AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

第14回「政策推進作業部会」発言者当て遊び(その5)

 Q. 12. これは誰の発言でしょう。「形質人類学」と言っているところから、佐々木氏か?

#12 研究者とアイヌの人々が対立概念であると考えるべきではない。沖縄の方が沖縄のルーツを探るための研究を随分前から行っているように、今後アイヌの若者で形質人類学を志す方はたくさん出てくると思う。過去、日本人のルーツを辿るために研究材料とされたことはとても不幸なことであり、これを繰り返してはならないが、アイヌが自らのルーツを探るための研究を志したときに、我々の世代がその道を閉ざして良いのかということを考える必要がある。私たちは、アイヌの若者たちが利用できるようにしなければならない。

 前半はその通りかもしれない。しかし、物は言いようだな。パターナリズムが滲み出ている。いつから「アイヌの若者たち」の代弁者になったのだろうか。彼/彼女たちに自由な環境で意見聴取をやってみてはいかがか。
 ウェンディ ロゥズさんの言葉と詩を思い出す。

は、コテを感じることができ、実験室の紙袋の中で自分の骨が窒息するのを感じることができ、博物館の展示の中で死滅してしまうことができるように思えます。発掘された窪みの中を上からじっと見下ろすのではなく、私は、そのかわりに、下から考古学者を睨み付けていました。」(イタリックの強調はオリジナル、赤字部分の強調は追加。)

 昨年、この詩(「ラボ ジェネシス」)を読みながら考えたことがある。「慰霊と研究」施設に遺骨を移し、「人骨」研究者たちがアイヌの研究者を育成するということだ。“Wendy Rose”は、現れるだろうか。

 こういう発言もされていた。

 象徴空間の中に担い手育成機能を置くとすると、最善の教材が身近にあることの合理性とともに、文化復興に向けてアイヌが学んでいる様子を国民に見せることができるという利点がある。
<第10回「民族共生の象徴となる空間作業部会」(2011年1月27日)の議事概要。太字は追加。>(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainusuishin/shuchou-kukan/dai10/gijigaiyou.pdf)

 以上は、こちらから⇒http://don-xuixote.hatenablog.com/entry/20120314/1331650957

 ジェノグラフィック プロジェクト(http://don-xuixote.hatenablog.com/entry/20120215/1329232500)では、「ルーツ」を探るだけなら口内の粘膜からのDNA解析でやっていた。特定の個人にとって意味をもつには、あくまでも、その個人のルーツを探らなければならないのではないか。アラスカで行われた調査では、それまで自分が先住民であったと信じていた人が、実は、敵対する村の子孫であったことが分かったり、調査結果に喜ぶ者もいれば、落胆してその後悩む者も出たという。遺骨のmtDNA解析からアイヌ「集団」のルーツが90%かそれ以上の程度の精度で判明したとしても、例えば加藤理事長ご自身がアイヌであるかどうかは、自然人類学者の論理では、自分のDNAを解析してもらわないと分からないということになるのではないか? 有識者懇談会で「アイデンティティ」を強調したのは何のためだったのか。

 私は、作業部会の大多数のメンバーの頭の中が「集約」で飽和した状態で話し合いが進んでいるという感じが拭えない。あの頃はまだ、確信を得ていないような書き方をしていたが、"Groupthink"に嵌まってしまったか。⇒http://don-xuixote.hatenablog.com/entry/20120114/1326467379(追記を参照)

 もう一度、こちらのビデオの植木教授の発言を参照されたい。⇒http://don-xuixote.hatenablog.com/entry/2013/12/13/001345

 Q. 13. 次の発言者は、誰でしょう。

#13 慰霊碑というか、慰霊塔のようなものの中に遺骨が保管されるというイメージを持っている。昭和50年代に屈斜路湖で発掘された古いアイヌのお墓から出てきた遺骨などが、屈斜路湖の資料館において筵の上に並べられているのを見たことがあるので、これらの遺骨も総合的に集約して欲しい。地元のお墓に入れないで資料館の地下室で保管されているのであれば、そういう遺骨もそこに入れて欲しいと思っている。だから、今後出てくる遺骨も地元で荼毘に付して土に還れるのならば良いが、それができないのであれば最終的にそういう遺骨も入れる施設を象徴空間に作って欲しい。

 アイヌの部会員の発言だろう。

 Q. 14. 次は誰?

#14 大学が保管している遺骨については、近代のものは少なくほとんどが明治以前のものでこれは恐らく返還対象にならないのではないか。
 明治以降は、日本式の法制あるいは葬式でお墓を大事にするようになったが、本来アイヌは墓参りしない、行ったら怒られるぐらいであった。明治以前は個人で墓守するなどという思想はアイヌにはないので、コタンまたは市町村ごとに返還して欲しいと言わない限り、返還は難しいと思う。
 また、人類学会が先住民族のことを何十年も一生懸命やっているにも関わらず、アイヌにずっと関わっている方でさえいつからアイヌ民族などと新聞に書くくらいなので、今後も研究は必要である。

 太字にした部分(「近代のものは少なく」という点と「返還対象にならない」という点)は、どういう根拠で言っているのか! この発言者だけでも明らかにしてもらいたいものである。どうして、「ずっと関わっている方」たちの研究を検証しようということにならないのか。
http://don-xuixote.hatenablog.com/entry/20110208/1297099219
http://don-xuixote.hatenablog.com/entry/20120326/1332694931
http://don-xuixote.hatenablog.com/entry/2013/04/28/014531


★昨晩、ここまで書いていたのだが、アイヌ協会代表が「権利宣言」を引き合いに出していることに関して、あるとんでもない可能性に思い至った。

 「はてなダイアリー」が「はてなブログ」に移行すると聞いていたので、こちらに装い新たに開設したのだが、そしてこちらのブログもいろいろと「進化」してきたようであるが、一つ残念なのは、F--ブログのように、特定記事を非公開や限定公開にできないことである。このことは、ずい分前にダイアリーの方でも書いたことがあると思う。
 「ブログ」の方ではもう1つ開設しても良いようなので、そうするか、F--で完全限定版を作ることにしようと考えている。
 ここを非公開にするか、「その1」から新しい所に「集約」することも考えたが、既にかなりの数の人が読んでいるようでもあるし、ここまではそのままにしておく。それに、「議事概要」にそのとんでもない問題の可能性は曝け出されてもいる。ただ、この会議で遺骨の処遇を決めようとしている人たちの名前も顔も背景もまったく知らない人たちには分かり難いかもしれないが。
 いずれにしても、ひとまず、本シリーズは休止/中止して、考えることにする。


P.S.
 最初の投稿は4月20日だったが、ブログの管理画面では作成日が12日と記録されていた。1年経過である。


転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/2014/04/13/145805

広告を非表示にする