AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

インディアンと人類学者

 Vine Deloria, Jr.の本、Custer Died for Your Sins: An Indian Manifesto, New York: Macmillan, 1969(ヴァイン デロリア ジュニア『カスターは汝らの原罪のために死んだのだ――あるインディアン宣言』、Avon版もある)から一節を紹介しておく。2005年に惜しくも他界してしまったが、アメリカインディアン史に残る研究者であり、思想家であり、活動家である。数年前に、現役の大学教授である彼の息子さんが、北大のアイヌ・先住民研究センターの潤沢な予算で招かれて講演していたのを記憶している。

 V. デロリアのこの本は、1970年代以降のアメリカ人類学界の動向に大きな影響を与えた。アイヌ民族からデロリアのような人物が現われなかったことは、アイヌ民族にとっても、日本の人類学界にとっても、不幸なことだったのかもしれない――まぁ、幸か不幸かは、他人がとやかく言うことではあるまいが。同書の第4章で、よく引用される箇所がある。遅くなったので、そこだけ訳出しておく。

恐らく私たちは、学界の真の動機を疑うべきです。彼らは、インディアン研究分野をよく定義し、統括しています。彼らの関心事は、インディアン人民に影響する最終的な政策ではなく、それによって彼らが大学のトーテムポールを登ることができる新たなスローガンや教義の創出にすぎません。人類学者にとって、彼が引き出すことができる当面の利益、さらなる名声の産出、そしてアメリカ社会の高位の聖職者として登場して己の心の欲するままに方向づけて操作する機会と比べる時、観察目的のために人々を謎解きの鍵に貶めることは、取るに足らないことのように見えます。(pp. 98-99)

 Wikipediaの彼に関するページには、次の3つの引用が掲載されている。

When asked by an anthropologist what the Indians called America before the white man came, an Indian said simply, "Ours." –Vine Deloria, Jr.
白人がやって来る前にインディアンはアメリカを何と読んでいたかと人類学者に訊かれて、あるインディアンが簡潔に答えた。「私たちのもの」と。


“Who will find peace with the lands? The future of humankind lies waiting for those who will come to understand their lives and take up their responsibilities to all living things. Who will listen to the trees, the animals and birds, the voices of the places of the land? As the long forgotten peoples of the respective continents rise and begin to reclaim their ancient heritage, they will discover the meaning of the lands of their ancestors. That is when the invaders of the North American continent will finally discover that for this land, God is red.” –Vine Deloria, Jr.
「誰が大地との平和を見出すのだろうか。人類の未来は、大地の生命を理解するようになって、あらゆる生きものに対する責任を担う人々を待ちながら存在している。誰が木々の声、動物や鳥たちの声、そして大地のあちらこちらの声を聴くのだろうか。それぞれの大陸の長く忘れられた諸民族が立ち上がって、自らの古の遺産を取り戻し始める時、彼ら/彼女らは、自らの祖先たちの大地の意味を発見するであろう。その時こそ、北米大陸の侵略者たちが、この地にとって、神は赤いのだということをようやく発見する時である。」


“Before any final solution to American history can occur, a reconciliation must be effected between the spiritual owner of the land – American Indians – and the political owner of the land – American Whites. Guilt and accusations cannot continue to revolve in a vacuum without some effort at reaching a solution.”–Vine Deloria, Jr.
アメリカ史に対するいかなる最終的な解決が生じる前にも、この地のスピリチュアルな所有者――アメリカインディアン――と、この地の政治的な所有者――アメリカ白人――との間に和解がもたらされなければならない。罪悪感と非難が、解決に辿り着こうとする何らかの努力なしに、真空の中で回転し続けることはできない。


http://en.wikipedia.org/wiki/Vine_Deloria,_Jr.#Quotes

 北海道アイヌ協会のKさんは、キング牧師の言葉もいいけれど、こういう言葉も引用して欲しかったな(←過去形である)。


転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/20130221/1361455766
 元の記事を書いた時にも本の値段が高くなっていたが、2年半経って、さらに驚くべき値がついている!

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