AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

スウェーデン政府によるアボリジニ遺骨の返還/「闇の科学」/バーミンガム大学でのマオリ遺骨返還式(+P.S. 若干の解説と感想)

スウェーデン政府によるアボリジニ遺骨の返還(「祖国への帰還」)

"Return to Country" posted by Goolarri Media @ http://youtu.be/hhkwCFglHWs

"Return to Country 2" posted by Goolarri Media @ http://youtu.be/rTPcRoq_t64


☆"Dark Science"(「闇の科学」)

 20世紀初期に自らの進化理論を証明するためにオーストラリアで調査したスウェーデンの科学者、エリック ミョーバーグ(Eric Mjoberg)のドキュメンタリー映画である。

"Dark Science" posted by Far_Shield @ http://youtu.be/dzvU_JE61mY






バーミンガム大学でのマオリ遺骨返還式(2013年10月18日)

 北大はじめ、各大学関係者も、将来の参考のために良く見ておくとよいだろう。この動画は、バーミンガム大学がアップロードしている。
"Maori Remains Repatriation Ceremony at the University of Birmingham (Full Ceremony)" posted by University of Birmingham @ http://youtu.be/7UobfYENpS8

 バーミンガム大学からアメリカ インディアンへの返還例(過去の記事):http://don-xuixote.hatenablog.com/entry/20120522/1339431680


P.S.(2014.06.07, 23:30):

☆若干の解説と感想

 1910-1911年、スウェーデンからの最初の科学調査団がオーストラリアのキンバリー地区へ自然史研究のための標本収集に入った。昆虫や動物の標本だけではなく、団長のミョーバーグを中心に、「科学のため」と称して、アボリジニの大人と子どもの遺骨(葬られて間もなくのものも含んでいた)を葬送のための樹上や洞窟などの墓地から盗み、当時のオーストラリアの法によって遺骨の持ち出しが禁じられていたにもかかわらず、カンガルーの骨と冗談交じりに偽って、本国へ密輸入した。

 ミョーバーグは、病床で麻痺した体で、彼が「超自然的」と日記に書いている幻覚や幻聴のような悪夢に襲われ続けた。晩年、貧しかった彼は、収集した文化財を売却しなければならず、1938年に目立たぬままに50歳で死去した。彼の死後、遺骨は博物館の地下に貯蔵されたまま、2001年に発見されるまで、「収集」から80年以上が過ぎていた。スウェーデン社会人類学者、クラエス ハルグレン(Claes Hallgren)氏とオーストラリアの人類学者、キム アッカーマン(Kim Ackerman)教授が調査した結果、遺骨は一度も研究対象とされたことはなく、展示もされたという証拠は見つからなかったという。アッカーマン教授が遺骨の由来を調査して、キンバリー地区からのものであると割り出した。

 2005年にアボリジニの先祖たちの遺骨は、返還され、再埋葬された。

 少なくともドキュメンタリーの中では、スウェーデンにおいて、アボリジニの歴史を知るための貴重な研究材料を返してはならないと、堂々と公言する「科学者」の声はなかったのか、取り上げられてはいない。

 ドキュメンタリーの4本目の2:09から、当時の調査団の唯一の生存者で、自分も6体の遺骨を収集したというローレル(Yngve Laurell)氏が、当時のアボリジニの怒りの反応について理解できるかと聞かれて、「もちろん。オーストラリアのニグロたちが、この辺りに埋められている我々の親たちを収集に来たら、我々は何というだろうか。自分たちにして欲しくないことを他人にするべきではない。」と答えている。

 5本目で、再びニール カーター(Neil Carter)さんが登場して、言っている。スウェーデン政府が返還を決定したことは、この件に関しては良かったことである。最初に間違いを犯したことよりも、それに気づいた時に正しい行動によって間違いを正すことに対して、より関心がもたれていた。それに対して憎しみはないと。

 その後で、2000年~2004年の文化相のマリタ ウルフスコグ(Marita Ulvskog)さんが1:55から述べているが、スウェーデンの人々が他国へ100年前に行って、遺骨を集めて持ち帰り、今もそれらを博物館に所蔵しているということを知って、文化相として不快感を感じていると。大臣の決断のレベルも、この国の所轄庁やそのトップに立つ政治家たちのものとは大違いのようだ。

 1番上の動画で印象的なのは、スウェーデン政府が率先して返還を決め、アボリジニの代表たちを"VIPのように"敬意を込めて迎えたということで、両者間に「和解」が成立しているようにみえることである。

 私は、この件について詳しく調べたことはない。ビデオやドキュメンタリーの描き方にも注意を払わなければならないかもしれないが、以上は、スウェーデンに関する上の7本を観ての簡単な感想である。

 北大関係者は可哀想に、本当は、バーミンガム大学のように返還式を行って、全世界に「私たちはユニバーシティー オヴ ザ イヤーです」とアピールしたいところではないのか? もしそうなら、その意の通りに動けないのは、なぜ? 大学の自治というものは、既に忘れ去られてしまったかのようだ。


転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/2014/06/06/235956