AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

個人が特定されている23体の遺骨にもDNA鑑定をだと!!!(w/ P.S.)

 親しい方が、北海道アイヌ協会の機関誌である『先駆者の集い』を数部送って下さった。元北海道ウタリ協会の理事長であられた野村義一さんの題字が懐かしい。
 現在は協会の会員だけに配布されているのかと思っていたら、アイヌ文化交流センターで自由に手に入るそうである。
 同誌第133号(2015年1月1日発行)の5-6ページに「象徴空間慰霊施設等について」という記事がある。そして、このブログでも触れたことのある「アイヌ遺骨の研究等に関する公式見解について(回答)」が掲載されている。概要は既に把握していたが、あらためて「回答」を読むと、ここに公けには書けないような気持ちになる。それぞれの項目に大きな問題が含まれているが、なかでも「2.DNA鑑定等の破壊検査に対する同意の必要性及び同意者についての考え方」の第2項目には唖然とさせられる。

 個人が特定され大学が責任を持って返還する遺骨二三体については、DNAによる鑑定がなければ明確に特定できないと考えます。遺族の同意を得ることが前提です。

 個人が特定されている遺骨に対してもDNA鑑定をさせようとしている。返還を求めている遺族は、もうこれ以上の冒涜を許さないという気持ちでいる(と伺っている)。当然、DNA鑑定には反対であろう。それを北海道アイヌ協会は、DNA鑑定をしないと明確ではないからと言うのであれば、個人が特定されている遺骨でさえ返さないと言っているのと同じではないか。どうして遺族にさらにそのような屈辱を強いるのか。

 前にも書いたことがある。同じ論理を遺骨の集約手続きに当てはめれば、それぞれの大学で保管されている遺骨がアイヌのものであるとは「明確に特定」できないということになるのではないか。そうすれば、「象徴空間以外の場所に遺骨を移動し研究すること」に「権利宣言」第31条を用いて反対しているが、「象徴空間に集約する」前にすべての遺骨を「DNAによる鑑定がなければ明確に特定できない」と逆手に取られるのではないだろうか。

 このようなことを「人骨からのDNA試料抽出は、宣言一一、一二、三一条などに鑑み遺骨管理とDNAデータベースなど・・・」と、先住民族の権利に関する国連宣言を用いて正当化しようとしているが、これはきっと「将来に向けて禍根を残す」(「議事概要」)ことになるだろう。

 第19回「政策推進作業部会」議事概要によれば、この件に関して、同協会は次のように報告していた。受ける印象が微妙に違う。なお、こちらの方が、時間的には後に起こっている。[ ]内は、この記事の「続き」の一部に私が入れておいたコメントである。

個人が特定されている遺骨については、遺族の同意を得ることが前提である[特定されている遺骨は返還ではないのか!?]。破壊検査は試料の抽出行為と置きかえるべきであり、これが実態に即している用語であると考える。


P.S. 上の回答文には「浦幌、江別、伊達、平取各アイヌ協会の意見書も添付」されたと付記があるが、政策推進会議の議事概要にも、他のどこにも公開されていないようである。

 回答文の第5項目には、上の第2項目と関連していると思われるが、このように書かれている。

遺族への返還に際しては、万が一にも別人の人骨を返還するわけにはいきません。アイヌ人骨か見極めがつかない人骨のこれからの峻別にも、抽出が必要となります。

本当に、博物館や研究者が書いたような文章であるが、素朴な疑問がある。墓を掘り返して遺骨を持ち帰った研究者たちは、アイヌの墓と思われる墓を掘ったわけだが、DNA解析の結果、「アイヌ人骨」と断定できなかった場合、その骨はどのように取り扱われるのであろう。今ある場所に返してそのままにされるのだろうか、それとも「慰霊と研究」の施設に一緒に入れられるのだろうか。

 他にも、疑問や矛盾がある。

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