AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

「アイヌ政策に関する世論調査」(続)

 昨晩の投稿時には読んでなかったが、北海道新聞朝日新聞よりも詳しい記事が載っていた。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/topic/511598.html
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/topic/511583.html

 重要だと思うアイヌ関連施策でも「アイヌ民族への教育の充実・支援」は25・4%にとどまり、常本照樹北大アイヌ・先住民研究センター長は「アイヌ民族が十分な教育を受けられずにいる歴史的な背景を国民に知ってもらう必要がある」と話す。

 一度、北海道大学の教職員と学生全員を対象に調査を行ってみて欲しいな。アイヌ・先住民研究センターでどのくらいの予算でか知らないけれど、盛んに海外から講演者を招いたり、札幌大学に研究委託(http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/2013/08/28/234603)をしている成果がどれくらい足元での「理解」につながっているのだろう。

 一方、政府は2020年の東京五輪前に、胆振管内白老町に「民族共生の象徴となる空間」(象徴空間)を整備する構えだが、今回の調査で、象徴空間を「知らなかった」とした人は全体の85・5%に上っている。

 これは重大である。「扇の要」に「国民の理解」がこれほどないにもかかわらず、特定秘密保護法と同じく、「国民の理解」があるかのごとく、大規模な「ナショナル・プロジェクト」が進行中ということである。政府や開発関係者は、詳細を知られると、かえってまずいと考えているのではないか?

 5年前にアイヌ政策を推進する官房長官談話を出した町村信孝衆院議員は、「東京五輪は世界にアイヌ民族の存在を知らせる好機。『共生社会』の実現を図るためにも、加速した取り組みが必要だ」と話している。

 調査は「アイヌ民族先住民族とすることを求める決議」の国会可決に合わせ、当時の町村信孝官房長官アイヌ政策を推進する談話を出して5年がたったのを機に初めて実施。10月24日から11月3日まで、無作為に選んだ全国の20歳以上3千人のうち、1745人に面接し回答を得た。

 そもそも、この方はこの5年間何をしていたのだろう。アイヌ政策推進の表舞台にはあまり登場した記憶がないのだが。(裏舞台のことは、一般市民には分からない。)
 このブログの読者で、調査対象になった人はいるかな?

 アイヌ民族への差別や偏見の有無については、平等であると思うが50・4%、平等ではないと思うが33・5%、分からないが16・1%。平等ではないと思うは70歳以上は22・1%だったが、20代は50%で、若年層ほど不平等だと認識していた。

 昨晩も書いたように、やはり、「平等ではない」の解釈、受け取り方が気にかかる。なぜかと言うと、一例を挙げると、2009年のことであるが、ある県の医療・福祉関係の諮問的機関の会議に出ている人が、私との話の中でアイヌ政策のことが出た時に、「あの方たちには政府が特別に施策を行っていて、今は良くなっているのでしょう」という主旨のことを言った。国会決議というより、むしろ「アイヌ文化振興法」を念頭においての発言のようであった。このレベルにいる人でさえ「何もわかっちゃいないな」という感想を持ったが、もちろんストレートにそうは返さなかった。

 国が2020年度の開設を目指し、胆振管内白老町に整備する「民族共生の象徴となる空間」(象徴空間)については、「知らなかった」が85・5%に上った。象徴空間で重要だと思う機能として、多かった回答は、アイヌ民族の歴史や文化を紹介する「展示・調査研究」の44・6%、アイヌ文化を後世に伝える「文化伝承・人材育成」の44・5%だった。

 「調査研究」の内容について、質問はどのように組み立てられていたのだろうか。アイヌの遺骨研究についての質問はなかったのか?

 アイヌ総合政策室のお役人さんたち、クリスマスプレゼントとして調査票を貴サイトに公開して下さいよ。「周知がメディア頼みになっているのが実情だ」って、これ、反省の弁なの?
 それと、同じ調査を衆参国会議員全員に実施してみると、おもしろい結果が出るかもね。

去年の今頃は、文部科学省が大学などに保管されている遺骨の調査を行いながら、とうとう結果を公表せずに年が変わった。1年経って、遺骨の取り扱いに関するガイドラインは出来上がっているのか、まだなのか、これも公にされないまま年が変わろうとしている。そういうことを考えると、今回の調査結果のこの時期の公表というのは、何を意味しているのだろうか。来年度予算編成に合わせてということかな。

P.S.
 道新の2つの面の記事には重複する内容が多いのに、認知度の実態が知られてはならないのか、朝日が書いているキャンペーンについてはまったく触れられていないというのもおもしろい。

 アイヌ総合政策室は、なぜリンクくらい貼らないのだろうか。もしかして、内閣府だけで公表されているのではないかと思って見たら、こちらにあった。よって、本エントリーのタイトルを変更した。
アイヌ政策に関する世論調査」http://www8.cao.go.jp/survey/h25/h25-ainu/index.html
 「調査票」も下の方にある。http://www8.cao.go.jp/survey/h25/h25-ainu/3.html
 「平等」かどうかに関する質問は、以下の通り。「差別や偏見がなく平等」という言い回しには問題がないことはないが、質問事項が確認できたのでひとまず措いておく。
 <ここにその質問と回答の選択肢を引用・貼り込みをしていたが、「本報告書の内容を引用されたときは,その掲載部分の写しを下記宛に御送付下さい。内閣府大臣官房政府広報室 世論調査担当」と冒頭に書かれているので、面倒臭いから削除した。メディアは、いちいち送付しているのだろうか。ページの一番下には「Copyright©2010」となったまま。調査期日は明記されているが、この調査「報告書」自体がweb上に掲載されたのがいつなのかの表示は見当たらない。目立たないところにあるのかもしれないから、「ない」と断言するのは控えておく。>

 「キャンペーン」とは、やはり「イランカラプテ」キャンペーンであった。(内閣府は「プ」を小さく表記していないので、ここではそのままにしておく。)


P.S.#2(2013.12.25):
 リークしたき情報入手。されど、記事にできる聞屋ありや。
 道新のあの記者さんは、今はどうしているのだろう。出世して、政府と協会を支える情報を流しているのだろうか。あるいは、もう定年退職してしまったのだろうか。

 やっぱり、遺骨の取り扱いをどうするかについては、裏でヒソヒソとやっているみたいである。


転載元=http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/2013/12/24/012126