AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

世界観の溝

 「さまよえる遺骨たち」のブログに、今日(18日)の出前講座(新ひだか町)で配布される予定のアイヌ遺骨返還訴訟ニューズレター No.12が公開されており、一足先に読ませて戴いた。(以下の引用文中の強調は、私による追加である。)
 
 城野口ユリさんの言葉。

 もしこれ、逆だったらどうする?
 あなたがたがもし、こうだったら。どう思う?な。これがほんとのね、シャクシャインと同じ、アイヌとシャモの戦いだ。わたしはそう、思っている。ぜったい、負けないよ、わしは。そんなあんた、こったらことくらいで負けてたまるかと思ってる……。(p. 2)

・・・「よそからきた者たちはよそのしきたり、そいつらはそいつらのしきたり、あるんだからな、なんにもな、おらたちの国に入り込まれて、そいて、あの、一から十までのことを笑われる必要はないんだ」って。「それ笑うくらいなら来ないばいいんでねえか」って、 こうも言ったわ。(p. 3)

 清水裕二さんの弔辞より。

 北大はいまだ謝罪すらしていません。本来あなたを応援すべき北海道アイヌ協会からも、なんの支援もありません。悔しい限りですね。あなたは法廷でアイヌの生活風習を語りました。北大は自らの盗掘行為を棚に上げて「墓の骨は無縁仏だった」などと強弁していますが、あなたは「アイヌはお墓を放置などしていない。エカシ(長老)はいつもコタンの若者らに墓所の見回りを怠らないよう命じていた」と明言し、アイヌの風習を知らない人々の理解を深めようとしてきました。(p. 4)

 そこで、今年5月の北海道アイヌ協会総会で提案され、可決された「平成27年度事業計画」を改めて見てみると、遺骨に関しては、このように書かれている。

 アイヌ人骨の集約にあたっては、遺骨承継者に返還できる遺骨を除き、速やかに当該施設に集約し、一刻も早く慰霊の体制を確立するとともに、作業計画を定めて遺骨と副葬品の可能な限りの原形回復を行い、民族共生の象徴や歴史的意義を持たせ追悼を通して新しい人権文化を発信する場を提供するとともに、将来への禍根を残すことなく返還、保管、研究等のあり方を働きかける。(p. 3)

 これまでの見解と何ら変わったことはないようであるが、もしこれが私自身や私の先祖の遺骨なら、「民族共生の象徴や歴史的意義を持たせ」られることなどマッピラご免だ。それに、「追悼を通して[の]新しい人権文化」とは、具体的にどのようなものを言うのだろうか。
 さらに、

①国内文化交流事業
北海道大学及び札幌医科大学イチャルパ(供養祭)など、古式に則る先祖供養の実施により伝統文化の体験交流と技能習得による保存活動を実施し、併せて人類学等の研究者、大学関係者との遺骨返還方法等の協議や研究成果の社会還元、相互理解等を図る。(p. 11)

 遺骨を材料として利用する「交流事業」だそうであるが、私にはまったく理解できない。「国民の理解」から一抜けた、である。しかも、これまでに何度も書いてきたことではあるが、「研究成果の社会還元、相互理解等を図る」ということも理解できない。(最近の国会答弁を視聴していて、政治や行政の用語としての「理解」とは、「支持」と置き換えられる言葉のようである。)歴史的に抑圧されてきたという先住民族が、なぜ「社会」――これは支配的社会を意味している――への還元が真っ先に来るのか。これも理解に苦しむのである。それで本当に「相互」の「理解」となるのだろうか?

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