AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

第11回政策推進作業部会の議事概要

 珍しく、週の前半に出ましたね。(多分28日公開だったのでしょう。)

 「大学等に保管されているアイヌ人骨について/① アイヌの人々の人骨の保管状況の調査結果について/② アイヌ人骨の返還・集約に係る基本的な考え方について」という議題に10ページ中5ページが割かれている。長いので貼り込みはしない。「『民族共生の象徴となる空間』に係る検討状況等について」に2ページあまり、そして、残りのほとんどが「政策の対象者の認定について」となっている。http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainusuishin/seisakusuishin/dai11/gijigaiyou.pdf

 

 追記1

 以下、青字部分は、「議事概要」からの引用。見出し以外の太字による強調は、追加。

 

1 大学等に保管されているアイヌ人骨について
アイヌの人々の人骨の保管状況の調査結果について

明治6年から平成23年までの期間に収集されたものである。ただ、直近の収集されたものについては、遺跡の発掘、工事中等によるものである。(p. 1)

 2年前に出土した遺骨でさえ、北海道アイヌ協会にも通知されていないという現在のあり方に、誰も何も言っていない。
 文部科学省の方から今後の検討課題としては挙げられているが、初期段階でのアイヌの関与はなさそうな発言でもある。
今後発掘されるアイヌ人骨の取扱いについて、象徴空間へ集約するのか、あるいは文化財保護法等に基づく手続で進めるのかなどとなる。(p. 2)

 

2008年6月6日、町村内閣官房長官の時に、初めて日本政府としてアイヌ先住民族として位置づけられ、そして活力ある社会を形成する「共生社会」を実現するのだとされた。[PFIIで政府代表もカミながら言っていた。]2008年からもう5年が過ぎたが、扇の要の中の要と言われている慰霊の関係、人骨の関係を私は1日も早くと言ってきた。前倒しでよろしくお願いしたい。(p. 1)

一緒に埋葬された副葬品については、きちんとやってもらえると思うが、1,600体程もある骨を人間として早く慰霊施設に入れてもらいたい。その上で研究者も入れながら返還に向けて調べていけばよいわけで、慰霊の関係を1日でも早く進めてもらいたい。(p. 2)

 この2つの発言は恐らくアイヌ協会関係者のものだろうが、最初のは冒頭に飛び出しているからちょっとばかり驚く。 「1日も早く」「前倒しで」どうしろと、この方は言っているのだろう。こういう状況でもあるのに。(↓)

○基本的に人骨についての調査であり、人骨は入っていないが関連しているだろうと大学で判断して調査票に記載されたものと考えられることから、回答の内容にはそれぞれ濃淡あると思われる。そのため、必ずしもそこまで踏み込んだ記載となっているわけではないが、分かる範囲の中でまとめていきたい。
 ○今回は人骨に関する調査がメインとなっており、副葬品に関してはほとんど有無だけを問うに近いものであったのだろうと思うが、必要に応じてこれから追加的な調査を行うことも考えられるのではないか。(p. 2)

 調査には、遺髪など――もしあればだが――を保管しているところは含まれていないということのようである。(↓)

○ 2007年に日本政府も賛成した先住民族の権利宣言の中に、ちょうどこういう遺骨の問題が書かれた条項があり、日本語訳では遺骨と遺骸になっている。遺骨という表現というのは前回1つにして欲しいという意見があったと思うが、遺骨と遺骸を全て人骨にしていると理解しているのか。
 ○ 今回一般的な意味での人骨という形で調査している。最終的な結果報告の前に、概念なり定義をしっかりさせていただきたい。(p. 2)

 

アイヌ人骨の返還・集約に係る基本的な考え方について

 pp. 2-3でガイドラインの骨子が説明されているが、いくつかの問題が残されている。だが、今ここには書かないでおく。既に部分的に指摘はした。⇒http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/2013/05/10/013000

また、返還手続の実施状況などについては、関係大学から内閣官房及び文部科学省に随時報告をいただき、その結果を取りまとめてアイヌ政策推進会議及び作業部会で報告することを考えている。(p. 3)

 非常に短期間での「返還手続きの実施」を考えているか、政策推進会議・作業部会が延々と存在し続けることを前提にしているかなのだろう。

祭祀承継者という言葉は、アイヌの方ということだけではなくて、我が国の民法の解釈として使われているもの。

 「我が国の民法」は、アイヌの慣習的法制度・文化を考慮に入れて作られているか。そこから問われねばならないだろう。(↓)

アイヌの祖先というものは、死んだ人を土に戻すという考え方だから、その墓にお骨を入れて墓参りをしない。だから、葬儀はコタンの人たちはみんなでやっていた。アイヌ協会は、墓地移転改葬事業として、土葬された遺骨を火葬場に持っていき焼骨して日本的な墓としてきたが、これは本当はアイヌの葬送ではない。そこで、日本的な祭祀継承者という考え方とするに当たり、そうしたアイヌの葬儀というもの、遺体に対する考え方などを検討されたかどうかお尋ねする。ここの言葉は、国としてきちっとした方が今後の対応としてよろしいと考える。
 ○ 過去の習慣としてコタン全体で祭祀をされていたことはもちろん承知している。前回部会において実際に遺骨をどなたにお返しするべきかについて議論していただいた。その中で、今の法律、判例の中では、御遺族、御子孫の中でどなたかが墓を守って管理していくという方、祭祀承継者と呼ばれる個人の方にお返しするべきか、それとも例えば地域のアイヌ関係団体などにお返しするべきかどうかということを議論していただいたところ、個人にお返しすることが基本という意見が多かったと理解している。この個人が法律用語で言うところの祭祀承継者と呼ばれる方々となる。(p. 3)

 「個人にお返しすることが基本という意見が多かった」? 重要な議論が続いている。(↓)

○ 諸外国の場合には、こういう遺骨等の返還に当たっては、アメリカで言えばトライブ、集団にお返しするのが基本だが、アイヌ民族に関しては、現在トライブに相当する集団として受けるべき組織があるかということが実は大きな問題で、直ちにこれだということが言えないのであれば、個人にお返しすることを基本とするしかない。その場合に、個人の適格性をどのように定めるかといえば、恐らく現在の法制度のもとでは祭祀承継者という形で特定するしかないということではないか。祭祀承継という日本文化を押しつけるという趣旨でも、それ以外の方法を封ずるという趣旨でもなく、少なくとも現時点ではそれ以外に現実的な返還方法が見当たらないということだと思う。[←前回も出ていましたね。]
○ 今のような説明が必要。[説明だけで? 異論はないの?]元々、アイヌには墓を守るという考えはない。昭和くらいから、日本的な宗教になってから墓参りなどをするようになった。収集された人たちの時代にはそのような考え方はない。本来であれば、地元のアイヌの人たちに集まってもらって相談してもらうのが筋だろうが、祭祀承継者という日本的な発想で答えると間違いが生じると思ってお尋ねした。
○ 大変根本的なご発言で、アイヌ文化の根幹にかかわる事柄を取り扱うに当たって、それとは異なる日本文化の流儀でやっていいのかというのは、あらゆる問題に共通してある論点。[今の政策形成過程そのものの「流儀」はどうなのかな?]今のご発言に関連して留意すべきことは、一つは祭祀承継者というスキームを組んだとしても、実際には誰が祭祀承継者かという特定はなかなか難しいかもしれないということ。もう一つは、今後の検討課題としているが、地域にお返しする可能性を詰めて考えると言うこと。その際には、具体的に適格性を持った受け手をきちんと確立できるかということについて、検討を深めていかなければならないだろう(p. 4)


○ 前回の部会でも話があったが、遺骨の返還・集約を進めるにあたって、「アイヌの多数の人々の意に反して象徴空間への集約や研究利用を強行するつもりはない」とあえてここで記述する理由がわかりにくい。アイヌの人々の意に反して強行するつもりはないというのは、慰霊施設以外のほかの施策にも共通することではないのか。そもそも慰霊施設は、有識者懇談会において北海道ウタリ協会が機関決定を経て行った政策提言に含まれていたもの。その意味で「アイヌの多数の人々」の意向と受け止められていたはずである。
○ 特に人骨の問題についてはいろいろな意見があるかと認識しており、国がアイヌの方々の意に反して無理に象徴空間へ集約しようとしている、研究利用を強行しようとしているなどの懸念に対して、そういう趣旨ではないということを明確にしたいと考えている。
○ いろいろな意見がありうる場合に、できるだけ多くの方々に納得していただけるように丁寧な説明が必要だということは当然であるが、これは既に基本的な考え方に盛り込まれている。これに加えて、慰霊施設の部分についてだけこのような記述をするのは、他の施策とのバランスから言って奇異な感じを受けるので、再検討していただければと思う。(p. 4)

 このやり取り(↑)もおもしろい。眠気が覚めた時に、もう一度読むことにする。この後、DNA鑑定の話題も出ているが、私より先にパソコンが眠り出したので、2つだけ記して、寝ることにする。

○ 理論的には可能だが、非常に大変な手間がかかるのが現状だと思う。(p. 5)

 だが、手間隙の問題ではなかろう。

○ 当時発掘したものは名前が書いていないところから発掘してきているのであり、容易に分かる訳がない。DNA鑑定しか方法がないのであれば、それはすごく時間がかかる話。時間をかけてやるのであれば、最初に施設をつくるのが先で、それから研究者が鑑定を行えばよい(p. 5)

 これも、もしかして、いや、もしかせずとも、冒頭発言の人? だめだ、こりゃ。涙、涙・・・。

 

 

◎追記2(13:20): 

  「アイヌ政策推進作業部会における遺骨の取り扱いに関する議論を拙速に終結させるべきではない」と、2日前に書いたばかりだった。
 

 

転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/2013/05/29/003440

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