AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

野村義一さんは、世界も見ていた。

 昨晩、「政策推進作業部会」の議事概要で日本政府代表の声明に関する発言を読んで、野村義一さんの国連演説を思い浮かべた。もう一度、味わい直してもよいだろう。

ほんの6年前の1986年まで、日本政府は私たちの存在そのものを否定し、日本は世界に類例を見ない「単一民族国家」であることを誇示してきましたが、ここに、こうして国連によって、私たちの存在がはっきりと認知されたということであります。もし、数年前に、この様な式典が開かれていたとすれば、私は、アイヌ民族の代表としてこの演説をすることはできなかったことでしょう。私たちアイヌ民族は、日本政府の目には決して存在してはならない民族だったのです。 しかし、ご心配には及びません。私は決して幽霊ではありません。皆さんの前にしっかりと立っております。
(略)
私たちアイヌ民族は、1988年以来、民族の尊厳と民族の権利を最低限保障する法律の制定を政府に求めていますが、私たちの権利を先住民族の権利と考えてこなかった日本では、極めて不幸なことに、私たちのこうした状況についてさえ政府は積極的に検討しようとしないのです。
 しかし、私が今日ここに来たのは、過去のことを長々と言い募るためではありません。アイヌ民族は、先住民の国際年の精神にのっとり、日本政府および加盟各国に対し、先住民族との間に「新しいパートナーシップ」を結ぶよう求めます。私たちは、現存する不法な状態を、我々先住民族の伝統社会のもっとも大切な価値である、協力と話し合いによって解決することを求めたいと思います。私たちは、これからの日本における強力なパートナーとして、日本政府を私たちとの話し合いのテーブルにお招きしたいのです。
 これは、決して日本国内の問題にだけ向けられたものではありません。海外においても、日本企業の活動や日本政府の対外援助が各地の先住民族の生活に深刻な影響を及ぼしています。これは、日本国内における先住民族に対する彼等の無関心と無関係ではありません。 新しいパートナーシップを経験することを通して、日本政府が、アイヌ民族に対するだけでなくすべての先住民族に対して責任を持たねばならないことを認識されるものと、私たちは確信を抱いております。
 日本のような同化主義の強い産業社会に暮らす先住民族として、アイヌ民族は、さまざまな民族根絶政策(エスノサイド)に対して、国連先住民族の権利を保障する国際基準を早急に設定するよう要請いたします。また、先住民族の権利を考慮する伝統が弱いアジア地域の先住民族として、アイヌ民族は、国連先住民族の権利状況を監視する国際機関を一日も早く確立し、その運営のために各国が積極的な財政措置を講じるよう要請いたします。アイヌ民族は、今日国連で議論されているあらゆる先住民族の権利を、話し合いを通して日本政府に要求するつもりでおります。これには、「民族自決権」の要求が含まれています。しかしながら、私たち先住民族が行おうとする「民族自決権」の要求は、国家が懸念する「国民的統一」と「領土の保全」を脅かすものでは決してありません。私たちの要求する高度な自治は、私たちの伝統社会が培ってきた「自然との共存および話し合いによる平和」を基本原則とするものであります。これは、既存の国家と同じものを作ってこれに対決しようとするものではなく、私たち独自の価値によって、民族の尊厳に満ちた社会を維持・発展させ、諸民族の共存を実現しようとするものであります。
(略)

1992年12月10日国連総会 「世界の先住民の国際年」記念演説 北海道アイヌ協会 理事長 野村義一
http://www.ainu-assn.or.jp/about08.html

 今日届いた国連広報センターの広報資料によれば、主要拠出国である日本の政府開発援助(ODA)が人権実現にどのような影響を及ぼしているかについて評価を行う任務で7月16日から19日まで日本を訪れていた「対外債務および人権に関する国連独立専門家」のセファス ルミナ氏が、日本に対して、国際開発協力に「人権に基づいた開発アプローチ」を取り入れていくよう要請したとのことである。

 ルミナ氏は、「日本政府は、国際開発協力政策の策定、実施および監視において、人権擁護の原則をより明確な姿勢で組み入れていく必要がある」と述べ、日本政府に対して、「オーストラリア、カナダ、フィンランド、ドイツ、ノルウェースウェーデン、英国、米国などの主要政府開発援助(ODA)拠出国同様、人権および開発協力援助に関する政策ステートメントを採択すべき」と提言しました。

 国連専門家は、「平等、無差別、参画、権利拡張、十分な説明と透明性、人権に基づくアプローチに注力することが、日本の開発援助の持続可能性と有効性向上につながる」と加えました。
http://www.unic.or.jp/unic/press_release/3094/

転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/2013/07/20/013034

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