AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

「文化だけではないアイヌ民族の権利回復を」

 P.S.で書き続けると、読み難いだろうし、実際、書き難くもあるから、新規投稿にする。

 昨日、ある健康食品会社からもう来年のカレンダーが送られてきた。幼少の頃、カレンダーの穴の金具を1つ1円で内職の手伝いをしていたことを思い出す。

 今週初め、木登りをしていたことは前に書いた。木々に自然の恵みを感謝し、まだ暖かい季節に「外科的手術」を施さねばならないことを詫び、アマガエルにも身を隠す場所を奪ってしまうこと、スズメバチや鳥に餌や巣の材料を奪ってしまうことなどを詫びながら過ごしていた頃、東京と札幌でアイヌ民族の「権利回復」に関する行事が2日続けて開催されていた。昨晩、『先住民族の10年News』の「イベント紹介」をあらためて見るまで、すっかり忘れていた。

 10月21日と22日双方の行事に北海道アイヌ協会副理事長の阿部ユポさんが出演していたようだ。大忙しだな。この記事の標題は、21日の東京でのIMADR-JC主催の行事での同氏の講演(?)の演題から借用している。22日の札幌では、6月のノルウェーでの会議の話をしたようになっている。因みに、21日の肩書きには、「アイヌ民族評議会会長」というのが先に記されている。北欧のサーミ評議会に倣ってそのようなものを作りたいという願いは前から書かれたりしていたので、念願が叶ったというところだろうか。だが、アイヌ民族党の時のようなメディア報道やそれに類するものは見たことがないので、この評議会がいつ組織され、どのような規模で、何を目指しているのかは分からない。いずれにしても、肩書きを併記しているということは、北海道アイヌ協会の活動を補完するような、矛盾のない組織なのだろう。・・・かな?

 両日とも、夕刻に設定されているとはいえ、平日で、しかも週初め。どのくらいの人が集まったのだろう。東京や札幌という大都市だから、まだ良いのだろう。私自身、何度か企画する側にいたこともある。普通は、できるだけ多くの人が来れるようにと、週末の午後あたりに設定していた。(そうすると、今は行楽シーズンで人が来ないのかな?)いずれにしても、平日のこういう時間帯は、夜勤者や家庭を預かる主婦、それに、夕刻になるとデイサービスから帰ってくる認知症の家族の介護をしている人たちにとっては、聴きに行きたくても行けない時間帯なのである。もっと重度の要介護者を抱えていると、社会から徐々に切り離されていく状況を実感していく時でもある。
 集会の時間帯だけでなく、良くも悪くも、役者もほとんど変わっていないようだから、固定客以外にどれだけ新たなファン層を開拓できたのか、気になるところでもある。

 標題の「文化だけではないアイヌ民族の権利回復を」というのも、スローガン化してしまった感がする。「アイヌ文化振興法」が出来てからだけでも、もう16年、これを耳にしている。日本政府が、アイヌ民族国際人権規約第27条にいう「マイノリティ」であると認めてからだと、さて何年になるだろう。もっと具体的に表現する方が良くはないだろうか。

 上の句を目にする時、「文化だけではな」くて、「アイヌ民族の権利回復を」と言っているのか、「文化(の権利)だけではないアイヌ民族の権利(の)回復を」と言っているのか、尋ねてみたい気持ちになる。言い方を換えると、文化に対する権利を政府は認めたと考えていて、その他の権利を求めているのだろうか、それとも、政府は文化権も認めていないと考えているのだろうか。政府の政策関係会議やメディアを中心に優勢的社会では文化なことばかりが話題に上っているが、現在の施策は真の文化振興策なのか、それとも唯の文化信仰策なのか。どういうお話をされたのか、拝聴したかった。

 東京の集会には「とどろかせよう!アイヌ、沖縄・琉球の声・・・・・・」という全体テーマが掲げられていた。「アイヌの声」に関して言えば、どこに向かって轟かせたのだろう。政府の政策関連会議の中でも轟かせて欲しいものである。もしかしたら、そこでも轟かせているのかもしれない。「議事概要」には出ていないが、正式な「議事録」――があるのなら――では轟いているのかもしれない。そうだとすれば、「議事概要」にもその声の記載を求めて欲しいものである。どうしても削除されるのなら、承認印を押さないという手段だってあるだろうに。

Cf. http://don-xuixote.hatenablog.com/entry/2013/10/05/002329


P.S.

 09月20日に「アイヌの方々のための生活相談フリーダイヤルが開設されました」とのこと。実施主体は、アイヌ政策推進会議メンバーの横田氏が理事長を務める(公財)人権教育啓発推進センターである。
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http://www.jinken.or.jp/archives/7812
法務省は、啓発だけ?

 10月16日に吉川貴盛農林水産副大臣アイヌ政策推進会議の新座長代理に指名されとのこと。前の座長代理は、誰だったっけ?

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainusuishin/index.html


P.S. #2 (2013.10.27):
 本文の東京の集会で、阿部ユポさんからは、いくつかの具体的提案があったそうです。(内容的には、「アイヌ新法案」に盛り込まれているもののようです。)
 また、上村英明さんが、「アイヌが決めたことをヤマトは妨害するな」とクギを刺されたそうです。

 P.S. #2-1:
 上村さんは本当に、5ドル紙幣にジャクソン第7代大統領の肖像が載っていると言ったのかな。ジャクソンは20ドル札で、5ドル札はリンカーン第16代大統領のはず。偽札製造防止のために新100ドル札が最近製造されたというニュースはあったが、5ドル札も20ドル札も図案は変わっていないと思うが・・・。
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 こちらに20ドル札の写真がある。⇒http://don-xuixote.hatenablog.com/entry/2013/07/12/235218

 P.S. #2-2 (2013.10.28):
 「5ドル札」は、ポロッと出たんだろうね。私にも似たような経験がある。上のジョニー デップの言葉でも引用すれば良かっただろうにと思うが、本ブログを読む暇などないのだろう。
 ところで、普段と違う丁寧な書き方をすると、やはり誤解を生じるようである。「刺された」というのは、受動態ではありません。「刺した」です。

 P.S. #2-3 (2013.10.28, 23:30):
 「クギを刺した」は、私の言葉です。「・・・というふうにコメントをまとめられた」ぐらいにしておいた方が良かったのかもしれません。いずれ集会(学習会)の報告が出ることでしょうから、そこでもう一度確認したいと思います。

 P.S. #2-4 (2013.11.06, 00:25):

 誰の発言か定かではないが。

 前回の部会でも話があったが、遺骨の返還・集約を進めるにあたって、「アイヌの多数の人々の意に反して象徴空間への集約や研究利用を強行するつもりはない」とあえてここで記述する理由がわかりにくい。アイヌの人々の意に反して強行するつもりはないというのは、慰霊施設以外のほかの施策にも共通することではないのか。そもそも慰霊施設は、有識者懇談会において北海道ウタリ協会が機関決定を経て行った政策提言に含まれていたもの。その意味で「アイヌの多数の人々」の意向と受け止められていたはずである。

「第11 回『政策推進作業部会』議事概要」、4ページ。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainusuishin/seisakusuishin/dai11/gijigaiyou.pdf


P.S. #3 (2013.10.27, 23:55):

 ポスターの一番下に「本相談事業は、(公財)人権教育啓発推進センターが、厚生労働省の平成25年度社会福祉推進事業により実施するものです」と書かれている。かつて、北海道ウタリ協会をはじめ、アイヌの人々からはよく、「社会福祉事業じゃダメだ」と聞かされたものである。まあそれはいいとして、25年度の予算執行が下半期にずれ込んで始まり、しかもこういう「事業」が行われているということがどれだけのアイヌの人々に周知徹底されているのやら。そして、「事業」である以上、来年度以降に継続されるのかどうかさえ分からないのだろう。


P.S. #4 (2013.10.28, 23:59):

 法務省の取り組みは、人権週間だけの「事業」だったのだろう(http://don-xuixote.hatenablog.com/entry/20121206/1354720021)。

 このエントリーには、珍しくいくつかの反応が届いているが、そのうちの一つに、「遺骨の移転に関する相談を持ちかけては?」というのがあった。残念ながら、それをそのまま記載する許可を得られていないので差し控えておく。

 上に下半期の事業と書いたが、ポスターやチラシを良く見ると、年末年始を除いて1月19日まで。要するに、実験的というか、試験的というか、そういう類の「事業」のようである。

 フリーダイヤルの電話回線は、IP電話のような全国一律料金のものなのだろうか。それとも、NTTの距離に応じて高くなる回線なのだろうか。どちらにしても、なぜ東京に置く必要があるの? アイヌが決めたことなのか、お役人たちとアイヌが一緒になって決めたことなのか。どっちにしても、妨害をするつもりは毛頭ございません。アイヌの皆さん、大いに利用して下さい。なお、匿名などをご希望の方は、0120の前に184(イヤヨ=番号非通知)を付け足すことをお忘れなく。

 上のポスターの画像は、プロパティではもっと小さいはずなのに、貼り込むとなぜか拡大される。結果的に宣伝してあげているようなものだが、紹介料などは一銭も戴いておりませんので、念のため。


P.S. #5 (2014.01.12, 0:30):

 上の「とどろかせよう!アイヌ、沖縄・琉球の声・・・・・・」集会の報告が、ブログに掲載されている。http://jinkenkankokujitsugen.blogspot.jp/2013_10_01_archive.html
 上村さんは、このようにまとめたそうである。

 いかに国連勧告を実現させるかという観点から、戦後日本社会が多数決原理に基づく普通の人重視の中で、個性ある人々が排除されてきたことを考えるべきだ、不公正・不正義社会の現実をチェックしようと発言されました。そして、中央と辺境という視点を持って活躍したアメリカのアンドリュー・ジャクソン(5ドル紙幣にあるひと)は初の開拓者の子孫として政府のトップになったが、教育の普及に努め、アメリカの民主化に貢献したと同時に、インディアンを虐殺したことも忘れてはならない。琉球アイヌが決めたことをヤマトは妨害するな、民族の自己決定権を尊重することが日本社会の多元化も実現する、とまとめられました。

 この書き方だと、5ドル札については編集者の補足説明で、それが間違ったのかもしれない。

 それより、別の方が「人種の二重構造ができたこと」と、そのまま受け入れていることの方が問題かもね。

転載元記事