AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

第 20 回「政策推進作業部会」議事概要

 出ました。全10ページ。⇒http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainusuishin/seisakusuishin/dai20/gijigaiyou.pdf

☆守勢に回った(?)「人骨研究者」
 なかなか面白いやり取りが行われたようである。<青字>は、私のコメント。下線太字赤の太字による強調も、私の追加。

文化庁等より「民族共生の象徴となる空間」における博物館基本計画に関する報告書の概要等について次のとおり説明

 文化庁としては、この報告書を受け関係機関とも調整を行った後に基本計画を策定して、来年度のできるだけ早い時期に博物館や展示の設計まで作業を進めていきたい。
 また、報告書には記載されていない点ではあるが、調査検討委員会からこの博物館の理念を考慮すると博物館では遺骨を利用した調査研究あるいは遺骨の展示は行わないことが適当であるという重要な提言があったことを報告する。

○ 調査検討委員会では、「展示・調査研究」、「施設整備」、「管理運営」という3つの部会を通じて、約1年半にわたって基本計画について議論してきたところであり、先週、検討委員会において報告書案が了解された。
 この博物館は、基本的にアイヌ文化、アイヌの歴史を研究あるいは展示紹介するという場であり、アイヌの歴史、文化に特化した人文科学あるいは社会科学が中心になるため、博物館では遺骨の調査研究、展示は行わないと調査検討委員会で取りまとめられた。
 また、遺骨の調査のあり方について、前回の当作業部会において、日本考古学協会及び日本人類学会の意見聴取が行われたが、この件に関して文化人類学からも意見聴取を行って欲しいという意見があったことも併せて報告する。<当然である。どうしてもっと早くに出てこないのだ。だが、文化人類学者といっても、過去の経緯を見ていると、誰が「選抜」されて出てくるのかが問題でもあろう。>

⑤主な質疑応答
○ 確認になるが、遺骨の調査研究展示について、検討委員会において意見が取りまとめられたということであるが、報告書への記載がないことに照らすと、委員会の審議でそのような意見が委員からあったということのご紹介と理解してよろしいか。
 ○ 報告書に記載はないが、審議の中で委員会の意見としてとりまとめたもの。
(略)
○ この博物館では遺骨の調査研究を行わないという意見だが、この研究は例えばアイヌの先住性や過去における生活といったことを知るための一つの手段であるため、遺骨の研究をしなければこういった展示が全くできなくなるではないか。特に昨今は、アイヌの先住性をいかに強調していくかということが重要となっており、その点が非常に弱くなることを危惧する。<この点については、そのうちに批判的議論を展開しようと考えているが、これが「人骨研究者」による発言ではなく、北海道アイヌ協会の代表者の発言だとしたら、再考を促したい。>
 ○ この博物館では遺骨の調査研究等を行わないが、人類学的な研究を一切否定するつもりはない。こうした研究の成果は、博物館でも利用させていただくことになると思う。
○ 研究の成果を利用するとおっしゃるが、この博物館で研究しないでどこでやるのかという問題は必ず残る。そこをどう担保していくかという点が問題であると考える。<本音が出ている。前回の「聴取」で表明されていた態度を参照せよ。>
○ 博物館検討委員会において、人類学、考古学といった時間軸を意識した知見を博物館の展示等に反映させるよう強く意見した。また、人類学は、文化人類学、考古学、自然人類学と3つの体系になっており、これらすべての要素が必要である。
 遺骨を展示しないという話については、例えば国立科学博物館等では北海道アイヌ協会と協議の上、本物と見分けがつかないほどの精巧な遺骨のレプリカを展示しているという事例があることを申し上げる。
 また、博物館検討委員会でとりまとめられた遺骨の調査研究展示は行わないという提言は、文化財行政における整理もはっきりしていない現状も踏まえ、委員の中に反対する者もいたことから報告書に盛り込むことにならなかったということには留意していただきたい。
○ 博物館調査検討委員会における審議過程は、当部会の関知するところではないので、当部会においては、文化庁及び検討委員会からいただいた報告をもとに議論を行うことになる。文化庁においては、当部会の議論も踏まえて今後検討を深めていただきたい。<「人骨研究」推進派の発言のようであるが、「粛々と議論を行う」とは言わなかったのだろうか。>
○ この博物館は、あくまでも文化財を中心とした博物館であり、東京、京都、奈良、九州といった国立博物館と同様の性格を有することになる。文化財や絵画の脇に遺骨が展示されているような博物館に来館する方がいるのか疑問に思う。なお、国立科学博物館等は、人類学、自然科学などの博物館であり、性格が異なるものであることを考えていただきたい。
○ この博物館は、アイヌの全体像を示すことが目的であり、東京国立博物館の縮小版を目指している訳ではないと理解している。アイヌの先住性をしっかり担保し、アイヌ文化を国民や世界に向けて発信するような博物館とすべきである。
アイヌの立場で申し上げるが、この博物館に自分の先祖たちの遺骨を飾られてうれしいわけはなく、飾らないでくれと言いたい。研究したい方から見れば、博物館に調査研究する部署はとても必要なのかもしれないが、アイヌ民族側から言うと、なにもこの博物館で研究しなくてもいいと思うし、博物館の中にわざわざ遺骨を入れる必要があるのか疑問である。
 この話は、この作業部会や学者だけで決めるのではなく、自分たちの先祖の遺骨がこの博物館で飾られてうれしいか、うれしくないかアイヌ民族に一度問いかけてみてはどうかと思う。
<拍手!>
○ その問いかけの方法には難しいことが多いと思うが、貴重な意見であると思う。

pp. 2-3

 
 調査検討委員会の1年半の議論にどれだけアイヌの参加があったのか分からないが、遺骨の取り扱いについては良識的な見解ではないか。しかし、なぜ報告書に明記されていないのか。まだまだ「人骨研究者」たちの反攻が予想される。

(2)アイヌ遺骨等を用いた今後の調査・研究が可能となる条件に係る基本的な考え方について
文部科学省より次のとおり説明
(略)

②主な質疑応答
○ 作業部会において、考古学協会と人類学会の意見聴取を行ったが、先ほど文化人類学についての意見もあり、アイヌ側にとっても密接な関係を構築したほうがいいと思っているので、どのようにかかわることが可能か伺いたい。
 ○ アイヌ遺骨の研究については、主に遺骨を対象とした研究を行ってきたのが日本人類学会、日本考古学協会であったことから、前回の作業部会において意見聴取を行ったところであるが、文化人類学会についてもその必要性について検討させていただきたい。
アイヌの人々の意向の十分な配慮について、その意向を聞くという場合は、例えばある地域から出た遺骨に関しては、その地域のアイヌ協会の意向を聞くということか、それとも最終的には北海道アイヌ協会の意向としてまとめていくということを考えているのか。
 ○ 調査研究を進めていく際に、どのように合意形成を図っていくのかということは、具体に関連の学協会を中心に検討していただくが、その中でどこまでの範囲でアイヌの方々の意見を伺うのかということも協議しながら進めていき、その状況も含めて当作業部会にもフィードバックしていくということが必要になってくると考えている。<これは、常本部会長の発言だろう。>
アイヌの方々からの意見の聞き方についても、問題のあり方に応じて変わってくると思う。一般論としては、特定の地域から入手された遺骨については、その地域のアイヌの方々を代表する方々として、例えば地域のアイヌ協会との話し合いというのは第一義的に必要になるし、例えば一般的な考え方を定めるということになれば、オール北海道もしくはオールジャパンで考える必要があるので、検討すべき課題に応じて共有していく相手方は変わってくると考えられる。<なんだか分かり難い。「地域」を避けたいという印象を受けなくもない。>


(3)アイヌ遺骨の集約・保管・返還に関する論点等について
①事務局より遺骨の集約・保管・返還に関する論点と現在の検討状況及び新たな論点について説明これはなぜ記録されていない?
②主な質疑応答
○ 新たな論点について、特にアイヌ協会の公式見解に関わる論点は、全ての論点にかかわってくると思うが、大学の収集の過程と保管の現状について協会では掌握していない中での見解であると先の部会でも申し上げており、地元への返還といったことも含めて、こうしたことが分からない中では議論する段階に至っていないのではないかと考える。<前回とはやや力点が変わったか。いつだったかすぐには出てこないが、前に書いたことがある。なぜ各大学の実態の視察を行わないのだろうか。>
○ 新たな論点を検討するに当たっては、現状として必要十分な情報が得られておらず、整理も十分されているとは言えない状況であるので、現時点で個々の論点の検討に入るのは難しいという指摘であるが、他の委員はいかがか。
○ 先の委員と同意見である。
○ 今後この問題を検討していくに当たって参考にすべき論点が含まれているとは思うが、そうであるとしても、その検討のために必要な情報等について事務局で整理し、一定の方向性をもって提示していただく必要があるのではないかと思う。
 また、個々の論点についても、前回の部会において確認されたとおり、平成25年アイヌ政策推進会議において了承いただいた「基本的な考え方」において検討課題として残されたものを中心に検討していくべきであり、そのことも踏まえて、整理し直していただきたい。
 なお、アイヌ政策推進会議への当作業部会の検討状況の報告については、報告内容等を別途検討していただきたい。

pp. 7-8

広告を非表示にする