AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

「議事概要」+「毎日」報道=北大当局・有識者会議の綻び

 読者も、もう既にお気づきだろうと思うが、第10回「政策推進作業部会」の「議事概要」と先週の新聞報道を足して読むと、北大や有識者たちの「論理」におもしろい綻びが見えてくる。書くべき方たちが書いていないようなので、簡単に指摘しておこう。

①北大当局の綻び
 北大はこれまで、遺骨に関する正式な「交渉相手」は北海道アイヌ協会だけだと言ってきたようである。そして、28日に記者発表をする前に、北海道アイヌ協会に出向いて説明したようである。(去年の11月はそうではなかったみたいだが。)先にURLを貼った毎日新聞の記事には、「この日の記者会見に先立ち、北大の担当者が道アイヌ協会に出向き、報告書の概要を説明」とある。

 先日の議事概要は貼り込んだだけで強調などはしなかったが、ある重要なことに気づかれただろうか。誰の発言かは定かではないが、こう言っている。

○ 過去に、北大がアイヌ協会の5支部に返還をした。これは、返還を受ける意向があるかどうか、末永くその地域で慰霊ができるかということを踏まえたものだったが、今思うに、アイヌ協会が御遺族に成り代わっていろいろと対応していたが、協会員以外の遺族、関係者もいる。

 一方で、地域のアイヌの方々を適正に代表するような組織なり団体をどう構成するのか。アイヌ協会の支部が地域を代表しているといえるか、それなりに地域を代表しているといえるような組織、団体ができたとしても、複数の考え方に基づく競合的請求が出る可能性もある。競合的請求の扱いは非常に難しい。

○ 現実問題として、かつてあったように、アイヌ協会の支部が大学等に返還を要求することが今後もあり得るだろうか。もしそういうことがあった場合には、その支部が果たして遺骨の返還を受ける適格を有するかどうかを考えなければいけないことになるわけで、おそらく個人以外の返還対象者を考える場合の具体的論点の第一はそれではないかという気がする。

○ 今までそういう議論をしたことがなく、そういう支部があるかどうかは何とも言えないが、支部として受けるか受けないかは微妙な話である。重大な話になってくる。
○ 現在、協会として、そういう動きがあるとは認識しておられないということか。

○ 遺族に成り代わってという形にはなっていない。地域の代表としてその地域を包含しているかといった、先ほど述べられていたことにつながっていく話で、結論を導き出すことはなかなか難しい。

 「議事概要」に発言者の名前が記されていないことが気に入らない人たちもいるようだが――もちろん、わが輩も非公開を支持しているわけではない――誰の発言かを推理しながら読むのも、また楽しい。発言者の肩書に読み方を左右されず、発言内容そのものを吟味するという点でも良いかもしれない。但し、前後の文脈作りに操作的な意図が皆無とはいえないことにも要注意ではある。


有識者懇談会・推進会議の綻び

 アイヌの骨だと言われていたものが後に和人のものだとわかった例もある。そういうことも考えると、かなり長い期間調査しないと、なかなか返還までは辿り着かないと思う。氏名がわかっているものがいくつかあるのでそれは返還しようと先走り、後から問題になるのも心外である。

 ということは、現在「保管」している大学から「慰霊施設」へも拙速に移すことはできないということではないか。各大学(および博物館等?)が、遺骨がそこに辿り着いた経緯をしっかりと調査して、確実にアイヌの「人骨」であると確認できなければ、和人の骨を「慰霊施設」へ入れて、「後から問題になるのも心外」であろうし、それはまた侵害でもあろう。

 先日も書いたが、「遺骨問題」に関してやっと議論が始まったという感じである。有識者懇談会と政策推進会議は、そのような問題を何も考えずに、遺骨の「慰霊施設」への「集約」を提言したのであろうか。

http://d.hatena.ne.jp/Don_Xuixote/20101026
http://d.hatena.ne.jp/Don_Xuixote/20120312


転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/20130401/1364823847