AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

アメリカインディアン問題協会(AAIA)と遺骨・遺品の国際的返還

 5月12日の記事(http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/2013/05/12/222158)のNCAI決議は、AAIAの働きかけによるところが大きい。AAIAの母体は、1922年にニューヨークで設立されたインディアン問題東部協会で、その後、同様の目的を持った他団体と合同して1946年にアメリカインディアン問題協会となった。AAIAは、アメリカで最も古いインディアンの権利主張団体である。国連の「権利宣言」と遺骨・文化財返還に関して、特に国連過程における取り組みの仕組みの構築へ向けてのJ. アナヤ特別報告者への要請の暫定声明は、"Against the Wind"ブログでも1年近く前に取り上げたことがある。こちらにも再掲している。⇒http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/20120621/1340256839

 その後、AAIAのウェブサイトには、その「国際的返還に関する作業部会(WGIR)」による声明の最終版が掲示されていた。重複する部分もあるが、「セカイの流れ」のもう一つの事例として、声明の要旨を紹介しておく。

国連の権利宣言と国際的返還

○「権利宣言」は、次のことを認めている。
●「先住民族がすべての他の民族と平等である」;
●「先住民族は、その権利の行使において、いかなる種類の差別からも自由であるべき」。

国連法文書は、「すべての民族の自決権の基本的な重要性」を認めており、「国連は、先住民族の権利の促進と擁護において果すべき重要かつ継続的な役割を有している」。

国連権利宣言はすべての国民国家によって承認され、先住民族の権利に関する一つの慣習的規範を確立した。

○第12条は、具体的に、遺骨や儀式用品の返還を可能とするための国家の義務について述べている。それゆえに、すべての国民国家は現在、先住民族の遺骨や遺品の国際的返還に対する権利を認めている。

先住民族の権利に関する特別報告者への要請

○「国際的返還」を2年以内に「先住民族問題常設フォーラム(PFII)」のテーマまたはサブテーマとすること。

○すべての先住民族が数日間にわたって一同に会することができるように、「国際的返還に関する国際的専門集団会議」を招集すること。そこにおいて、
1)国際的返還について議論する、
2)先住民族の国際的返還に関する国連委員会の創設する。その目的は、
a) 国際的返還という厖大な任務において先住民族を援助する、
b) 先住民族の国際的返還ネットワークを促進する、
c) 国際的返還に関する先住民族の隔年会議を招集する、
d) 国際的収蔵施設からの先住民族の祖先の遺骨と文化財の返還のためのモデル政策を作成する。この政策には文化的感受性と秘密性の問題を考慮に入れ、5年ごとに再検討して、必要な場合には修正を行なう、
e) 先住民族委員会の役職者を任命する、
3)国際的返還に関する共同宣言に合意し、作成する。
4)国連に提出する声明を作成する。それにおいて、すべての国民国家先住民族の祖先の遺骨と文化財の目録を作成し、遺骨等の移動が起こったところでは、知られている場合、目録へのアクセスを世界中の先住民族に提供することを要請する。
5)国連先住民族国際返還委員会の第1回会合の日程を決める。

○特別報告者としての権能の範囲で必要な国連の仕組みを用いて先住民族社会のこのような要請のニーズに答える。

連邦政府への要請

 米国政府の国際的返還に関する公式の立場の確認についてはNCAI声明にもあるので省略。

 米州機構などでの声明は確かに重要ではあるが、同様に重要なことは、国際的返還過程で先住民族社会を支援する仕組みを構築することである。このことは特に、多くの先住アメリカ人社会がこのような規模の人権問題について直面するスタッフや資金における資源が限られていることからも言える。よって、国際返還に関する作業部会(WGIR)は、合衆国政府に次のことを要請する。

○国際的返還を求めている先住アメリカ人社会に対する拘束力のある支持を正式に表明し、そのような社会に援助を提供する努力を行なうこと。

国務省職員に国際的返還において先住アメリカ人社会の支援に当たらせること。

○国際的収蔵物の調査と国際的返還プログラムの確立を求めている先住アメリカ人社会のために具体的な基金を創出すること。

○国際的返還の協議を支援するための寄附基金と返還助成金を先住アメリカ人社会に提供すること。先住民族社会は、助成金の配分に携わる先住アメリカ人職員から成る監視委員会を設ける。

○NAGPRAのSection 5(a)を修正して、先住アメリカ人社会が1)合衆国の博物館と交換または商取引されてきた国際的保管施設における「特定されていない」祖先の遺骨や副葬品を特定することと、2)国際的返還の請求のための証拠を収集することができるように先住アメリカ人社会を援助するとする。

○NAGPRAのSection 6(a)を修正して、上記の文言と同趣旨を加える。

○国立アメリカインディアン博物館法を修正して、スミソニアン協会の諸博物館が、コレクションから交換されたり、現在行方不明の先住アメリカ人の遺骨や文化財の一覧をインディアン トライブおよび先住ハワイイ人組織に提供することを義務付ける。

先住民族の遺骨と文化財の返還に関する二国間協定を結ぶ。

○これらの事柄において文化的繊細さの問題を認識しておくことに努め、秘密性を維持するための措置を取る。

 以上、WGIRは、これらの提言が、先住アメリカ人社会、そして国際的な先住民族社会を支援し、私たちの祖先と文化財を帰還させるというとてつもなく大きな過程を始動させ、そしてこのような言語道断の人権侵害に取り組むことになると確信する。


AAIAは、このような活動を基に、先に紹介した国際フォーラムの開催に漕ぎつけている。フォーラムの結果は、また別の機会に報告することにする。AAIA作成のチラシである。あれこれやって、何とかうまく貼り込めた。

 

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P.S.

さて、あと残る予定は、「権利宣言」と遺骨・副葬品の投稿だけだ。(上のフォーラムの報告と議事概要が出て来ようが。)

 

転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/2013/05/20/015810

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