AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

当選後の最初の仕事となるか?/憲法とアイヌ民族

 3日ほど前、あることを調べていて、Wikipediaの「アイヌ」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%8C)を覗く機会があった。そこからどう巡ったのかは忘れたが、飯島秀明さんという方のツイッターに辿り着いた(https://twitter.com/hi_iijima)。(あ、思い出した! 遺骨返還裁判での城野口さんの言葉が引用されてあったからだった。)
 7月3日のつぶやきの一部に、こういうのがあった。

参院選に出馬したアイヌ民族の女性、政見放送の収録で、正式な民族衣装のうち着物はいいけどマタンプシ(鉢巻)はダメだと言われたとのこと。確かに議会の傍聴などで労組の団結鉢巻とかはNGだった気がするけど、民族衣装の一部である鉢巻までダメ? お互いの文化を尊重しあうのが多文化共生では?

 今「マタンプシ」で検索してみて、最初に挙がっている情報によると、こういうものらしい。

現在は装飾品のようになっているが、本来マタンプシは、男が狩りなどのときに付けるものであった。女の鉢巻きは自らをまくという意味で、ヘコカリプといい、長く刺繍のない黒布で祝儀のときには交差させて前で結び、不祝儀のときには後ろに垂らすように結んだ。
http://www.town.biratori.hokkaido.jp/biratori/nibutani/juyo_yukei_minzoku/nah-a-0005.htm

 いずれにしても、「果たして、彼女はマタンプシを外すべきだったのか」――というような議論がどこかでされても良いのかもしれない。
 まあ、時間がなくてそういうわけにもいかずに現実的に対処したのだろうが、当選した暁には、彼女がまず最初に手がけるべき仕事となるのかもしれない。

 ところで、Wikiの「アイヌ」の記事を読んでいると、DNA研究による結果がいくつか紹介されているが、それに付されている出典の国立科学博物館のURLは2つとも"Not Found"となってつながらなくなっている。そこへのアクセス権を持った人物が書き込みをしてURLを付したが、外部の者はアクセスできないということを忘れていたとか?
 もう一つの注には、こういうのがあった⇒http://www.okhotsk.org/news/oho-tukujin.html。「2012年6月18日の北海道新聞朝刊」の記事だそうである。それを読みながら、そこに登場している2人の北大大学院准教授はアイヌの遺骨をどうするべきだと考えているのだろうかと知りたくなった。

 それにしても、2、3年前までは人骨のDNA分析をしている自然人類学者たちが「アイヌ政策推進」策の一環として講演、シンポジウム、マスメディアに登場して、「科学と人類全体の利益のために、もっと人骨が必要なのです」というような主旨の発言をしていたが、何だか最近はすっかり静かになったような感じを受けているのは私だけであろうか。沈黙しているからといって、彼らが「反省」をして考え方を変えたというわけでもあるまい。「反省をしなければいけない」と言っていた人たちがどのような反省をしたのか、私たちは、まだ目に、あるいは耳にしてはいない。裏では粛々とこれまで通りの研究を続けていることだろう。


憲法アイヌ民族

 北大の研究センターが8月に招いているロバートソン教授は、1つ目のビデオで、合衆国憲法がどこでどのようにインディアンを取り扱っているかを簡潔にわかりやすく解説している(http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/2013/07/02/234851)。

 日本国憲法は、どこでどのようにアイヌ民族を取り扱っているだろうか。「国民」の中に暗黙裡に統合されていて、集団としてのアイヌ民族の存在には言及がない。憲法制定当時、個々のアイヌは、法的に「旧土人」とされていた。それ故に、2008年の国会決議には「法的には等しく国民でありながらも差別され」という文言も含まれている。さらには、憲法制定当時、集団としてのアイヌ民族は想定されていなかった。その後もずっと、日本政府は、植民地をすべて失った日本は「単一民族」の国であるという立場を内外に示してきた――少なくとも1987年に変化の兆しを見せるまでは。

 昨年12月の衆議院議員選挙の際のアイヌ民族党の公約の中に、憲法9条を維持する前提での憲法改定が入っていたと記憶していたのだが、確認のために昨夜再訪問して探してみたが、改定への言及を見つけられなかった。(アイヌ民族党選挙公約<第一次案 > http://www.ainu-org.jp/pdf/manifest1.pdf
アイヌ民族党の基本的立場は「護憲」であり、「憲法改定」構想は綱領に提示していないと、関係者よりご教示いただきました。感謝します。私の「記憶」は、衆議院選候補者の会見報道からのものだったようだ。―― 13:40)

 今回の参議院選挙に緑の党から出馬している島崎さんのブログにも憲法改定に関する言及はないようである(http://pirkanaomi.blog.fc2.com/blog-entry-5.html)。島崎さんの応援者からの下のような指摘も考慮して、今回は打ち出さなかったのかもしれない。便宜的に、一時的に引き下げたのか、わずか半年の間にその考えを完全に放棄してしまったのか、わからない。

 もう一つは「憲法改定」問題です。北海道ウタリ協会の1984年「アイヌ新法(案)」について、当時は憲法学者などから「民族特別議席日本国憲法の原則に抵触する」という意見が出されたので、民族議席を実現するためには「憲法改定」が必要だという理解になり、アイヌ民族党もこの考えを引き継いでいます。
 しかし、これについてはもっと議論が必要ではないか。憲法改訂(ママ)を言う前に、アイヌ民族基本法について、アイヌ新法〈案)をもとに議論を重ねる必要がある。その中で、民族の権利・集団的権利についても現行憲法の枠内で実現できるかどうかを見きわめる必要があるのではないか。
 現実の選挙選で「憲法改定」に賛成というと、アイヌ民族の権利確立に賛成する人たちの多くが一歩距離を置き、人権や差別などを軽視する政党を喜ばせることになる。そこへの配慮が、今回の選挙ではなかったように思う。
http://yaplog.jp/koshidakiyo/archive/333

 国会における民族議席の確保に関しては、現行憲法では出来ないと考えるアイヌ政策有識者懇談会の主要メンバーの考えや、その懇談会に提出された市民外交センターの意見書の中に示されているような、現行憲法の枠内でも可能だと解釈する学者の考えがあることは承知している。ただ、ロバートソン教授の講演や先住民族の自決権との関係で考えねばならないことは、民族議席確保のための憲法改定ではなく、語弊はあるかもしれないが、もっと原則的な意味での憲法アイヌ民族との歴史的関係はどうなのかという問題である。

[ここから先は、選挙後に記そうかなーと思う。]



◎追記(2013.07.18):

 昨日届いた『先住民族の10年News』の中の「第19回『時事アイヌ語』の復習」という記事――どこが「アイヌ語」なの?――によると、「テレビの政見放送に、マタンプシと民族衣装で出演した」とのこと(p. 12)。
 残念ながら、テレビのない生活をしている私は見ることができなかった。数日前、たまたまトイレに入ってラジオを点けると、緑の党の候補者たちの政見放送が始まったので聴いた。それより数日前には、同じようにして、共産党の候補者たちの放送を聴いた。

 一昨日だったかな、帰り道のドラッグストアで高校生くらい(大学生かな?)の女の子たちが、「ねぇねぇ、緑にする?赤にする?」ってワイワイ言っているから、「へぇー、彼女たちのような若い子がそんな風に迷っているのか」と思いながら脇を通り過ぎたのだが、後でその場所をもう一度通過すると、多分、夜食か何かの話をしていたのだと悟った次第である。


f:id:Don_Xuixote:20130719001122j:plain
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93%E8%B5%A4%E3%81%84%E3%81%8D%E3%81%A4%E3%81%AD%E3%81%A8%E7%B7%91%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%81%AC%E3%81%8D


◎追記2(2013.07.20):
 それにしても、キツネとタヌキとは両党に失礼である。他党の色は、何色なのだろうか。こちらの本を参考にすると良いかもしれない。

転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/2013/07/14/011427

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