AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

アナヤ教授:500年間の植民地主義には誠意ある謝罪を

 1月28日付けのIndian Country Today紙(電子版)に、ジェームズ アナヤ氏が1月24日にコロラド大学で行った「先住民族の権利に関する国連宣言の観点からの和解」と題した講演に関する記事が載っている。

 先日、オバマ大統領に謝罪を求める一人のナヴァホ人の活動を紹介したが(http://d.hatena.ne.jp/Don_Xuixote/20130107/1357570644)、そこで取り上げた2009年の長ったらしい国防歳出法に埋め込まれた議会による謝罪に対する大統領の支持表明を求めた。その理由は、「歴史的不正に対するいかなる和解も、不十分な是認では最初から動きが取れなくなるから」である。

 過去の過ちに対する心からの、そして公的な謝罪に始まる「和解の強固な手段」が実現するべきであるとアナヤ氏は語り、「表面的な謝罪」は「表面的な和解」を生み出すだろうと付け加えた。

Carol Berry, "Anaya Urges Presidential Support for Apology" (January 28, 2013). http://indiancountrytodaymedianetwork.com/2013/01/28/anaya-urges-presidential-support-apology-147285

彼も、本多氏と同じく、500年間の植民地主義支配に言及しているが、結論は大きく異なるようである。

 因みに、2009年10月9日のICT紙には、本多俊和博士が遂行中の「アイヌ民族に対する先住民族の地位の政府による法的承認を勝ち取る支援をするためのミッション」が紹介されていた。「その目的のために、彼は、日本の文部科学省に資金提供を受けている4年間の研究プロジェクトで10人の研究チームを率いて、世界中の、しかし主としてカナダの先住民(←彼はこう訳すだろう)との関係を研究している。」

 アイヌ民族が辿った道はカナダのメイティー民族の道とは異なっているが、彼は、自分がメイティの経験と法的承認を得るための闘いから学ぶことができると言った。(メイティーの最近の記事:http://d.hatena.ne.jp/Don_Xuixote/20130109/1357742229

 本多氏は、アイヌ語を完全に流暢に話すことができる人は恐らくたった一人しか残っていないと述べた。

 しかし、言語は研究されてきたし、保存されるだろう。人類学者たちは祖先の墓を掘り起こしたことでアイヌの間で悪い評判があるが、言語学者たちは歓迎されてきたと本多氏は言った。北海道各地に約12のアイヌ語を教える学校がある。もっとも、その受講生たちのほとんどは、アイヌではなく、民族的な日本人である。

 本多氏の仕事に関して、本多氏が滞在したファースト ネーションズ大学の国際学術交流センターのHeber所長は、アイヌ民族が法的な承認を得る仕事を支援したいと述べた。
Konnie LeMay, "Metis history may help indigenous people in Japan" (October 09, 2009). http://indiancountrytodaymedianetwork.com/mobile/ictarchives/2009/10/09/metis-history-may-help-indigenous-people-in-japan-82984
本多氏は、アイヌ総合政策室任せにはできない責任を負っている。

 また、この記事では、2008年の国会決議に言及して、承認が得られるかもしれないと話したようであるが、彼の認識なのか、記者の間違いなのか、国会が「先住民族としてのアイヌ民族の法的承認を求める決議を通した」としているが、国会決議には「法的承認」という文言はない。(そもそも、立法府が自らの仕事をせずして法的承認を求めるというのが非論理的であろう。)国会決議は、2点の「施策」を求めているだけである。<http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainu/dai1/1siryou.pdf⇒参考資料2>
 本多氏は、放送大学の教科書において、「国は2010年10月現在、アイヌ民族先住民族として認めていないにせよ」、二風谷ダム判決が「画期的なものである」と述べ(114ページ)、もう一度、「アイヌ先住民族であることを日本政府は現在(2010年9月)認めていない」(216ページ)と繰り返している。(これから見ると、第7章の方を後から執筆したようであるが、最終確認が10月なら、それで統一すればいいのに。)
 上のICT紙の記事を読めば、政府が「法的承認」をしていないと言っているのだろうと推測できるが、では、上の記事は記者の勘違いということか。いずれにしても、日本政府が「認めていない」という教科書の説明は、完全に不正確とは言わないとしても、不十分であり、論議を呼ぶものであろう。

 <ここの段落の二風谷ダム裁判判決の「棄却」に関する記述には私の誤解があったため削除した。>

 ダム建設と先住民族の部分にはもっと大きな問題があるのだが、この記事の本題から離れていくので、ここまでにしておく。


転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/20130130/1359473927