AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

2013年の国際年

国際水協力年(International Year of Water Cooperation, 2013)
環境保全および貧困と飢餓の撲滅など、持続可能な開発の実現において水はきわめて重要な役割を果たす。また、人間の健康と福祉に不可欠であり、ミレニアム開発目標MDGs)の達成に向けて要となる。現在、安全な飲料水と基本的な衛生施設を継続利用できない人口の割合を半減するという目標に向けた進展が遅く、一様でないことに懸念が残る一方、世界的な気候変動と他の課題が水の量と質に深刻な影響を与えている。こうしたことから、国際水協力年の制定を通じ、あらゆるレベルにおける対話と協力を強化する。

国際キノア年(International Year of Quinoa, 2013)
アンデスの先住民が、自然と調和しながら伝統的な知識とより良い生活の実践を通じ、現在と将来世代のための食料として「キノア」を自然の状態で維持、管理、保護、保存してきたことへの認識を高める。その高い栄養価により、キノアの生物多様性が食料安全保障と食料供給において大きな役割を果たし、また、国際的に合意された開発目標やミレニアム開発目標MDGs)の達成において貧困削減に貢献できることを再認識する。

2013年の国際年を制定した国連総会決議の日本語訳は、それぞれ以下のサイトをご参照下さい。

−国際水協力年
 http://unic.or.jp/security_co/res/other30.htm
−国際キノア年
 http://unic.or.jp/security_co/res/other33.htm

 以上、国連広報センターのメールより抜粋。

今年も頻繁に登場した(このブログでは取り上げなかったが)水資源に対する先住民族の権利問題が、さらに多くの注目を浴びることになるだろう。

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 上の国連広報センターからのメールでは、「アンデスの先住民」と表記されている。末尾のURLを辿ると、「アンデスの先住人民」や「先住人民機関」という表記になっている。これは"indigenous peoples"の邦訳である。
国連FAOのサイト:http://www.rlc.fao.org/en/about-fao/iyq-2012/

 民主党の大敗が寄稿を決意させたのだろうかとわが輩は邪推したのであるが、一つ前の記事の「追記12」に紹介した『朝日新聞』、「私の視点」に寄稿された大塚和義氏の論稿の中に、「先住民の権利に関する国連宣言(07年採択)の趣旨に背く重大な問題である」という文言がある。同氏の写真の下の紹介文には「アイヌ民族学」とあるから、決して「民族」という言葉を忌避しているわけではなかろうと思う。

 国連の権利宣言を「先住民」とすることは、わが輩としては、その「趣旨に背く重大な問題である」と主張したいところであるが、英語に日本語を充てただけと言うのなら、まあそれも良かろうと目を瞑ってもよい。しかし、そうであるのなら、国連の権利宣言採択までの過程で"peoples"という言葉を獲得するために20年の年月をかけて闘った人々に、"populations"や"person"の複数を意味する "indigenous people"を、どのような日本語に訳してその違いを説明するのかを示して欲しいと思う。

 自然人類学者たちは、"races"(人種)を"populations"(集団)に換えて、 "population genetics"(集団遺伝学)を推し進めてきた。その政治的意味を考える時に、上の訳語は、単に訳語を充てることを超える意味を持つ。

 情報通の人からの知らせによれば、今月15日に開催された京都大学でのシンポジウムの報告書が、2014年に東大出版会から3分冊で出るそうである。京大と東大のタッグか、凄いなー。きっと高い値段になるのだろう。


転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/20121226/1356448649

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