AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

第14回「政策推進作業部会」発言者当て遊び(その1)

 今は構想中なので明かせないが、この先ぼちぼちと、ある問答集を作成しようと考えている。それでまた、標題の会議の議事概要に戻ってみたのだが、ここで「アイヌ遺骨の返還集約保管の基本的な考え方について」という議題の下の「主な意見等」に挙げられている意見を一つずつ、時間のある時に取り上げてみようと思う。1回に1人だと、全部終えるのに53回かかる!

 最初に、もう一度書いておく。①として「事務局より主な論点について説明」という項目がある。しかし、これが議事概要には一言も収められていないし、配布資料も公開されていない。以前のものと同じということなのか。情報公開請求でもされないと出さないのだろうか。アイヌの「代表」たちは、自分たちの選出母体へ持ち帰って検討したのだろうか。

 さて、1人目の発言である。

#1 先住民族の権利に関する国際連合宣言は、各条文において、まず先住民族の権利についての記載があり、次に国がとるべき措置を記載するというスタイルとなっており、遺骨や遺骸に関する返還等について書かれている11条、12条、13条、31条は、現在検討している問題にとって非常に重要である。
 現在アイヌ遺骨を保管している12大学のうち、北海道アイヌ協会が見たことのある大学は、北海道大学札幌医科大学の2大学のみ。文部科学省が実施した調査によると、どこから持ってきたか、いつ収集したか、男か女か、大学がどのように手に入れたかなど不明という部分が多く非常に驚いており、保管状況についても、倉庫にあるなど大学が人の遺骨をこのように保管してよいのだろうかと怒りで本当に心が震えており、人間として扱っていただきたいと考えている。また、つい1週間ほど前だが北海道新聞に、アイヌ民族はいつからアイヌ民族かという記事が掲載され非常にショックを受けた。記事を書いた方と話したところ勉強不足で申し訳ないと言っていたが、やはり日本国民はアイヌのことが分かっていないのではないかと思った。こうしたことから、北海道アイヌ協会は、残りの10大学の保管状況を見せていただくよう国に強く要請する。
 北海道大学は、この2年間にわたって他大学から先生を呼び、時間と費用をかけてきちんとした保管状況とした。素晴らしい状況で私は感動したところで、ここまでやるのであればアイヌの未来のために研究も必要であると思った。

 この発言については、こちらでも取り上げられているので参照されたい。久しぶりに再開されたようである。

 このブログ記事でも指摘されている通り、これは北海道アイヌ協会の阿部、加藤、菊地、佐藤(敬称略)の4氏のうちの誰かということは明白である。そこで、クエスチョン No. 1。これは、誰の発言でしょう。

 多分、加藤理事長の発言であろうが、実際、誰でも良いのではある。それは、「北海道アイヌ協会は・・・国に強く要請する」と述べていることから、協会の見解を代弁する発言であることが分かるからである。

 他の大学の実態は見ないのかというようなことを、前に書いたことがある。(探すのが面倒なので、記事へのリンクは付けない。覚えている方は、教えて戴けるとありがたい。)やはり、「国に強く要請」しないと、各大学は防衛線を張っているのだろうということが読み取れる。

 これも前に書いたけれど、2月28日の1週間ほど前の記事だというが、私は、まだ北海道新聞に出ていたという記事を見つけ出せないでいる。

 さて、この発言者は、先住民族の権利に関する国連宣言を冒頭に出して、「遺骨や遺骸に関する返還等について書かれている11条、12条、13条、31条は、現在検討している問題にとって非常に重要である」と述べている。実際、同宣言の関連条項については、ここに書いたことがある。
 しかし、私はそこで第13条までは取り上げていなかった。改めて確認すると、第13条は、次の通りである。

Article 13
1. Indigenous peoples have the right to revitalize, use, develop and transmit to future generations their histories, languages, oral traditions, philosophies, writing systems and literatures, and to designate and retain their own names for communities, places and persons.
2. States shall take effective measures to ensure that this right is protected and also to ensure that indigenous peoples can understand and be understood in political, legal and administrative proceedings, where necessary through the provision of interpretation or by other appropriate means.

 この方は、恐らく、「歴史」とその「未来世代への伝達」の中に「遺骨や遺骸」と(またその研究と)関連付けているのではないかと推測する。また、「口承伝統、哲学」とも関係すると考えられてのことかとも思う。しかし、「歴史」や「哲学」に言及し、この第13条の背景を理解しようとすれば、「権利宣言」前文の次の非常に重要な2段落を無視するわけにはいかないはずである。(日本語は、市民外交センター仮訳を借用。強調は追加。)

Concerned that indigenous peoples have suffered from historic injustices as a result of, inter alia, their colonization and dispossession of their lands, territories and resources, thus preventing them from exercising, in particular, their right to development in accordance with their own needs and interests,
先住民族は、とりわけ、自らの植民地化とその土地、領域および資源の奪取の結果、歴史的な不正義によって苦しみ、したがって特に、自身のニーズ(必要性)と利益に従った発展に対する自らの権利を彼/女らが行使することを妨げられてきたことを懸念し、

Recognizing the urgent need to respect and promote the inherent rights of indigenous peoples which derive from their political, economic and social structures and from their cultures, spiritual traditions, histories and philosophies, especially their rights to their lands, territories and resources,
先住民族の政治的、経済的および社会的構造と、自らの文化、精神的伝統、歴史および哲学に由来するその生得の権利、特に土地、領域および資源に対する自らの権利を尊重し促進させる緊急の必要性を認識し、

 「遺骨や遺骸」の問題は、まさに「植民地化とその土地、領域および資源の奪取の結果、歴史的な不正義によって苦しみ・・・自らの権利を・・・行使することを妨げられてきた」典型的な事例であり、それゆえに、「先住民族の政治的、経済的および社会的構造と、自らの文化、精神的伝統、歴史および哲学に由来するその生得の権利、特に土地、領域および資源に対する自らの権利を尊重し促進させる緊急の必要性」を国連総会は認識したのである。第12条の「遺骨や遺骸」の返還に対する権利も、この前文の2段落と切り離されるべきではない。

 第14回の作業部会では、後で「哲学」について、このような発言もなされている。

 アイヌの哲学を考える前に、自分の先祖の場合はどうするかという視点で考えれば、一日も早く集約することが一番丁寧な方法である。大学の他にも博物館や資料館についてもどうなっているのかと心配している。
 また、アイヌの歴史解明などアイヌのための研究は必要である。

 支離滅裂、理解不能な発言であろう。仮に私の「自分の先祖の場合」なら、あり得ない発言である。これが誰の発言かは、今夜のところは措いておく。だが、クエスチョン No.2として答えて戴いてもよい。

 最初の発言者は、「先住民族の権利に関する国際連合宣言は、各条文において、まず先住民族の権利についての記載があり、次に国がとるべき措置を記載するというスタイルとなっており」と解説を付けている。上述の通り、その前に前文が理論的枠組みを提示していることも忘れてはならない。
 第13条の2項を見ていただくと、先住民族が「政治的、法的、行政的手続きにおいて」「通訳または他の適切な手段の提供を通じて」相手の言うことを理解し、また自分の主張を理解してもらえるように、国家の政府は、「配慮」ではなく、「確実に」しないといけないのである。
 萱野さんがご存命で、アイヌ語で主張をしていれば、日本政府は通訳を手配しなければならないのである。日本語よりもアイヌ語の方が母語として流暢だという方が裁判を行えば、裁判所は通訳を手配しなければならないのである。この条文は、そういうことを謳っているのである。

 また、この発言者は、最後に、こうも言っている。

北海道大学は、この2年間にわたって他大学から先生を呼び、時間と費用をかけてきちんとした保管状況とした。素晴らしい状況で私は感動したところで、ここまでやるのであればアイヌの未来のために研究も必要であると思った。

 この発言は、上記の再開したブログでも批判されているが、これが上で推測したように加藤理事長の発言であれば、加藤氏は、「遺骨や遺骸」の問題は「深刻な人権問題」であると海外紙に訴えていた方である。⇒http://don-xuixote.hatenablog.com/entry/2013/06/23/025826
そう簡単に「素晴らしい状況で私は感動した」などと言えるものだろうかと思うが、またそれも氏らしいということか。

 この発言の直後に、同じく北海道アイヌ協会からの出席者の発言と思われるが――クエスチョン No. 3:これは誰の発言でしょう――太字部分は、直前の加藤氏を牽制した発言と読めなくもない。

#2 国連宣言のもと、人権を尊重することを含めた民族の尊厳を確立するということは、最低の条件であり遺骨は物ではない人として扱っていただきたい。また、北海道大学の取組は、当たり前のことをしていると思っており、残りの10大学も見せていただきたい。

 今夜はここまでにしよう。2/53 finished.

P.S. 文を4つ書き加えた。
 後から参照し易いように、発言順に番号(#1, #2,・・・)を付けることにした。


転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/2014/04/11/000759