AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

『コシャマイン記』の上演(水を差すつもりはないけれど・・・)

 22日(月)だったか、夕方のテレビニュースで鶴田知也の『コシャマイン記』を劇にして公演しようとしている劇団が紹介されていた。どこのテレビ局かは注意して見ていなかったので覚えていない。この劇団について知りたくてウェブ検索をしたら、劇団のサイトに辿り着いた。23日くらいまでは劇団の詳細が分かるようになっていたのだが、今は、左側のどのカテゴリーをクリックしても同じ新聞記事が現れるようになっている。http://gekidan-furaibo.seesaa.net/
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B6%B4%E7%94%B0%E7%9F%A5%E4%B9%9F
 作者と書名は知っていたが、芥川賞を受賞したという『コシャマイン記』は読んだことがなかったので、アイヌの友人も含めて何人かに尋ねてみた。意外と、誰も読んだことがなかった。新聞記事にもあるように、「地元でもよく知られていない」作家らしい。地方で頑張っている小さな劇団のようで、応援したい気持ちもあるのだが、ちょっと気になることもある。
 何新聞か分からないが、アップロードされている記事によれば、アイヌ「民族が・・・衰退していく末路から」、「現代の日本人が失ったものを突きつけられたように感じた」ということで、そういうところから「何らかのメッセージを伝え」たいということのようだ。
 このニュースを見ながら、私は、昨年カリフォルニア大学バークリー校で大きな論議を呼んだ劇の上演を思い出していた。日本でも翻訳出版されている『イシ――北米最後の野生インディアン』(岩波現代文庫で再版されているとは知らなかった!)の劇が同校の先住アメリカ人学生やカリフォルニア州のインディアン コミュニティの人々の心を傷つけることとなった。


 その後の「和解」については、こちらに報じられている。⇒
http://indiancountrytodaymedianetwork.com/article/after-controversial-ishi-play%2C-university-of-california%2C-berkeley-co-sponsors-indigenous-peoples-day-celebration-to-promote-healing-140982
 折りしも、毎年7月初めに北海道上ノ国町の夷王山で行なわれている「コシャマイン慰霊祭」が今年で20回目にあたると、ある方が教えてくれた。昨今のアイヌ文化「ブーム」へのあちこちでの便乗も気にかかる。地元の作家の「功績を広め」ることに水を差すつもりはないが、コシャマインの関係者は、この上演を知っていて、アイヌ民族の歴史について正しく「国民の理解」を増進できるように参画しているのだろうか。

☆追記1:『コシャマイン記』は、昭和11年の芥川賞受賞作。時代を反映してか、1970年代にも出版されている。また、講談社文芸文庫としても復刊しているから(こちらは、確かに目にしたことはある)、社会的評価は高い作品なのだろう。 こちらは、2009年刊ということだから、それも意味深な時代の反映のようである。

☆追記2:新聞記事にあるが、「作品の芝居化を依頼した」というNPO法人のサイト<http://toyoga.org/>を訪れてみると、あのキーワード、「おもてなし」が出てきた。

 そう言えば、「推進作業部会」のH教授が4年くらい前に、近隣の市で講演をしていたことを思い出した。こういうところで、「全国政策」として浸透しつつあるのかな。(劇団の芝居の上演が本ブログのタイトルにはそぐわないかと思っていたら、何となく繋がったみたいだ。)

 今日は、国会で「国家ブランド委員会」について意見が飛び交っている。

☆追記3(2013.04.28, 23:45):

 講談社学芸文庫の刊行時に、このような紹介記事が出ている。当時、そして今、アイヌ側からどう受け止められているのか、何も書かれていない。ますます知りたくなった。
http://blog.goo.ne.jp/ivelove/e/62d6f7f433027318baad3bca0b830225
http://blog.goo.ne.jp/ivelove/e/37db5042ec3120271b4d114d8128f9b5
http://blog.goo.ne.jp/ivelove/e/faa7ef720162806697e1d4e4228be744


☆追記4(2013.04.29, 23:08):

Cf. この記事<http://d.hatena.ne.jp/Don_Xuixote/20121117/1353084596>の「追記」。


転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/2013/04/25/021203

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