜日に、文化的好奇心の対象としていくつかの博物館に収蔵されていたマオリ民族の20人の先祖の頭部を受け取った。

フランス政府のフレデリック ミッテラン文化相とニュージーランド大使が、20個の頭部が箱に収められたパリのQuai Branly博物館で厳粛な儀式を取り仕切った。一回の返還としては最多のマオリの頭部の返還であるとニュージーランド大使館は述べた。

2003年以来、この南太平洋の国は、世界中の博物館からマオリの頭部と身体の遺骨(遺骸)を再収集する野心的な計画に取り組んできた。しかし、同計画は、大きな障害にぶつかっていた。

フランスは長い間、そのような文化財の返還に抵抗したが、2010年に制定された法律がマオリの頭部の返還への道を整えた。返還された頭部は19世紀という古い時代に取得されたものであるが、一つは1999年という近年に取得されたものである。

フランスの博物館によれば、マオリの頭部の中には、複雑で難解な刺青が施されており、トライブ間の戦勝記念品として伝統的に保存されていたものもある。しかし、一旦西洋人が頭部と交換に珍重される物品を提供し始めると、男たちは、ただ単にその刺青のために殺されるという危険にさらされるようになった。

ニュージーランドに渡された頭部は、月曜日、公開されなかった。過去、フランスの博物館、個人的な収集家、そして人類学研究者たちが、頭部を保存し、保管していた。

身体の部分を取り戻すことの背景には、それらがニュージーランドを通じて故郷のトライブに戻され、そこで長老たちがそれらを悼み、そして彼らが望めば、適切な再埋葬に付すことができるという考えがある。

「それらは、結局のところ、人間の遺骸であり、マオリの文化においては、それは公開展示されるべきではないのです」と、ニュージーランドの返還助言委員会の議長を務める大学教授のPou Temara氏は述べた。
ニュージーランド大使館広報官のBridget Geeさんは、月曜日に返された頭部は、何年間も公開展示されていなかったと述べた。

遺骨(遺骸)の大半はすぐに帰属が明らかになるものではなく、これまでほんのわずかな割合の遺骨がそれぞれの故郷のトライブに返還されてきた。マオリトライブは、自分たちのものではない遺骨はいかなるものでも受け取ることを嫌がる。500人以上の人間の頭部と身体部分が、ウェリントンのTe Papa国立博物館に保管されたままである。

頭部を保存する慣行は、亡くなった先祖を記憶する一つの方法としてマオリによって始められた。ヨーロッパ人が到達した後の数十年間で、頭部は好奇心の対象となり、高い需要の交易品となり、マオリにその生産レベルを取り決めるように駆り立てることとなった。


◎追記2:本ブログの読者が『頭骨の文化史』という本から写真を送って下さった。やはり、「頭部」である。


転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/20120124/1327341347

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