AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

第14回「政策推進作業部会」発言者当て遊び(その2)

 最初に、もう一度確認しておこう。これも前に指摘したことではあるが、すぐに忘れる人がいるみたいでもあるから。この第14回作業部会が開かれたのは2月28日である。ここで到底関連の薄い「権利宣言」第13条を引き合いに出して、遺骨の研究を正当化しようと北海道アイヌ協会の代表や部会の研究者たちは発言を繰り返している。国連の「権利宣言」が参照されていないという批判を受けてのことなのか、あたかも「権利宣言」に則って、集約と研究が合意されたというアリバイを作ろうとしているのであろうか。しかし、これこそ、「パンドラの箱」を開けたようなものである。いや、飛んで火に入る何とかか。
 そして、北海道新聞が3月22日に報じたように――それが正確であれば――、3月15日の理事会に「人骨研究」容認のことを――再確認のためであろうか?――諮っているのである(http://don-xuixote.hatenablog.com/entry/2014/03/22/001552)。これについてこれ以上言うことはあるまい。ここでは、その流れだけを再確認しておきたい。

 さて、3つ目の発言である。クエスチョン No. 4: これは、誰のものでしょう。

#3 今後も遺跡などから新たな遺骨は発掘されると思われるが、このような遺骨についての慰霊と研究も国連宣言の11条、12条、13条との関連において必要であると考えるので、象徴空間への集約対象とするべきである。
 アイヌ民族は文字を持っていなかったので、自らの過去の歴史については遺跡や遺骨を研究することが欠かせない。尊厳ある慰霊と大学における研究は相反するように思われるが、これを両立することが国連宣言を具現化することにつながると思う。

 率直に言って、これを読むと反吐が出る思いである。そういう意見があっても良いことは認めよう。しかし、それのどこがどのように「国連宣言の11条、12条、13条」と関連しているのか、誰も明示することを求めないのだろうか。と言うことは、それで了解しているということなのか、それとも煙に巻かれているということなのか。
 まず第一に、自分たちの目の前に議題として上がっている「遺骨」とは、どういう経緯で集められたものなのか、すっかり忘れているというか、それから焦点をずらそうとしているのではないか。
 実際のところ、私は過去に何本か、「遺跡など」から発掘された「新たな遺骨」について、海外事情を紹介してきた。ここでも(http://don-xuixote.hatenablog.com/entry/2013/09/15/012955)最後に、このように記しておいた。

 1990年代初めにアメリカの連邦と州の埋葬品に関する法律を最も幅広く集めて論じたH. Maracus Price IIIによれば、カリフォルニア州法が最も「広範囲に及んでいて厳しい」埋葬法を有しているということであった。この法律は、公共財・私有財双方に適用する。
 墓地の外で人骨が発見された場合、郡の検死官が知らせを受け、検死官は、人骨が先住アメリカ人由来のものであれば、州機関である「先住アメリカ人遺産委員会(Native American Heritage Commission=NAHC)」に通知する。NAHCが当てはまりそうな生存中の子孫を見つけることができなかったり、あるいはもし子孫たちがどうするかの勧告をNAHCに行えなければ、その人骨は土地所有者によって再埋葬されなければならない。この法律に違反すれば、禁固刑による処罰対象となる重罪となる。さらに、1984年1月1日以降に墳墓から取られた先住アメリカ人の文化遺品や人骨を保持していることは、ほとんどの状況の下で違法となる。

 この法律の制定には抵抗もあったが、自主的返還も行われた。1989年6月、カリフォルニア州スタンフォード大学はオーローン-コスタノアン(Ohlone-Costanoan)トライブ(http://www.ohlonecostanoanesselennation.org/)に、「科学的分析」の後でだったが、550体の人骨を返還し、さらにキャンパスに存在していると知られている50の考古学遺跡を保護するという決議を採択している。

 第2段落では、いつの間にか「尊厳ある慰霊と大学における研究」にすりかわっている。その「両立」がどのように「国連宣言を具現化することにつながる」というのか示すべきだ。嘘を都合よく誤魔化すために宣言を引き合いに出すべきではない。
 部会の少なくとも2人の学者は、アイヌ文化に精通しているということで入っているのだろうと思われている。世界中に文字を持たなかった民族は存在するが、この2人は、第13条で言及されている「口承伝統」による歴史叙述(オーラル ヒストリー)の価値はどう考えているのだろうか。「科学」の権威の下に、盗まれた「人骨」の研究を批判できず、合意しているだろうか。それとも、ハコモノ造りが「深刻な人権問題」より優先すると考えているのか。

 上記の発言者は、恐らく篠田氏であろう。まさか、かつて自著で、アイヌの里で「立ちション」をしていた「縄文ブームとやらですっかり売れっ子になったその団長センセイ」の行状を批判していた方ではあるまいとは思うが。

 遺跡発掘については、どこかで追記することになるだろう。

 3つの発言から既に、暫定的にこう言えそうである。この第14回作業部会の発言が明示していることは、「権利宣言」が何を背景に何を言っているのかなどは問題ではなく、「権利宣言」の政治的利用――それも、アイヌの権利と絡める形で遺骨研究推進のための利用――である。それゆえに滑稽千万なのである。「深刻な人権問題」は、深刻な利害問題に変貌してしまっているかのようである。


転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/2014/04/11/231645