AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

野村義一さんの「高度な自治」観

 前にも取り上げたことのある北海道ウタリ協会の理事長であった故 野村義一さんは、その演説で「高度な自治」に言及した時、何を考えておられたのだろうかと、ふと思って、再び読み直してみた。彼は、次のように訴えていた。

アイヌ民族は、今日国連で議論されているあらゆる先住民族の権利を、話し合いを通して日本政府に要求するつもりでおります。これには、「民族自決権」の要求が含まれています。しかしながら、私たち先住民族が行おうとする「民族自決権」の要求は、国家が懸念する「国民的統一」と「領土の保全」を脅かすものでは決してありません。私たちの要求する高度な自治は、私たちの伝統社会が培ってきた「自然との共存および話し合いによる平和」を基本原則とするものであります。これは、既存の国家と同じものを作ってこれに対決しようとするものではなく、私たち独自の価値によって、民族の尊厳に満ちた社会を維持・発展させ、諸民族の共存を実現しようとするものであります。

 彼の演説は、次のような見解によっても裏打ちされていた。

国家の内における自律と自治は、先住民族にとっての自己決定の形態である。[自律と自治]は・・・国家の領土的一体性を脅かすものではなく、実のところ、そのような取り決めは国民的統一を強めるであろうと論じられ得る。従来の同化主義的政策を拒絶し、先住民族アイデンティティ、慣習および伝統を尊重する必要がある。自律と自治は、民主主義の構築に貢献すると考えられるべきである。
オーガスト ウィレムセン-ディアズ)

・・・自治の欠如は、有害な従属を助長し、先住民族の文化の崩壊につながり、明確に異なる民族の存在を危険に晒しかねない。先住民族は、その伝統的領域内で十分な権限と自治を行使してはじめて、その文化的アイデンティティを発展させ、保持し続けることができる。
(自律と自治に関する国連専門家会議報告書、6ページ)

先住民族の自律と自治は、持続可能な発展を確かにすることに役立つ自然環境の保護と生態系のバランスの維持にとって有益である。
(自律と自治に関する国連専門家会議「結論と勧告」第6項)

先住民族にとって、自律と自治は、完全な平等、人種主義と人種差別のない自由、人間の尊厳、そしてすべての人権と基本的自由の効果的享有を達成するための闘いを継続するための前提条件である。
(エリカ-イレーヌ ダイス)


転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/2014/06/01/013708