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上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

ゲノム研究と人種差別(w/ P.S.2つ)

ゲノム研究から新たな人種差別「ネオレイシズム」の懸念
2014年02月25日 10:58 発信地:シカゴ/米国
http://www.afpbb.com/articles/-/3008763?utm_source=yahoo&utm_medium=news&utm_campaign=txt_link_Fri_p1

【2月25日 AFP】科学界ではこの数十年間、奴隷貿易ナチス(Nazi)の優生学を正当化する主張を覆す努力がなされてきたが、遺伝情報の解析が進歩した近年は、新たな科学的人種差別の時代に突入しようとしている──。米国科学振興協会(American Association for the Advancement of Science、AAAS)の年次会合でこのような指摘があがった。

 米シカゴ(Chicago)で開かれた米国科学振興協会(American Association for the Advancement of Science、AAAS)の年次会合でこの問題を掲げた人類学者たちは、「ネオレイシズム」といわれる新たな形態の人種差別が科学研究の場に根を下ろしつつあるとし、「人種」という概念が存在し、生物学的、習性的、文化的観点から異なっているという主張を広めていると説明した。

■人種隔離時代、再来の危険

 米ペンシルベニア州立大学(Pennsylvania State University)の人類学教授、ニーナ・ヤブロンスキー(Nina Jablonski)氏は「ゲノム科学は医療の個別化を大きく助け得る」と述べた上で、しかし「悪用」されれば、人間の能力には肌の色や民族的背景に基づき生まれながらに差があるという考えを広める恐れもあると警告した。

 そうした一例としてヤブロンスキー教授は、遺伝的にあらかじめ決定されている学習能力に基づいて子どもたちの学校を分けて異なる学習法を実践すべきと主張する新研究があることを説明した。

 さらに米国で黒人と白人の学校が分けられたり、アフリカ系は劣っていると考えられていた人種隔離の時代を引き合いに出し、「かつて聞いたことがある主張で、極めて心配だ。これを提唱している教育専門家たちは肯定的な観点から述べているようだが、実際に採用されれば、容易に歪曲されかねない」と警鐘を鳴らした。

■健康問題は、遺伝的差異よりも社会的要因

 米国の第一線の科学者の多くは、「人種」が生物学的変数ではないことを認識している。それでも、共通の祖先が一定の生物学的特徴を与え得るという概念は受け入れていると、米ノースカロライナ大学(University of North Carolina)のジョセフ・グレーブス(Joseph Graves)副学部長は指摘する。

 これまでに発表されている研究では、白人よりも黒人のほうが、鎌状赤血球病を発症しやすい血液型やマラリアに強い血液型が多い傾向が見られ、また睡眠病を引き起こす寄生生物から身を守る「APOL1」と呼ばれる遺伝子を持っている確率が高いことが示されている。

 グレーブス氏はこうした発見に異議は唱えていないが、白人と黒人の健康状態の相違は遺伝的差異に大いに起因するという示唆は誤りだと述べる。

「アフリカ系は病気にかかりやすく、死亡率が高いという思い込みが米国にはある。私はこれを『遺伝的に病むアフリカ系伝説』と呼んでいる」

 グレーブス氏はまた、米国の黒人の健康問題は、遺伝的差異よりも社会的要因に負うものだと指摘する。「米国人は、社会的に定義された人種と、生物学的な概念としての人種をずっと混同してきた。ネオレイシズムは、部分的にこの混同がもたらしたものだ」

 さらなる懸念は、オンライン上で一般的に購入が可能なDNA鑑定だ。利用者はこれらの鑑定を通じて、自らのルーツを追跡することができるという。カリフォルニア大学(University of California)の文化人類学者ヨランダ・モーゼス(Yolanda Moses)氏は、そうしたDNA鑑定の流行は、ある人の人種的遺産がその人の健康状態を示すといった考えに拍車をかけるもので、「誤解を招く」と批判している。

■刑事司法への遺伝学の影響

 過去10年の間に、逮捕された人物や、逮捕されたが有罪にならなかった人物の遺伝子プロファイルを含むDNAデータベースが拡大したことについても、モーゼス氏は懸念を示している。「遺伝学は人種と刑事司法制度にも深刻な影響を与えている」と同氏は述べる。

 皮肉なことに、ゲノム学のベースとして「人種」に新たな焦点が当たったのは、研究費の世界最大の出資者である米国立衛生研究所(US National Institutes of Health、NIH)がその下で行う全ての遺伝学研究に可能な限り広範な多様性を義務付けたためだった。その目的は医療格差をなくし、非白人系の人々をもっと臨床試験に含めようとするものとされた。

 しかし、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California, San Francisco、UCSF)社会学部のキャサリン・ブリス(Catherine Bliss)助教は、80年代にヒトゲノム計画(Human Genome Project)が開始されたときはそうではなかったと話す。

「遺伝子地図の製作者たちが『人種』に触れたがらなかった時代から、さまざまな研究プロジェクトや医薬品も、非白人系の権利運動のごとく捉え直さなければ生き残れない時代へと私たちは移行してきた。(しかし)今、私たちが直面しているのは、研究や応用を人種化せよという倫理的かつ財政的なプレッシャーだ」

(c)AFP/Kerry SHERIDAN

P.S. 北海道アイヌ協会の理事会メンバーは、安易に研究者や研究機関などの話に乗せられないで、しっかりと独自の検討態勢を整えておくべきだと思いますよ。「権利宣言」第31条を用いて盗まれた遺骨を遺伝子研究に捧げるなどと言っている段ではないとも思いますよ。

P.S. #2 北海道アイヌ協会のある理事さんにアイヌ遺骨の遺伝子研究に「ノーベル賞ほどの価値」があるなどと嘯いている学者がいるというから驚きである。それをまた、「我々の未来に役立つ」と鵜呑みにしている理事さんもいるというから、これもまた驚きである。具体的に、どのようにアイヌ民族の未来に役に立つと説明されているのか知りたいものである。

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