AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

パーマネントフォーラムでの日本政府代表の発言

 誰も教えてはくれませんねー。
 25日の夜に第6会合のビデオでメキシコ先住民族の女性の声明へのアナヤ氏の反応まで聴いて、昨晩と今夜は別のことをして、今、続きを聴き始めると、何とも皮肉なタイミングで日本政府代表の発言! 1:46:20-1:50:33までに登場している。内容から今会期初めての発言ではないかと思われるが、相も変わらず「政策」の自画自賛である。素晴らしい「包括的政策(comprehensive policy)」が策定され、推進されているようで、象徴的空間と昨年の調査結果までの流れを報告していた。どうしてハイレベルなフェイスブックページを開設してワイワイやっていますと報告に入れなかったのだろう。来年用に取り置きしたのだろう。それに来年は、アイヌのメンバーと協力して遺骨返還ガイドラインを作成して、遺骨の返還に努めていますというのが「目玉」になるのだろうか。
 報告の後、議場からは一人の拍手の音も聞こえなかった。「特別報告者との対話」という議題の下での発言であるが、彼の前になされた他国政府の発言の後には大体、何らかのコメントがアナヤ氏からなされているが、遺骨返還訴訟のことを知っているはずの議長からも、特別報告者からも、一言のコメントもなく、次の発言者(ボリビア先住民女性)へと進んだ。この2人は、もう26年間も、このような日本政府の手前味噌な声明を聞かされてもいるのである――かつてはフロアにおいてであったが。それにしても、何か反応するアイヌが出席していないというのも寂しいものである。

 (Revised: 2013.05.28, 13:00)

 

 P.S.
 今ログインしたら、23:30時点で本ブログ最高のアクセス数!(と言っても、まだまだだが。)

 国連のこのような会議で日本政府代表がああ言った、こう言ったと目くじらを立てるのも一つだが、物事は舞台裏で決められているというのも一つ。慣例的に、日本政府の代表はそこからは外れて/外されている。だからいじけて「日本型」政策を推進ということで「ガラパゴス化」を図ることにもなるのだろうか。

 アイヌの出席がないのは寂しいし、確かに、存在に意義なしとは言わないが、せっかく大金を使って時間をかけて参加するのなら、自分たちの具体的な課題を推進するための活動を行なわねば損であろうし、それを支える国内での活動と支持基盤がなければメッキが剥げよう。

 昨晩、日本政府代表の発言を見ながら、Web TVの魅力と怖さにも思いを馳せた。こうした会議に命がけで参加していた/いる人々もいる。一瞬のうちに被写体として曝される。一方で、政府や軍が手を出し難くもなる。また、一瞬にして「スター」になることもある。と同時に、それがその人物に与える影響力というものも生まれる。生中継や録画が、世界の先住民族が抱える問題を世界の一般の人々や政策決定者たちに知らしめる役割を果すと同時に、遠く見えない所に存在しているものを曝け出すことによって、一種の神話を崩していくことにもなる。Web TVなどというものが、昔はなくて良かったなあとも思う。

 一方で、昔もこういうTVがあったら良かったのになあとも思った。今は「コピペ」が簡単だから、昨晩声明を読んでいた政府のお役人もコンピュータ上でまとめたものを読んでいたのだろうが、昔は、北海道ウタリ協会の代表団が何かを発言すると、それを政府代表部の書記官が電信で外務省あたりに報告する。本国からの指令が電信で返ってきたものを会議場の席で鋏と糊を使って、文字通り、カット&ペースト(切り貼り)作業を行なっていたことがある。一流大学を出て、法務省などから出向してきていた検事さんなどのエリート官僚さんたちのこういう仕事っぷりを見て、国民の税金で仕事をするということのご苦労と悲哀に同情したものである。こういう姿を是非、世界中にとは言わないまでも、国民に見てもらって理解してもらっていたら良かっただろうなあと思ったのである。(お役人に名刺をもらって喜ぶような性格ではなかったので、いや、後生大事にどこかに仕舞い込んでしまっているために、省庁名や職名には記憶違いがあるかもしれない。)

 先日、夢――ドリームではなく、ナイトメア――の話を書いたが、日本政府がそれほどまでに素晴らしい政策を進めているのであれば、K理事長あたりに同席をお願いして、少しばかり英文を読む練習をして戴いて、日本政府声明を発表してもらうということをアイヌ総合政策室のお役人たちは考えなかったのだろうか。まだ、それほどの「仲良し」ではないということであろうか。アイヌ政策推進会議/作業部会の会議室にWeb TVが入らないことで守られているのは、何であろう。

 いずれにしても、物事の骨格は、舞台裏の非公式過程で決められている。

 

P.S. (#2)

 国連の「権利宣言」やILO 169号条約が採択される前のこと、日本政府代表部のエリートさんに尋ねたことがある。「どうして日本政府は、そんなに消極的な発言ばかりしているのですか」と。
 返ってきた答えは、「調子のいいことばかり言って、出来ても守らない欧米諸国の政府とは違って、わが国は条約や宣言ができて賛成したら誠実に履行するから、履行できるものにしようとしている」のだと。
 ♪折れたタバコの吸殻で~♪(この人は、喫煙家ではなかったかもしれないが。)

 

転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/2013/05/28/013000

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