AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

先住民族の権利と科学政策

 本題に入る前に、(財)北海道開発協会のプロパガンダ誌の企画、「アイヌ文化をいかに観光業に利用するかのほぼ和人だけの座談会」の記事である。http://www.hkk.or.jp/kouhou/file/no592_zadan.pdf

先住民族の権利と科学政策
 ある法学誌に掲載されているアメリカインディアン法学者による「科学と倫理と人権」に関する最新論文からの抄訳である。

先住民族と合衆国の遺骨返還政策
 [国連の権利]宣言は、第11条と12条で先住民族が祖先の遺骨の返還を得る権利を論じている。・・・・この条項は、祖先の遺骨と埋葬品をはじめとする先住アメリカ人の埋葬しているもの所有権を主張する考古学者たち[と人類学者たち――D. X.追加]の試みが先住民族の人権と完全に正反対のものであることを示唆するものであろう。事実、科学者たちが先住民族文化の利益に「有利すぎる」と攻撃する文化的に特定できない遺骨の処分に関する2010年の規則は、その遺骨に関係している埋葬品の義務的返還を規定していない。この脱落がNAGPRAに違反するか否かに拘らず、それは、明らかに国際的人権法の違反となる。
 [第12条の参照省略。]これらの条項の帰結するところは、先住民族の遺骨、埋葬物、そして儀式用品の所有権と統制権を先住民族に認めるというものである。先住民族の遺骨が「すべてのアメリカ人の共有財産」であるとか、「他所のすべての民族」の共有財産であると多くの科学者によって現在主張されている考えを支えるものは国際的人権法には何一つない。合衆国には先住民族の人権がその国内法体系において実現されることを確実にする義務があり、そして[国連の権利]宣言が政策形成の協議過程というそのヴィジョンを達成するのに適切な規範的基盤を提供している。 人権規準と原則は、公共政策を再構築する際に重要な機能を果たしうる。公共政策が科学政策を包含するからには、人権規準は、私たちの公共諸政策の利点と害悪を規定する際に先住民族の経験を代表することのできる公正な法的枠組みの形成に寄与しうる。


結論
 本稿は、科学政策がどのように先住民族に影響を及ぼすかを探求して、先住民族を「科学的発見」の対象物として取り扱うことから、公共政策の創出の対等な参加者として敬意をもって先住民族政府と協働することへと転換することを主張してきた。19世紀の科学政策の公然の人種主義と文化的優越性を多くの人々が認める一方で、そのような19世紀の主題が環境政策、保健政策、返還政策のような分野で合衆国内の先住民族の権利に強い影響を及ぼし続けていることをほとんどの人々が理解していない。・・・・
 アメリカ社会は、「知識の提供者」としての立場と「社会的理解の対象」[「国民の理解」もそうであろう――D. X.]としての立場の双方において、国内の社会的、政治的、法的構造の中で先住民族に危害を与えてきた。人権規準を組み込んで、先住民族の自己決定権を法的な権利および道義的な考慮対象の双方として尊重することによって、国内の公共政策は、先住民族の特色ある経験にもっと公正に応えることができる。同様に、科学者と科学組織は、先住民族に対するその活動の倫理的および法的な意味合いを探求する目的で、自らの学問的方法と専門的倫理規定の中に人権規準を組み入れることができる。
 [後略]

 見出し以外の太字による強調は、わが輩による。


転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/20130113/1358005267

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