AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

強制移住と土地・資源(3)(w/ P.S.)

 今回は、先住民族の権利に関する国連宣言(以下、「権利宣言」)がどのように強制移住と土地・資源の問題を取り扱っているのかを見てみることにする。もっとも、「権利宣言」は全体を一つとして読まれるべきであり、他の条項の内容とも連関しているということを重要な但し書きとして付記しておきたい。

 前から見ていくことにする。「権利宣言」--すなわち国連総会--は、まず前文第6段落で、先住民族が「土地、領域および資源」(以下、「土地」と略記する)を植民地化されて奪われた結果、数々の歴史に特筆される「不正義」を被ってきたことに懸念を表明している。そして、そのことは、先住民族が独自の発展に対する権利を行使することを妨げてきたと追記している。
 第8条は、先住民族が集団として、そして個人として、強制的同化や文化の破壊に晒されない権利を有していることを明記しているが、同化や文化の破壊によるエスノサイドは、(多分)後述するように、土地の収奪と密接に関係している。これと関連して、同条2項は、5項目の事項に対して、国家が予防と救済のための「効果的な仕組み」を備えなければならないとしている。その中には、先住民族の土地からの退去を目的とする、あるいは、その結果を伴う行為、そして強制的な住民移転が挙げられている(bおよびc項)。因みに、e項では、いわゆる「ヘイトスピーチ」を含む、民族差別のプロパガンダへの対応が扱われている。
 第10条が、先住民族がその土地から強制移住させられてはならないことを明記している。移転が避けられない場合には、先住民族の「自由な、事前の情報に基づく同意」が必須要件となり、また「公正かつ公平な補償」と帰還の選択肢を含む合意が結ばれてからでなければならない。
 同条は、現在および未来の強制移住に関して述べていることと政府関係者は読むであろうが、正当な同意なき強制移住は、当然のことながら、土地の不当な剥奪を伴うわけであるから、以下の土地権条項と合わせて理解されなければならないことは明白であろう。

 先住民族の土地に対する権利は、軍事利用の禁止条項までを含めると、第25条から第30条で取り扱われている。

ここまでは、(2)を書いた時に(もう10日以上経つのか!)下書きしておいたものである。まだ、(2)の最後で書いていた「締めくくり」ではない。ここから先、書くか書くまいかと悶々としている。もう1つ、年末から書くべきか否かで悶々としているテーマがある。「慰安婦問題」である。かつて、ある場所で調査を行ったことがある。そこのある「特殊」な問題にまったく目が向けられていない。書き始めれば、簡単には終わらないことは明らかで、しかし、今以上に手を広げる余裕がないのである。

P.S.(01.27, 0:14):昼間に上の*のようなことを書いていたら、先ほど、このような一節に出くわした。

 アドラーは、(略)二つ以上の選択肢があっていずれを行おうかと迷い、決断できないという葛藤という事態を認めません。一見、ある行為(A)が自分にとって善であることを知っていながらそれを行わないということがあるとすれば、Aが善であることを知りながら行わないのではなく、それとは別の行為(B)がその時点で自分にとって善である、と判断しているからです。
(略)
 ある行為を選択する時点でその選択の責任はその人にあります。その意味でアドラー心理学は責任を問う厳しい心理学である、ということができます。(後略)


岸見一郎『アドラー心理学入門――よりよい人間関係のために』(KKベストセラーズ、2014年=17版)143-144ページ。