AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

日豪を相手に?

 いくつかの素朴な疑問である。

 遺骨に関しては、「声」として広く社会に届かなかったにしても、かなり前から問題提起はされていた。だが、アイヌ民族からの血液採取(ABO式血液型の研究から最近の遺伝子研究まで)に関しては、ほとんど問題が認識されずにきたと言ってもよいのではないだろうか。なぜか、という問いに答えるには、さまざまな要因を分析する必要があろう。それをここで今からやるつもりはない。

 わが輩は、5月21日の「Where have all the blood samples gone?(血液標本はどこへ行った?)」に書いたことが、その後も気になっている。http://d.hatena.ne.jp/Don_Xuixote/20120521/1337534925

 北大が、「実際に血液採取を行ったのは、オーストラリア メルボルン コモンウエルス血清研究所の研究者で、北大は協力したにすぎない」と言うのであれば、CSLからの協力依頼、それに対する北大からの回答、等々のやり取りの記録があるはずである。なければならないし、残しておかねばならない記録の類いであろう。「その研究の結果・・・を一切余すところなく公開すること」という海馬沢氏の要求は、今日まで応えられていない。
f:id:Don_Xuixote:20120614002010j:plain

 CSLによる血液採取は、いつ行われたのだろうか。1970年代だろうか。当時の研究倫理水準は今日に比べて格段に低かったとはいえ――とは言うものの、日本の遺伝人類学者たちが最近も当時と大して変わらないやり方で、日本国内だけでなく、海外の先住民族からも血液などを採取して回っていることは、彼ら自身が著している著書からも窺える――CSLの血液採取は、倫理的だけでなく法的な問題も含んでいるようだ。

 遺伝子研究と先住民族の権利問題の双方に精通したアメリカ人の法学者とのやり取りの中でこの件に言及すると、このような反応が返ってきた。時効の問題などについては、まだ深く話してはいないが。

 血液を採取されたアイヌは、その標本に関してオーストラリア政府に対して訴訟を起こせるだろう。オーストラリアには先住民族の権利に関して強力な法律があり、アボリジニの遺骨、組織標本の採取、不適切な研究全般に関して非常に敏感だ。コモンウェルス政府がインフォームドコンセントを得ずに血液標本を採取して利用していたとしたら、それに対する法的責任があるだけでなく、政府は、さらにその標本を民間の利益追求企業に譲渡したということで事態をさらに悪化させている。CSLを政府の研究所から民間会社に転換したことは、当該アイヌの知識と同意なしに、血液標本を民間企業に寄贈したことと法律上、等しくなる。私なら、日本とオーストラリア双方で訴訟を開始することを提案する。オーストラリアのアボリジニも支援してくれるでしょうし、オーストラリアの法廷では勝つ確率が高くなるかもしれません。

 まあ、久しぶりに一寸できた時間つぶしの独り言として読んで下され。


転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/20120613/1339599457

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