AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

貿易と先住民族の知的財産

 TPP交渉が「大筋合意」を見たからというわけではないが、無関係でもないだろう。7月7日からこちらに投稿しているある講演録から一部抜粋する。多分、来月中には印刷されて出るのではないかと思う。

 私がしたいと思っていたお話は、ジュネーヴとニューヨークで先住民族の諸問題に関する20年間の仕事の後で、なぜ私が国連を去ったのかということについてです。
(略)
世界貿易の文脈において、先住民族の権利の継続した侵害は、世界的な経済的結果を伴います。特定の国々への助成金供与あるいは利益供与という形での世界的な経済的結果です。先住民族の土地を奪うこと、あるいはその労働を搾取すること、あるいはその知識を盗むことは、先住民族の関心事にとって不当であるだけでなく、不当利得、不当貿易と私は呼びたいことを伴います。先住民族が損害を受け、しかし誰かが利益を得る。私たちはその損失がどんなに酷いかについて語ることに多くの時間を費やしますが、私たちは誰が得をしているのかに対処することを避けてきました。
(略)
北アメリカの私たちの何人もが、合衆国へのカナダの木材輸出品をめぐるカナダと米国の間の争議に関わることに協同で取り組みました。カナダは、木材の主要生産国です。米国もそうです。米国政府は、カナダ政府がカナダの木材会社に補助金、すなわち支払いを提供しているから、カナダの木材が人為的に安価であると同意しました。
 カナダの先住諸民族が、その事件に介入して、カナダの木材が安い本当の理由は土地が盗まれたからであると主張しました。私自身を含めて、環境と人権の弁護士の集まりが、カナダは先住諸民族の土地と樹木をその同意なしに、そして先住諸民族にそれに対する支払いをせずに譲り渡していることで国際法に違反したとだけ言うそれらの議論を用意するのに関わっていました。二つの興味深い意外なことがありました。最初の意外なことは、米国政府が賛成したことでした。米国政府は、これがこの事件に勝つ手助けとなる偉大なる方法であると突然気づき、そしてひとたび米国政府が賛成すると、米国の先住諸民族がその事件に興味をもって、なぜ米国は自分たちの樹木を保護していないのかと問い始めました。そういうわけでそれは、これが本物の争点であって、米国とカナダ両国が、ある程度まで、先住諸民族の土地を保護しないことから利益を上げているという意識を高めました。その特定の事件では責任があったのはカナダでしたが、誰もが木材以外の他の鉱物や資源に関して米国もまた責任がある複数の例を見つけることができます。二つ目の意外なことは、WTO、すなわちその事件を審理するために設立された争議解決委員団が、その議論を検討することに同意したことでした。それが政府によって行われなかったにも拘らず、非政府組織によって準備された適切な事実が検討されるということは、今やWTOの慣例の事なのです。そういうわけで、もし二つの国が銅輸出品について論争していて、両国のどちらかに位置している非政府組織がその銅がどこに由来するのか、そして多分どの先住民族がその銅を得るために強制退去させられたのかについて非常に多くのことを知っていれば、そのことは、WTOの委員団、すなわち判事たちがどちらの国がその貿易争議に勝つべきかを解くのに助けとなるから、判事たちが検討するべき事実とみなされます。それで、そのことは、少なくとも、問題の真の性質をその貿易委員団に提起して、お金が実際にどこへ行っているのかについて、貿易委員団と関係諸国の他の集団の意識を高めることができ得る手順の始まりです。人権と先住民族の権利問題を貿易問題の中へ持ち込んで、それを単なる人権の事件以上のもの、経済的事件へと転換すること、そして、それが結局、根底で、これらの事件の本質なのです。

 私が気になっていることは、北海道アイヌ協会が製紙会社と行っているそうである「交渉」である。交渉事であるがゆえにその内容は外に出ないのであろうが、いくつかの重要な懸念材料がある。(とまぁ、私が気にしてもどうってことはなかろうけれど。)