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AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

「議事概要」を利用すべし――上手に

 今週のではなく、先月の第16回作業部会議事概要に「全国的見地からの施策の進捗状況」という議題があり、奨学金に関する説明が行なわれていた。その項目の下では「主な意見等」は2つしか出ていない。1つは、「現時点で北海道アイヌ協会へ対象者の認定の申請はまだない状況」というものであり、これの意味することもいくつか論じられようが、今日は、もう1つの強い意見を取り上げておきたい。

 以前も申し上げたが、今回の制度は抜本的な問題の解決にはならないと思う。アイヌの子弟に対する教育支援が、成績が多少悪くても支援の対象とするというようないわゆる福祉施策から抜け切れていないまま続いていいのか。現時点でこれしかないのであれば仕方ないが、教育に対する保障や大学進学に道を開くための対策を、このようなことだけで措置済みと考えられては困る。

 どうせここまで言うのなら――言ったけど「議事概要」から削られたというのでないのなら――全国の「国民」が読んで「理解」できるように、もう少し具体的に要求事項を提案できないものだろうか。しつこく、くどく、毎回同じことでも言って記録に残す。世論操作と手続きの正当化に使われてもいそうな「議事概要」を自分たちの武器として使うべきだ。

 「職業訓練」に関しても同様である。何を具体的に要求しているのか分からない。

○ 一般の行政施策としてはニーズ調査を行った上でそれに応じた事業を実施するというのが常識だろうと思うが、先住民族政策の場合にはそういう既存の常識で処理し切れない問題が多々あるのだということが先ほどからの委員の御発言の前提にあると思うので、今後ぜひそのことを検討の視野に入れていただきたいと思う。
○ ただ考えるだけなら誰にでもできる。実行できる方向で考えていただきたい
○ 繰り返し発言があったが、この問題に限らず他の省庁においても、まず、既存の制度の枠内でできることから考えるというのは当然かもしれないが、それを超えてあるべき先住民族政策という観点から新しい道を開くということもぜひ検討していただきたい。また、それを考えるのが政策推進作業部会の役割であるとも思う。[←ご自身もその一員でしょう。]

 「~していただきたい」というのは、政策室のお偉い官僚や他の省庁からの傍聴者に向けて言っているのであろうか。これらの発言者が有識者懇談会のメンバーなら、『報告書』の中から具体的に要求を挙げ、それを支える理論的な議論を展開するべきだろう――『報告書』にそれが明示されているのなら。ところが、こういう議論ではダメなのではないかな。それとも、横田先生がこれほどお褒めになっている皆さんは横田先生に恥をかかせるのですか、みたいな説得の方が、日本型政策形成には有効なのだろうか。

 アイヌ政策推進会議の構成員である横田洋三先生に、昨年の8月、千歳で開催された先住民族の記念の日の講演会において講演していただいた。横田先生は、アイヌ民族の人たちの苦難の歴史を考えると、私は学べば学ぶほど、その歴史を聞けば聞くほど、何かしなければいけないという思いに駆られる。アイヌ政策推進会議においてもアイヌ民族の権利実現に向けて私の立場からも進めていきたいと思う。国連では、先住民族の権利宣言を採択しただけで終わっており、非常に残念だとおっしゃっている。ただし、横田先生は、日本政府は本当に一生懸命やっている、財政の厳しい折から、皆さん方が努力をしてこれだけやってくれていると非常に評価もしている。
 ですから、今の問題についてもだめだと決めないで、これからも再度調査をするなどして職業訓練を実施するような方向でやってもらいたいと思う。

 国連に何かをやってもらうために長年行っていたようですね。前に書いた「駆け込み寺」の話を思い出してしまった。

 第13回作業部会での「優先的採用」に関する発言にしても同じだ。自分の大学や特定プログラムだけへの我田引水とか利益誘導ではなく、『報告書』に根拠があるのならそこから、ないのなら外から「優先的採用」を正当化できる議論を展開するべきだろうに。

 「国民の理解だとかばかり言っていないで、あんたら官僚の理解はどうなんだ。ちょっと具体的に示してみてよ。」と、「官僚の理解」を「議事概要」に残してもらってはどうなのかな。

 ・・・などと書いても、無駄だろうな。ただの週末の独り言になるだけだろう――大体、金曜の夜にはアクセスも少ないし。


P.S.(2014.05.18):
 因みに、横田先生は、少なくとも1987年に北海道ウタリ協会国連に初参加した時から、当時の波多野人権小委員会委員の代理委員として「アイヌ民族の人たちの苦難の歴史」を聞き、学び、考えてきておられる方である。


転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/2014/05/17/003814