AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

51人のアイヌの血液試料の出所

 やはり「知らぬはわが輩ばかりなり」だった。答えは、既に1997年に宝来氏本人が出してくれていた。強調(変色と太字)は、冒頭の小見出し以外、わが輩による。

もう胎盤はいらない
私が目指したのは、日本以外のアジアの各地で最低五〇人の血液試料を集めることである。
 PCR法のおかげで、もはや胎盤を集める必要はない。PCR法によって血液から抽出したDNAから、ミトコンドリアDNAのどの領域でも増幅し分析することができる。中国人の血液試料は、台湾大学医学院の潘以宏教授の協力のもとに、台北市近郊で集めた。
(略)
 私が採血し分析に用いたのは「本省人」で、閩南系と客家系がほぼ同数の合計六六人の中国人である。韓国人の試料はソウル特別区の誠信女子大学の朴京淑教授の協力のもとに集め、六四人を分析した。北海道アイヌの試料は、国際日本文化研究センター尾本惠市教授が以前集められたものを分与していただき、五一人を分析した。三島の六二人と沖縄の五〇人は、以前に胎盤から分離精製したものである。(95-96ページ)

 なお、沖縄でのミトコンドリアDNA収集については、次のように描かれている。

一九八五年春、琉球大学医学部保健学科の協力のもとに、沖縄で胎盤集めを開始した。実験室を一室借りることができ、三島から持参した肉挽器やミキサーによる胎盤のすりつぶし作業を行った。・・・私は車を借りて那覇市糸満市の数カ所の産科医院をお産があるたびに回った。・・・ひたすらミトコンドリアを集めるのに徹して、三週間で八二個の胎盤を処理することができた。(22-23ページ)

 以上2つの引用は、宝来聰『DNA人類進化学』(岩波書店、1997年)より。

過去の関連記事:
http://d.hatena.ne.jp/Don_Xuixote/20120306
http://d.hatena.ne.jp/Don_Xuixote/20110530/1306736795
http://d.hatena.ne.jp/Don_Xuixote/20110529/1306600429
http://d.hatena.ne.jp/Don_Xuixote/20110527

http://d.hatena.ne.jp/Don_Xuixote/20120307/1331052190

第16条 目的の変更または医学・科学研究目的の変更
(a)当事者の事前の、自由意思下の、適切な情報に基づく、明示された同意が第8条(a)の規定に従って得られている場合、または提案された利用が国内規範により公共の利益になると規定されかつ国際人権法と矛盾がない場合を除き、第5条に規定される諸目的のために収集されたヒト遺伝情報、ヒトプロテオーム情報及び生物学的試料は、当初の同意と一致しない目的に利用されるべきではない。もし、当事者が同意能力を欠くならば、第8条(b)及び(c)の規定が、準用されるべきである。

ユネスコ「ヒト遺伝情報に関する国際宣言(2003年)、仮訳」第16条(a)
http://www.mext.go.jp/unesco/009/005/004.pdf

ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針
第4  試料等の取扱い
13  研究実施前提供試料等の利用
http://d.hatena.ne.jp/Don_Xuixote/20120616


転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/20120627/1340726038

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