AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

博物館による国際的遺骨返還の新動向――ドイツから

 現地時間の23日に米国代表部で開催された「国際的返還」に関するシンポジウムに合わせての記事なのだろうと思うが、24日のニューヨーク タイムズ紙が、博物館による遺骨返還の新動向を取り上げるベルリン発の記事を掲載している。

 1世紀以上にわたって、博物館は、人のさまざまな骨、器官、組織などを科学と啓蒙の名において展示してきた。しかし近年、キュレーターたちは、死者の尊厳を守るために文化機関がなすべきことは何かという議論の広がりに直面して、これまでの展示を規定している原則を再評価しつつある。

 先月下旬、ベルリンの医学史博物館とシャリテ病院(Charité Hospital)の姉妹機関の解剖学コレクションを指揮する部署[*]が、33体の頭骨と骨格をオーストラリア政府とトレス海峡諸島からのトライブ代表に返還した。[*シャリテ解剖学センターのことだろう。Cf. http://hmjk.world.coocan.jp/symposium/sympo2013/2013program_odaB.pdf

 同じ週に、ドイツ博物館協会が、科学者たちが1世紀以上前の後ろめたい状況で遺骨を収集した旧植民地からの返還請求の際の遺骨の取り扱い方に関する博物館のための新たな倫理指針(ガイドライン)を発表した。

 多くの点で、ドイツ博物館協会は、数十年前に遺骨返還請求に直面し始めたイギリスとアメリカの博物館の経験に依拠している。

 英国では、マンチェスター博物館が、透明性と人骨に対する「敬意」を誓約する自然史コレクション用の6ページのガイドラインの声明を出したばかりである。

 遺骨返還問題の専門家は、多くの博物館が前より敏感になりつつあるように見えると述べている。オーストラリアのクイーンズランド大学のポール ターンブル歴史学教授は、「たくさんのなすべきことがある。しかし、滴り落ちる効果がある。博物館に接触すると、今では進んで話に応じる。」[←北大当局も頑なにならない方がいいと思うのだが。]

 オーストラリアの外交官によると、伝統的に官僚主義の強いフランスの博物館でさえ、個々の返還のために国法を制定することを避けるためのシステムを考案するための委員会を創って返還過程を能率化しようとしている。

 5,000以上の頭骨が保管されているベルリンの医学史博物館は、新ガイドラインは、各返還請求を個別に道義的枠組みにおいて評価することを強調する生成中の過程の始まりに過ぎないと述べている。

"Museums Confront the Skeletons in Their Closets," NYT, May 24, 2013.
http://www.nytimes.com/2013/05/25/arts/design/museums-move-to-return-human-remains-to-indigenous-peoples.html?smid=pl-share&_r=0

 

参考:
http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/20110218/1297961440
http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/20110609/1307550168

 

転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/2013/05/21/013017