AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

「遺骨」から「格差」へ?

 政策推進委員会や作業部会で、かつて北海道ウタリ協会が「新法」の要求事項に掲げてあった「自立化基金」という言葉が出てきたことがあっただろうか。どなたか、記憶にあれば教えて戴きたい。「議事概要」の「お願い」の連発を読んでいると、自立のための戦略などないのではないかと思えてくる。

 ある方が、3つ前の記事に関連して、毎日新聞の記事以外に、遺骨返還のガイドラインを取り上げているメディアはないのか、だから「特ダネ」扱いなのかと書いてこられていたが、地元で他紙が報じているのかどうかはわからない。しかし、地元の北海道新聞は、14日の政策推進作業部会に合わせてだろうが、アイヌ民族と非アイヌ民族との「格差」を取り上げて記事を載せていたそうである。遺骨返還のガイドラインができたということで、会議の焦点は「格差」に移ったのだろうか。メディアの焦点もシフトさせられているのだろうか。

 14日の道新記事で、(理事長に代わって)阿部一司副理事長が「経済面、教育面の格差を是正する施策に取り組んでほしい」と述べたようである。2つ前の記事の引用の中に「あるべき先住民族政策という観点」という言葉が出ているが、それは単に「格差」解消政策でよいのだろうか?

 「格差」が解消された時点で、「あるべき先住民族政策」も解消されるのか? それは、誰が判断する? 解消されないために、延々と「格差」を「維持」し続けなければならないというディレンマが生じるのではないか? もっと分かり易く、単純に言えば、どうして「追いつく」ことだけを目標にしないといけないのだろうか。アイヌ民族が経済的に追い越してはいけないのか? 「あるべき先住民族政策」は、「格差」に根拠を置き、それによって保証されるものなのか?

P.S. 書き忘れていた。第16回作業部会に私が出席していたとしたら――100%あり得ないことではあるが――水口教授の話の後でこのような質問をしていたであろう。

○ 議長、一つ質問がございます。水口教授をお招きしての今日のこのお話の[そして詳細を「議事概要」で公開している]意図といいますか、目的というのは何でしょうか。遺骨のDNA鑑定は非常に難しく、それをしてまで返還を求めるのは得策ではないですよというメッセージなのでしょうか、それとも、「人骨」研究者がこの席で言っていることは少し違うのではないかということを別の専門家によって明らかにしたいということだったのでしょうか。

P.S. #2 続けて、3つ前の記事で引用した「現時点で北海道アイヌ協会へ対象者の認定の申請はまだない状況」について一言書こうと思い、要綱を確認するためにこちらの記事(http://don-xuixote.hatenablog.com/entry/2014/04/08/225740)に載せてあるURLを訪れると、つながらなくなっていた。新しいURLは、こちら⇒http://www.ainu-assn.or.jp/data/whatsnew/tmpfile/1397444075__dougai.pdf


P.S. #3(2014.05.18):
 「主な沿革」の項目をざっと読みながら思ったことであるが、少し前までは自分たちの国際的な活動について事項を挙げているのに対して、特に去年のPFIIと国連総会での日本政府代表部の声明をそのまま掲載して、まったく論評もなしというのは、まるで「主な沿革」が日本政府のPRサイトに変貌したかのようである。「私たちも日本政府の見解とまったく同感です」と受け取られても、文句は言えないだろう。

 話は変わるが――まったく無関係とも言えないだろうが――北海道アイヌ協会本部は、「現時点で北海道アイヌ協会へ対象者の認定の申請はまだない状況」をどう受け止め、解釈しているのだろう。なぜそういうことになっているのか、それは今後も続くのか、そうであれば、この奨学金の仕組みにどういう影響をもたらすのか、等々、しっかりと分析するべきだろう。


転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/2014/05/17/225358