AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

Wendy Rose(ウェンディ ロゥズ), BONE DANCE(『骨踊り』or『骨のダンス』)

 Wendy Rose(ウェンディ ロゥズ)さんを、ご存知だろうか。

 彼女は、アメリカインディアン女性の詩人であり、文化人類学者でもある。上の写真は、彼女のBone Dance: New and Selected Poems, 1965-1993 (Tucson & London: University of Arizona Press, 1994)という詩集の裏表紙を写真に撮って掲載したものであるが、そこの解説には次のように記されている。

私は、しばしば「抗議詩人(protest poet)」とみられてきました。そのようにすんなりと分類されることに私の中の何かが少しばかり顔をしかめるのですが、概してそれは当たっています。


 数ある彼女の詩集の中で、Bone Danceは彼女の主要作品を集めたものであり、56編の詩を収めている。56編は、大地の観察から、大地の上での人の居場所とアイデンティティの模索まで、広くカバーしている。そして、全56編を読んで感じたことの一つに、作品の中に何度となく、“forefathers(祖先)”、“the dead(死者)”、“death(死)”、“bones(骨)”、“sing(歌う)”、“songs(歌)”という言葉が繰り返し出てくることである。

 Bone Danceの “Introduction”でRoseは、自分の生い立ちと近しい人々から環境の変化とともに変化する自分の思考や立ち位置の変化などを語りながら、その時々に書かれた詩を紹介している。

 彼女の母方の祖母は、20世紀初頭にカリフォルニア州のマリポサという郡を出て、バークリーに移り住み、そこでイギリス人の夫と家庭をもった。Roseは、この「移民と土着双方の」祖先の一部と非常に強いつながりを感じている(p. xi)。

 Roseは、遺骨に関する詩をいくつも書いているが、その中の一つに、“Lab Genesis”というのがある。昨晩検索したら、日本の某大学に、小中学生向けの理科のオリエンテーション プログラムにその名前をつけているところがあった。「最初の実験」あるいは「実験の発端/起源」というところであろうか。この詩について、Roseは、次のように書いている。この詩は、

1960年代半ばの、私の大学での最初の数年に焦点を当てています。この時期、私の考古学の授業が危機の原因となりました。は、コテを感じることができ、実験室の紙袋の中で自分の骨が窒息するのを感じることができ、博物館の展示の中で死滅してしまうことができるように思えます。発掘された窪みの中を上からじっと見下ろすのではなく、私は、そのかわりに、下から考古学者を睨み付けていました。(イタリックの強調はオリジナル、赤字部分の強調は、D.X.による。)

 これが、その詩である(Bone Dance, p. 6)。つたない翻訳を付ける(下書きの表示窓では、タブはきれいに揃っているのだが!)

"Lab Genesis"        ラボ ジェネシス

there will be        存在しないだろう
no archaology        考古学は
to my bones        私の骨には


my cells will        私の細胞は
not forget        忘れないだろう
how to live        生きる術[すべ]を
how to be born        生まれる術を
how to be still singing        なおも歌い続ける術を
when they feel        細胞が、死という
the new knowledge         新しい知識を
death is   感じるとるときに


life is dying        生命は瞬間、瞬間に
each moment        死につつある
learning to live   瞬間、瞬間に生きることを
each moment        学びながら
in & out   内と外で
like bird breath   鳥の呼吸のように
like toad's tongue   ヒキガエルの舌のように
like making love   愛し合うことのように


When I die        私が死ぬとき
I ask only        一つだけお願いする
to be thrown        放り投げてと
into the sun.        太陽の中へ。

 昨年、この詩を読みながら考えたことがある。「慰霊と研究」施設に遺骨を移し、「人骨」研究者たちがアイヌの研究者を育成するということだ。“Wendy Rose”は、現れるだろうか。

○象徴空間の中に担い手育成機能を置くとすると、最善の教材が身近にあることの合理性とともに、文化復興に向けてアイヌが学んでいる様子を国民に見せることができるという利点がある。

<第10回「民族共生の象徴となる空間作業部会」(2011年1月27日)の議事概要>(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainusuishin/shuchou-kukan/dai10/gijigaiyou.pdf)

転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/20120314/1331650957

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