AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

毎日新聞の「記者の目」欄(2014年9月17日朝刊)について

 毎日新聞(2014年9月17日朝刊)に北海道報道部の山下智恵記者の署名入り「記者の目:札幌市議「アイヌ民族いない」発言」という論説記事が掲載されているのを読者が送ってくれていた。それを読んでメモしていたことを文章にしておく。

 大方の「極めて健全」と呼ばれるメディアや市民の間での一連の反応とは別に、私が注目した箇所が2つある。1つは、次の件である。

 報道を受け市議会自民会派が真意をただしたのに対し、金子氏は「百科事典を引用した」と説明。(略)だが金子氏が引用したのは「世界大百科事典」の2005年版で、発行元の平凡社は「現時点では適切なものではなく、偏見や差別を助長しかねない」と全面改訂し、07年版では「先住民族」と明記されていることが、直後に明らかになった。

 そもそも、市議会で「アイヌ利権」を追及する質問をしていたという議員が、百科事典でアイヌが「民族」かどうかを調べる程度の知識しかもっていなかったというのも変な話であり、滑稽ではあるのだが、今はそこに深入りするつもりはない。ここでは、私は別のことを指摘しておきたい。

 私は、百科事典を所有したことはない。子どもの頃も、そのような高価なものを買ってもらえる余裕はなかった。もし読者が2005年版の百科事典を買ったとしたら、2007年に全面改訂版が出たからといって、すぐに買い換えるであろうか。置く場所もあることだし、2005年版を2年で廃棄して、すぐに2007年版を買えるという家庭は、そうそう多くはないのではないかと思うのだが、どうだろう。
 平凡社は、「偏見や差別を助長しかねない」と考えていたのなら、2005年版を回収して、2007年版と無料で交換するとか、最低限、2005年版の購入者に、「偏見や差別を助長しかねない」箇所を抜刷りで無料配布するとかしたのであろうか。
 もしこれが、発火しかねない危険なストーブや何らかの事故を引き起こしかねない欠陥を有する自動車などの製品や、食中りを起こしかねない食品であれば、欠陥製品を回収もせずに放置しておくことは、製造物責任の点からも許されないことではないか。(もし平凡社が既に自主回収したというのであれば、お詫びして、この稿は削除します。)

 もう1つは、「アイヌは明治以降、政府により日本人への同化を強いられた。独自の言語や文化を否定され、一方で日本人とされながら・・・」と論じながら、他方で、「この国にアイヌという先住民族が存在し、独自の言語や文化を培ってきたことは北海道、ひいては日本の魅力のひとつとして再認識されつつある」と、政府会議の委員たちの言葉をそのまま繰り返していることである(強調は追加)。詰まるところ、拠るところは政府の方針であり、毎日新聞社がコミットしている現行の「アイヌ政策推進」路線の無批判の受容と追認でしかないように思われる。

 このたびの山下記者の活躍には敬意を表したいが、この「アイヌ利権」騒動が一段落したら、是非とも、アイヌ」を利用する和人社会の利益集団の検証記事を連載して欲しいものである。



↓↓↓akikomasudaさん、カラースターをありがとうございました。あなたのブログを訪問して楽しかったので、スターかコメントを残そうと思ったのですが、その箇所が分かりませんでしたので、ここでお礼を述べさせてもらいます。

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