AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

「人種主義の最も破壊的な側面」

人種主義の最も破壊的な側面は、モリセットが結論したところでは、白人の人種主義的信念を正しいと確認することで白人との社会的地位や名誉・名声など(respectability)の探究へと先住民たちを組み入れる、その力であった。

ラッスル バーシュ「人類学とインディアン-ヘイティング」『ウレシパ・チャランケ』No. 49(2015年6月)、13ページ。

 「国民のアイヌに対する理解度についての意識調査」は、果たしてこういう部分まであぶり出せるだろうか。「アイヌに対する国民の理解度についての意識調査」とする方が日本語的に分かり易いというだけでなく、リンク先に書かれている理由から見て、この標題そのものは適当なのであろうか。誤解しそうである。「アイヌ民族に対する差別の意識調査」としてはどうなのか。

"Separate but Equal - Doll Experiment (captioned)" posted by Captionists Rock at https://youtu.be/vG_N-Ja2x9c

"Doll Test" posted by DixonFuller2011's channel at https://youtu.be/tkpUyB2xgTM

子どもたちへの質問例:
・どちらの人形が黒い人形?
・どちらが白い人形?
・どちらの人形がかわいい人形?
・どちらの人形がすてきな人形?
・それはなぜ?
・どちらの人形が悪い人形?
・どっちの人形が醜い人形?
・それはなぜ?
・どっちの人形があなたに似ている?


 日本人は、アンケート好きのように思える。近頃は、政府のアイヌ政策関連会議に出ているアイヌの「代表」も、アンケート好きのように見える。予定されている調査で、どこまで被差別の深層意識が明らかにされるであろうか。

 これまでの「アイヌ政策推進」を見ても分かるとおり、アンケートや調査というのは、最も予算を付けて消化しやすい官僚的手法の一つであるようだ。そして、結果は恐らく、差別はないとは断定され得ないであろうし、激しい差別があるともならないであろう。その中間の結論が導かれ、アイヌ民族に対する差別の撤廃ではなく、「国民の・・・理解度」を増進するためにイランカラプテ キャンペーンや「扇の要」政策をもっと推進していくべきだということになり、そこに予算が配分されて消化されるのであろう。果たしてそれで、差別や偏見は解消されるであろうか。

 以下は、上の映画に登場するケネス B. クラーク(Kenneth B. Clark)が、National Advisory Commission on Civil Disorders(市民的騒乱に関する全国助言委員会)、いわゆる「カーナー委員会」で述べた証言の一部である。

I must again in candor say to you members of this Commission—it is a kind of Alice in Wonderland—with the same moving picture reshown over and over again, the same analysis, the same recommendations, and the same inaction.
私は、この委員会のメンバーである皆さんにもう一度率直に申さねばなりません。それは一種の『不思議の国のアリス』――何度も何度も映し出される同じ動画、同じ分析、同じ勧告内容、そして同じ不活動――であると。

「『アイヌ政策有識者懇談会』の政治学入門⑧」『先住民族の10年News』第161号より。

P.S.:それでもまぁ、政府がこういう調査を行うに至ったことは「画期的」と言う人もいることだろうから、調査に協力する人は、書きたいだけ書いて思いの丈をぶつけるのも良かろう。(書くこと自体が面倒だということもあるだろうけど。)