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――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

アイヌ遺骨返還訴訟、(部分的に?)和解成立(+P.S. 8つ)

北大がアイヌに遺骨返還 札幌地裁訴訟で和解成立
北海道新聞 03/25 17:58、03/25 20:05 更新

 北大が1930年代ごろ、研究目的で日高管内浦河町アイヌ民族の墓地から遺骨を持ち出したとして、同町出身で札幌市在住の小川隆吉さん(80)らが返還を求めた訴訟は25日、北大が遺骨を返還することなどで、札幌地裁(本田晃裁判長)で和解が成立した。

 訴状などによると、北大では医学部教授らが浦河町杵臼の墓地から遺骨を持ち出した。和解対象の遺骨は16人分。小川さんの伯父の遺骨と、身元が分からない11人の遺骨は受け皿となる団体に引き渡す

 北大が「個人が特定できる可能性がある」としている4人の遺骨は、北大が引き取り手(祭祀承継者)に名乗り出るよう呼び掛ける。

アイヌ遺骨返還訴訟で初の和解
NHK NEWSweb 03月25日 19時02分

道内各地に住むアイヌの人たちが、先祖の遺骨を北海道大学の研究者らに墓地から無断で堀り起こされたとして相次いで訴えた裁判で、大学側が遺骨を返還することで25日、和解が成立しました。
原告の弁護士によりますと、一連の裁判で和解が成立したのは初めてだということです。
北海道大学や前身の旧帝国大学の研究者らが昭和初期から学術研究のためなどとして墓地から収集した遺骨をめぐっては、道内各地に住むアイヌの人たちが承諾もなく掘り起こされたとして、遺骨の返還や慰謝料の支払いを求め相次いで裁判を起こしました。
このうち浦河町などの人たちが起こした裁判では、裁判所が和解を勧告し協議が進められてきました。
その結果、大学側があわせて12体の遺骨を返還したうえで、掘り起こした場所に埋葬し直す費用を負担することで25日、和解が成立しました。
また、弁護士によりますと、遺骨返還を求める一連の裁判で和解が成立したのは初めてだということです。
和解した原告の1人、小川隆吉さんは「ようやく遺骨がかえってくる。本当にうれしいです」と話し、また、原告で去年亡くなった城野口ユリさんの弟の山崎良雄さんは、「姉は和解成立の日を待ち望んでいた。きょうは仏壇にうれしい報告をしたいと思います」と涙ながらに話していました。
一方、北海道大学は「浦河町出身のアイヌの人たちが遺骨返還を求めた訴訟で、本日和解が成立しました。しかし、まだ係争中の訴訟もあるので、これ以上はコメントできません」としています。

 1分50秒の動画あり。

P.S.原告団お三方の記者会見の動画が、ここに公開されています。

P.S. #2(2016.03.26, 15:05):標題の「部分的に?」というのは、道新に北大がコメントを控えたと書かれていることからも分かるように、全部の訴訟のうちの「一部」という意味です。
 なお、本日、ここに「和解条項」が公表されています。

P.S. #3(2016.03.27, 1:00):既に見られたかもしれませんが、「さまよえる遺骨たち」ブログに記者会見の動画(新たに、コタンの会の代表と副代表――それぞれ清水氏と葛野氏――のお話)が次々とアップロードされています。
 さすがに多くの人の関心を呼んでいるようで、昨日のアクセス数は、久しぶりに賑やかだった頃に戻っていた。
 ところで、北大はコメントを避けたそうだが、北海道アイヌ協会は何か声明でも出したのだろうか??? どこのメディアも、コメントを取りにも行かなかったのだろうか。

P.S. #4(2016.03.27, 1:30):「訴訟費用及び和解費用は、各自の負担とする。」

 「和解条項」を読んだ。「訴訟費用及び和解費用は、各自の負担とする。」これだから、裁判所の敷居が高いと言われるのだ。市川弁護士をはじめ、弁護団は、ただ働きということのようである。
 一方で、北大の顧問弁護士(団?)は、北大からいくらの報酬を得ているのだろうか。彼/彼女(たち?)は、裁判の期間中、何をしてきた? 何かを立証する仕事をしたのだろうか? 公けの法廷でちゃんと弁論を行って、この問題の真相が何であったのかを明らかにしようとしたのだろうか。真理を探究する学問の府の弁護士(団)が―。
 裁判が始まった頃、北大の教職員組合(正式名は忘れたが)のような組織が、アイヌ遺骨の問題を学習するとかで集会を企画したと記憶している。1回だけで終わったのだろうか? その後、どうなっていたのだろう。
 北大の弁護士と訴訟の費用、等々は、税金と学生の納付金から賄われるのだろうか。
 Hey, life is not fair.

P.S. #8(2016.04.09):但し、私は、「明治以降の最大の歴史的出来事」と理解するまでには至っていない。

P.S. #5(2016.03.27, 14:00):

 「和解条項」の第6項には、次のようにある。

6 被告が、利害関係人に対し、第1項に基づき別紙1及び3記載の遺骨及び副葬品を引き渡したときは、被告は、引き渡した日から30日以内に、利害関係人に対し、第1項及び第3項による本件埋葬場所についての墓地の使用料及び埋葬に要する費用106万7600円を、(略)支払う。

 第5項に、埋葬後、「将来にわたり尊厳ある態様で維持管理する」とある。この将来的維持管理費に対して、国は何ら責任を負わないのだろうか。

 こちらと比較されたし。ヴァーチャルな「土葬」のために単年度の「調査等」や会議経費にこれだけ使っておきながら。

アイヌ遺骨等の保管施設の整備に向けた調査等 5,000万円 [新規] 【国土交通省
・施設整備予定地の調査・測量、土地造成設計等
大学が保管するアイヌ遺骨の返還に向けた手続等に関する調査研究 900万円

アイヌ政策推進会議の開催等に係る経費 2,700万円内閣官房

P.S. #6(2016.03.27, 23:55):Last but not least.

 読者は既にお気づきのことと思うが、過去にも旭川への「地域返還」の事例があるにせよ、上記道新記事の下線を引いた内容が非常に重要であり、かつ面白い点であろう。今回のこの返還が政府・「有識者」・北海道アイヌ協会の「民族強制の象徴空間」計画に今後どのような影響を及ぼすのか――他地域のアイヌ(団体)からの返還要求を誘発することになるのか、北大以外の、アイヌ遺骨を保有している大学の出方に影響を及ぼすのか、など――見定めたい。

P.S. #7(2016.03.28, 01:25):上で最後のつもりでしたが、読者が送って下さったので入れておきます。
f:id:Don_Xuixote:20160328012431p:plain
朝日新聞、2016.03.26)