AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

「ハイカルチャー」って何だ?

 先日の記事で取り上げた第17回政策推進作業部会の議事概要に、次のような話が出ていた。白老にカジノ建設を構想している大西氏の発言であろうと思われる。

 次に、アイヌ文化を基本に地域のものづくりを復活させることを趣旨として、平成24年に設立された阿寒観光ブランド協議会の取組を紹介する。かつて地域に根づいていた木工芸や布工芸の技術が高度成長時代に観光土産の大量販売で機械生産や海外生産に移行し、地域のものづくりがすっかり影を潜めてしまったことを教訓として、地域販売に限定すること、過去に戻るのではなく新しく創造することをルール化し、この2年間、フードアート、クラフト、ハイカルチャーの三部門にトップクリエーターを迎え、具体的な商品化を目指して活動を行った。フードアート部門では星澤幸子氏を中心にアイヌ民族料理のアレンジや伝統的な素材活用で試作品が幾つも生まれた。今後、特に期待がかかるのはスイーツの商品である。クラフト部門では、岡部泉氏を中心にアイヌアートの新作展を実施し、応募のあった約250点の中からさまざまな商品形態への応用を目指し、今年度からの第2期として商品化に向けてスタートする予定。ハイカルチャー部門では、本田優子氏を中心にアイヌ民族のアニメ映像化やアイヌの絵本作成、地域ブランド商品の付加価値創造のため、アイヌ文様のバーコード作成など新たな提案をいただいた。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainusuishin/seisakusuishin/dai17/gijigaiyou.pdf(2ページ)

 読者から届いた情報によれば、阿寒観光ブランド協議会が6月5日の北海道新聞の一面全部を使って広告を出していたそうである。内容的には、上の発言と似たようなもので、「阿寒ブランド」の商品開発を目指しているそうであるが、上の発言には出ていない人物の名も紹介されている。
 阿寒の人たちが何をやろうが構わないが、上記発言を読んだ時の感想を一言記しておこう。
 「文化に高低なし」というのが文化相対主義の基本的考え方であろう。歴史的な同化政策の中で、支配国家と社会は、社会進化論に依拠して、民族やその文化に優劣をつけ、アイヌ文化を劣等文化とみなし、いずれ「消えゆく」運命にあると規定した。このことは、有識者懇談会報告書でも触れられていたはずである。
 上記発言と全面広告に出ている「ハイカルチャー」とは一体、何に対して「ハイ」なのであろうか。上の発言では、「アイヌ民族のアニメ映像化やアイヌの絵本作成、地域ブランド商品の付加価値創造のため、アイヌ文様のバーコード作成など」が「ハイ」らしいが。フードアートとクラフト部門に対して「ハイ」というふうに、アイヌ文化の中でハイカルチャーとロウカルチャーを設定・区別し始めたのであろうか。


転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/2014/06/16/214104