AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

遺骨「返還」ガイドラインの同化思想 (by 植木哲也)

 強調は、私による追加。

アイヌ流のやり方であれば、コタンに返すということになるでしょう。コタンへ返すのであれば、個人が特定できなくても、どの墓地から持ち出されたかが分かれば充分です。大学に保管されている遺骨の多くは、発掘地が分かっています。にもかかわらず、今回のガイドラインは、わざわざ特定困難な祭祀承継者への返還に固執しているのです。

 祭祀承継という考えは和人流の考えです。ですから、ガイドラインの言っていることは、「和人流のやり方にしたがう者にだけ返す」ということです。明治時代の「北海道旧土人保護法」も「和人流のやり方で暮らす者だけ援助する」というものでした。もともと漁猟や交易で暮らしてきたアイヌの人びとに、農業への従事を求めたからです。

 今ではこうした同化政策は、アイヌ民族の伝統や立場を無視した差別的政策であったと考えられています。ところが、今回のガイドラインはその同化政策とまったく同じ発想でまとめられています。依然としてアイヌの慣習を認めず、和人の流儀で物事をおし進めようとしているのです。

 これでは、民族の復興をかたった差別の再生産ではないかと、私には思われます。

「さまよえる遺骨」ブログ⇒http://hokudai-monjyo.cocolog-nifty.com/blog/

 こちらの『ニューズレター』(http://hmjk.world.coocan.jp/newsletter/kokanu_ene010.pdf)に掲載されています。


Cf.アイヌ人骨の集約に当たっては、遺骨承継者に返還できる遺骨を除き、速やかに当該施設に集約し、あらゆるアイヌ人骨・・・や副葬品も含め、一刻も早く恒久的な慰霊の体制を確立するとともに・・・。」(8月9日の「記念事業」で配布された北海道アイヌ協会の資料「アイヌ人骨の返還・集約等について」、35ページより。)


本日の言葉:
 「研究調査(research)」というのは、先住民族の世界のボキャブラリーの中で恐らく最も汚れた言葉の一つであろう。――トゥヒワイ スミス

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