AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

北海道アイヌ協会は「ノー」と言えるだろうか

 「さまよえる遺骨」ブログに、北大開示文書研究会による内閣官房アイヌ政策推進室長宛ての要望が公開されている。こちらから引用する。(強調は追加。)

 貴職[内閣官房アイヌ政策推進室長]は、さる2014年10月3日づけの公益社団法人北海道アイヌ協会あて依頼文書で、(1)同協会の「アイヌ遺骨の研究等に関する公式見解」の11月末日までの提出を求められました。また(2)「民族共生の象徴となる空間」に関する意見交換会の開催を同協会に依頼されました。

 しかし、同協会以外のアイヌ団体・個人にはこのような依頼を発しておられません。とりわけ(1)について、遺骨をどう取り扱うべきか広く国民の意見を求めるべきテーマであるにもかかわらず、北海道知事所管のいち法人にのみ見解を求め、あたかもアイヌ全体の「公式見解」かのように扱おうとする貴職のお考えは、平等性を欠いています。

 文科省報告にあるように、全国の大学が保管するアイヌ人骨ならびに副葬品の大半は、研究者らによるアイヌ墓地発掘によって収集されたものです。現在、何人ものアイヌが裁判に訴えてまで、これら遺骨や副葬品の一刻も早い地元コタンへの返還を求めていることはご承知の通りです。政府が積極的に「見解」を求めるべきはむしろ、誠意ない大学当局によって現に苦しめられ、救済を求めているこうした人びとではないでしょうか。

 また、(2)によって「地域等の意見」聴取を図ろうとされる「アイヌ遺骨に関する政府の取組」とは、今年6月13日の閣議決定を指すと拝察しますが、今後、「地域等の意見」によって決定を見直す余地はおありでしょうか。それなしの聴取は対等性を欠き、アイヌをはじめ国民の失望を招くばかりでしょう。

 重ねて、公益社団法人北海道アイヌ協会ならびに傘下の各地方アイヌ協会は任意団体であり、いずれもアイヌを代表もしくは代議する機関ではないことをご確認ください。

 (1)は、確か第18回政策推進作業部会で話題に上がっていた。北海道アイヌ協会がここで「ノー」と言えば、アイヌ総合政策室の役人たちは血相を変えるのだろうが、言えない/言わないことを確認した上で、「公式見解」を求めているのであろう。それでも、今までに政策推進会議などで出ていた「了解」は、「公式」ではなかったということなのだな。(2)は、8月9日の「記念事業」と同じようなアリバイ作りか。あの「記念事業」も同じように、政府からの依頼で行われたのではないのかな。当日配布の文書は、官僚的な言い回しが散りばめられていた。

 北海道アイヌ協会の皆さま、今こそ「ノー」と言う時ですぞ。(と言っても、もう理事会などの会議は済んだのかな? それに、協会の方から政府に「依頼」を出して欲しいなどと依頼したのではないだろうな。)

 アイヌ総合政策室よ、なぜ今、北海道アイヌ協会に「公式見解」を急かせる必要があるのか、「公式見解」を示されよ。札幌医科大学と協会との「覚書」のようなチャチな基準ではない、国際的基準に合致する研究倫理基準を、時限を切ってまず「人骨研究者」たちに「公式見解」として提出させるべきではないか。さらに、政府自らの「公式見解」も提示するべきではないか。それなしに、アイヌ民族が自由で事前の十分な情報に基づく同意を与えることはできないだろう。

 政府広報係の各メディアよ、なぜ上のような動きを報道していないのか、「公式見解」を明らかにせよ。

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