AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

「アイヌ語を公用語的に使うことを検討」中

 6月14日のアイヌ政策推進作業部会について報じる年6月17日付けの『朝日新聞』記事「アイヌ民族の大学進学、道外者奨学金創設へ」によれば、「民族共生の象徴となる空間」では「アイヌ語公用語的に使うことを検討している」と常本部会長が話したとのことである。「掲示される看板や案内板、基本的なあいさつなどに、アイヌ語を使うことが想定されている」とのこと。

 趣旨に異議を唱えるものではないが、「公用語」というのがミソのようでもある。「看板や案内板、基本的なあいさつ」程度では、どうでしょうね。危機にある言語の復興と結びつければ、「扇の要」の早期建設も正当性を強めることができるということもあるのだろうか。しかし、まだ「検討している」段階でしかない。


 PFIIやWCIPに関する記事の動画を見ていて、多くの読者は「言語障壁」を痛感したことであろう。1990年代初期だったか、大国願望の強い人たちが日本の国連安保理の常任理事国入りを声高に唱え、メディアもそれに追随したことがある。政府は、アフリカ諸国の票を援助で露骨に買い集めていた。先ごろ安倍首相が音頭をとってアフリカへの投資促進を経済界に呼びかけたが、政府のアフリカへの熱い注目はあの時以来だったそうである。
 その頃、私よりかなり年輩のある有名な国際政治学者に、「日本が常任理事国になれば日本語が国連公用語として用いられるようにもなるでしょうし、日本語への通訳も利用できるようになるから、今参加できていないアイヌの人たちが直接、国連の人権過程に参加して訴えることができるようになるという副産物もあるでしょうね」と話したことがある。するとその方は、「日本語を国連公用語にする云々ではなく、アイヌ語国連公用語にすることを論じるべきなのだ」と仰ったことを覚えている。もっともな理想であり、そのように理解もしていたのだが、さすがにこれは、自分が生きている間には実現しそうにないなと思った。
 「看板や案内板、基本的なあいさつ」程度を超えて、もっともっと積極的な施策を進めないと。


転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/2013/06/21/010311

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