AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

イマージョン言語教育支援法案

 このたび、モンタナ州選出のJ. テスター議員が中心となって他の3人の民主党上院議員と合同で、全米で行われる先住民族言語イマージョン教育を資金的に支援する目的の「先住民族言語イマージョン生徒達成法」と略称される法案を提出した。成立すれば、1965年の「初等・中等教育法」の修正となり、インディアン社会全域で行われるイマージョン学習に対する資金を提供する助成金制度が誕生する。(イマージョン⇒http://p.tl/zpdb

 同法案は、先住民族言語の危機に対処するためだけでなく、高校の卒業率と大学入学率をそれぞれ向上させ、生徒・学生の職場適応により良い準備を提供するために考案されている。複数の研究報告が、イマージョン学習がこの3つの分野における改善につながることを示している。

 4人の上院議員の発言の一部である。
テスター議員:「先住民族諸言語の保存は、インディアン文化を強化し、生徒・学生たちの自信を増大させ、結果として、より高い学業成績とより強力な経済にへとつながる。私は、インディアン カントリーとそこを特別の場とする言語と伝統を強化することのお手伝いができることに誇りを感じている。」

T. ジョンソン(サウス ダコタ州):「先住アメリカ人諸言語は、アメリカインディアン文化と歴史の不可欠な一部である。不幸なことに、何十年もの間に多くの先住民族言語が消滅した。私は、私たちの若い子供たちが先住民族言語を流暢に使えるようになる手助けをする言語プログラムを学校と大学が開発・強化することをこの法律が奨励することになろうと信じている。」

M. ベギッチ(アラスカ州):「まったく自分たち自身の過ちによるものではなく、私たちの国の『最初の諸民族』は、先住民族諸言語を終結させることを目標とするさまざまな政策と改革の試みに苦しんできた。」

B. シャッツ(ハワイ州):「40年前、ハワイイの人々は、その先住民族言語の死滅の可能性に直面した。今日、強い民族の献身的かつ一致した努力によって、活気に満ちたハワイイ語が何千人もの話者を通じて生きている。」

 同法案の早期成立は、現在のところ難しそうである。それには共和党も含めた超党派の支持が必要と見られており、先住アメリカ人の同法案支持団体は、共和党に影響力をもつトライブが同党議員に働きかけることを呼びかけている。

 さて、翻って、この国の現状は如何に。「イランカラプテ」キャンペーンの予算は、こういう言語教育に注ぎ込む方が有益ではないか。

★国会(議員)の怠慢

 いろいろなところで、2007年には国連の権利宣言が採択され、それを受けて2008年には国会が「アイヌ民族先住民族とすることを求める決議」を採択したというふうに書かれている――数日前に取り上げた全道庁労連のブログ記事でも。ところが、国会に何かの動きを求めるような主張を読んだ記憶があまりない。

 何年か前、有識者懇談会が報告書を出す前だったと思うが、「国会は、『アイヌ民族先住民族であることを承認する決議』として、自ら宣言するべきであった」と書いたことがある。そして、次のように続けた。

 この決議で言う「政府」とは・・・行政府のことである。国会は「認めること」と「総合的な施策の確立」への取り組みを行政府に求めはしたが、では、国会自体は何をした/するのか。行政府が有識者懇談会を経て、何らかの施策を法案の形で出してきた時にのみ対応するという受身的な姿勢なのか。国会は自ら、国権の最高機関としての責任を放棄しているのではないか。
(中略)
 この「国会決議」の「求める」に現れていることは、この国におけるアイヌ民族政策に、広い意味での政府(三府)のどこが責任を有するのかということがまったく不明のままにされてきたことを示している。(中略)国会議員たちが決議に真剣であれば、国会内に委員会を設けて新たな政策を検討するべきである。

 こちらに続く。

P.S.
 テスター上院議員は、マリア キャントウェル議員(民主党ワシントン州)に代わって、第113会期連邦議会の残りの期間、上院インディアン問題委員会の委員長の座につくこととなった。キャントウェル上院議員は、女性初の同委員会委員長として1年間務めた。テスター議員は、当選1期目から同委員会の委員を務めており、トライブの主権と(連邦政策での)自決権の積極的擁護者として認知されている。


転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/2014/01/27/011503

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