AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

第18回「政策推進作業部会」議事概要

 1ヶ月経っても公開されないから、さてはまた、政策室のお役人がさぼり始めたかと思っていたら、昨日か今日に公開されている。⇒http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainusuishin/seisakusuishin/dai18/gijigaiyou.pdf

 博物館に所蔵されている可能性のあるアイヌ遺骨について、このようなやり取りがある。(政策室の返答は冒頭の○が1文字下がっていることが、このお役所の「進歩」である。)

○ もう少ししっかりやってください。アイヌを人としてやってください。日本人の骨だったらどうするのか。
 ○ 博物館においてはきちんと所蔵されていると考えているが、しっかりと調査させていただきたいと思う。
○ 準備しているというのは誰でも言える。私が言いたいことは、他人の苦しみ、悲しみ、喜びを共感してもらいたいということ。だから、早急にお願いしたい。

 ここの2つの発言が北海道アイヌ協会から出ている部会員のものかどうかは定かではないが、もしそうなら、このようなお気持ちと、ルーツを「知る権利」などと主張して遺骨を研究材料に提供できるお気持ちがどのように整合しているのか、私には理解できない。自分の家族や先祖の遺骨だったら、同じようにできるのだろうか。遺骨を返して欲しい、地元で慰霊したいと言っている「同胞」の先祖の遺骨を集約・研究に差し出す正当な権限を自分たちがもっていると、この方たちはお考えなのであろうか。それほどまでに、趣味程度の精度の研究によって他人の先祖の遺骨から「自らの民族や先祖について、知る権利を希求」したいのであれば、ご自分の先祖のお墓から遺骨を掘り出して、分子人類学研究の進展のため、あるいは発言の言葉を借りると、「先住民族アイヌのみならず、アイヌ以外の国民にも益となるような普遍的な意義」のためにと献骨するとよいであろう。

P.S. #2(2014.11.04):一応、断定を避けてはおいたが、「ここの2つの発言」は、北海道アイヌ協会からの部会員のものではないだろうと、かなり詳しそうな方からご意見を戴きました。読み直せば、「早急にお願いしたい」というのは、博物館の調査ということのようです。この発言者の考え方は違うかもしれませんが、北海道アイヌ協会が「知る権利」を主張して遺骨を研究材料に提供しようとしていることは、「記念事業」の配布資料やこの「議事概要」の「質疑応答」の内容から間違いないでしょう。

 こういうやり取りもある。

○ 大学からの返還と集約後における返還という段階があると思うが、集約後における返還については今回のヒアリングの対象とするのか。
 ○ 大学からの返還はガイドラインにおいて一定の結論を出しており、ヒアリングでは集約後の返還について伺いたいと考えている。

 結局、「幅広いアイヌの人々との意見交換の実施」という形式的手続きにおいて、遺骨の集約に反対の意見はもう吸い上げられず、特定の地域から盗まれたと分かっていながらも個人が特定できていない遺骨については、集約させずに地元で慰霊をしたいと願っているアイヌへの返還は考慮されないということではないか。

 貼り込みはしないが、議題3の「質疑応答」は必読である。ようやくここに来て、これまで指摘してきたような具体的な問題が議論され始めたという感じである。

 その他の分析とコメントを読む。

P.S.(2014.10.23, 22:30):記事を削除しようと思って帰宅すると、珍しくコメントが入っていたので、そのままにしておくことにして、一部、加筆修正した。

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