AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

強制移住と土地・資源(2.5):先住民族の権利に関する国連宣言 第28条

 P.S.(01.25):下に「面白い」と書きましたが、何がそうなのか、お分かり戴けたでしょうか。

Article 28

1. Indigenous peoples have the right to redress, by means that can include restitution or, when this is not possible, just, fair and equitable compensation, for the lands, territories and resources which they have traditionally owned or otherwise occupied or used, and which have been confiscated, taken, occupied, used or damaged without their free, prior and informed consent.

2. Unless otherwise freely agreed upon by the peoples concerned, compensation shall take the form of lands, territories and resources equal in quality, size and legal status or of monetary compensation or other appropriate redress.

市民外交センター仮訳

28 条 【土地や領域、資源の回復と補償を受ける権利】

1. 先住民族は、自らが伝統的に所有し、または占有もしくは使用してきた土地、領域および資源であって、その自由で事前の情報に基づいた合意なくして没収、収奪、占有、使用され、または損害を与えられたものに対して、原状回復を含む手段により、またはそれが可能でなければ正当、公正かつ衡平な補償の手段により救済を受ける権利を有する。

2. 関係する民族による自由な別段の合意がなければ、補償は、質、規模および法的地位において同等の土地、領域および資源の形態、または金銭的な賠償、もしくはその他の適切な救済の形をとらなければならない。

北海道大学アイヌ・先住民研究センター仮訳

第28条

1.先住民族は、自己が伝統的に所有し、又はその他の方法で占有若しくは使用してきた土地、領域及び資源で、その自由で事前の及び事情を了知した上での同意なしに、没収され、占拠され、使用され、又は損害を受けたものについて、原状回復を含む方法により、それが可能でない場合には正当で公平かつ衡平な補償によって、救済を受ける権利を有する。

2.関係する民族が自由に別段の合意をしない限り、補償は、同等の質、規模及び法的地位を有する土地、領域及び資源という形態、金銭的補償又はその他の適当な救済の形態をとらなければならない。

内閣官房仮(?)訳

第二十八条

1.先住民族は、自己が伝統的に所有し、又は他の方法で占有し、若しくは使 用してきた土地、領域及び資源であって、自己の自由な、事前の、かつ、情報に基づく同意なしに没収され、奪われ、占有され、使用され、又は損害を 被ってきたものについて、原状回復(又はそれが可能でない場合には公正、公平、かつ、衡平な補償)その他の手段によって救済を受ける権利を有する。

2.関係する民族が自由に同意する場合を除くほか、補償については、同等の質、規模及び法的地位を有する土地、領域及び資源という形態、金銭的補償という形態又は他の適当な救済という形態をとる。


 初めて、3つを並べて参照してみたが、面白いですね。

 第1回(2008年8月11日)のアイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会で配布された資料4:「先住民族の権利に関する国際連合宣言」の概要の3ページ、「4.宣言に盛り込まれている国に対する義務等の例」に、第28条2項は収められていない。「国家は・・・なければならない」と明示的に義務として書かれていないという理由からではないかと推測するが、「有識者」たちは、初めから土地の返還については議論の対象としなかったようでもある。