AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

「民族学校的な教育機関の設立」

 作業部会の議事概要を開いたついでに、もう1件。
 直前記事の引用発言の後に、このような発言が記録されている。

次に、幼少からの体系的なアイヌ民族教育の実施を行うこと。まずは、現行の公教育システムの中での可能性の一つとして、例えば、現在国が進めているコミュニティ・スクールにおけるアイヌ民族教育を追求できないか。将来的には、諸外国で行われているような民族学校的な教育機関の設立も検討すべきだと考えている。 (4ページ)

 これは、「アイヌ民族大学」というような名称の教育機関設立の構想をお持ちであったと聞く萱野茂氏の下で助手として働かれていた方の発言と思われる。恐らく、その「民族学校的な教育機関」で「ハイカルチャー」を教える構想をお持ちだろうと推察する。なぜ、「将来的には・・・検討」と、そこまで優先順位を落とすのだろうか。恩師の念願ではなかったのかな?

 しかし、こういう教育機関は、政府は支援すれども、設立するものではない。あるいは、設立しても、運営に介入するべきではない。当該民族が自主的にやらねば、単なる支配の道具にされるだけだ。"Against the Wind"ブログの最後の記事のモゥホークの動画は、そういうカナダ政府の試みに対する抵抗の意思表明だった。

 ところで、憲法の人権について、「権利の主体となりうるのは個人である」から、アイヌ政策関連の政府会議が先住民族の権利に関する国連宣言の権利を「そのまま具体化するわけにはいかない」と代弁している憲法学者たちは、上の「民族学校的な教育機関の設立」については、何と仰るのだろうか。「そのまま具体化」はできないから、政府の配慮によって設立し、カリキュラム等はすべて政府の主導の下につくる・・・とか?

 参考までに、国連の「権利宣言」第14条3項は、次のように謳ってある。この条項の主旨は、「権利宣言」の作成過程で最も早く各国政府の支持を受けたものであることも付記しておく。

Article 14

3. States shall, in conjunction with indigenous peoples, take effective measures, in order for indigenous individuals, particularly children, including those living outside their communities, to have access, when possible, to an education in their own culture and provided in their own language.

(UN Doc. A/RES/61/295)

第14条 【教育の権利】

3. 国家は、先住民族と連携して、その共同体の外に居住する者を含め先住民族である個人、特に子どもが、可能な場合に、独自の文化および言語による教育に対してアクセス・・・できるよう、効果的措置をとる。

(市民外交センター仮訳を一部改変)


転載元:http://ainupolicy.hateblo.jp/entry/2014/06/16/223812