AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

高橋はるみ知事、アイヌ民族への謝罪を検討中(w/ P.S.)

The Governor of Hokkaido Considers Apologizing to the Ainu People before 2018.

 現在は購読登録者以外には非公開となっている2015年10月30日の北海道新聞の「知事公約『北海道150年』何やる? 財政難、アイヌ民族軽視批判も」という記事によれば、道は2018年に北海道150年記念事業を予定しているそうで、その検討に着手したとある。その記事によれば、2018年が「開拓使が設置され、蝦夷地(えぞち)から北海道に改称された1869年(明治2年)から150年目に当たる」からということである。私はこれがまた現代の「アイヌ勘定」かと思ったのだが、「150周年」としていないところがミソなのであろう。2019年には知事として在職していないかもしれないのだな。この道新記事は、ここで読むことができる。

 ところで、高橋はるみ知事が、その「北海道150年」を機にアイヌ民族への謝罪を検討中であることがわかった。声明文の草稿を入手したので紹介しておきたい。

 1869年に明治政府は、この北海道の地に開拓使を設置し、8月には蝦夷地を北海道と改称しました。開拓使の使命は、この北海道の地で殖民政策を遂行することでした。私たちは今日、現在北海道として知られている地の150年を記念するために集いました。


 21世紀の行く手に横たわっている課題について、私たちが熟考し、準備しつつある時に、そうすることは適切なことです。しかし、前を見る前に、この道庁は、まず後ろを振り返り、それが行ってきたことについて反省しなければなりません。そうすることで、これがお祝い事どころではないということを理解するようにならなければなりません。むしろそれは、反省と熟考の時、悲しみに満ちた真実が語られる時、悔恨の時です。


 この道庁の業務がさまざまな時代に、それが奉仕することが意図されていたアイヌ民族の社会に深い害を及ぼしてきたという事実を、私たち自身が最初に理解しなければなりません。まさに最初から、北海道の行政は、日本の国家がその野望を、その進路に存在していたアイヌ民族の社会と人々に押し付けた道具でした。そういうことで、この機関の最初の使命は、開拓のためにアイヌ民族の居住地からの退去を執行することでした。脅し、騙し、そして強制力によって、偉大なアイヌ民族の人々と集落は移住させられました。


 国家がより多くの土地を求めて北と東へ、そして国境へと目を向けると、この機関は、アイヌ民族に降りかかったエスノサイドに参加しました。それは、単に競合する生活様式の衝突の不可避の帰結として退けることはできないということが認められなければなりません。この行政機関とその中の善良な人々は、その破壊的結果を防止する使命に失敗しました。それゆえに、アイヌ民族の生活とその偉大なる文化が大打撃を被ってきました。アイヌ社会の経済構造の破壊と行政による対策への依存の意図的な創出の後には、この機関は、すべてのアイヌ的なものの消去に取り掛かりました。


 この機関は、アイヌ語を話すことに対して圧迫し、伝統的な宗教活動の執行を禁じ、伝統的な文化活動を非合法化し、そして、アイヌの人々が自分たちが誰であるかを恥じるようにしました。最悪なことに、開拓使仮学校では、託された子どもたちに対して、感情的、心理的、身体的、そして精神的に同化という圧力が加えられました。研究の名の下に行われたアイヌ民族の遺骨の盗掘や人体組織研究にも手を貸してきました。道庁がようやく相互尊重という雰囲気の中でアイヌの人々の利益擁護者として奉仕しているこの時代においてさえ、これらの不正義の遺産が私たちにとりついています。恥辱、恐怖、そして怒りの心的外傷は、一つの世代から次の世代へと受け継がれ、アイヌ社会を苦しめるアルコール依存や希望の喪失に現れています。今日のアイヌ社会において経験されている弊害の非常に多くは、北海道の行政機関の失敗の結果です。貧困、低学力、低所得、そして高い医療ニーズは、この機関の任務の産物として存在してきました。


 そういうわけで今日、私は、何十年も後に、何世代も後に、アイヌの人々の生活を苦しめ、命を縮めるほどに酷い行為を過去に犯してきた行政機関の長として、皆さんの前に立っています。これらの事は、それを防ごうとした善良な心を持つ多くの善良な職員の努力にもかかわらず起こりました。癒しの開始が可能となるためには、これらの不正義が認められなければなりません。


 私は今日、日本政府に代わってお話をしているのではありません。それは国の選出された政治指導者たちの領域であり、私は、国の政治家たちに代わって話をしているというつもりはありません。しかしながら、私は、この自治体の機関を代表して話をする権限を与えられており、この後に続く言葉は、その全職員の心を反映するものと強く確信しています。


 この機関が過去に行ったことに対して私たちの深い悲しみを表明することから始めましょう。私たちは、これらの誤った行いとその悲劇的な帰結について考える時、私たちの心は張り裂け、そして私たちの深い悲しみは、あなた方のそれと同じように純粋で完全なものです。私たちは、この歴史を変えることができればと必死に願います。しかし、もちろん、私たちにそれはできません。北海道庁を代表して、私は、この行政機関の歴史上の行為に対して、この正式な謝罪をアイヌ民族の人々に行います。


 そして、今日の道庁職員がこれらの不正義を行ったのではない一方で、私たちは、私たちが仕える機関が行ったことを認めます。私たちは、人種主義的で非人道的なこの歴史と継承遺産を受け入れます。そして、それを受け入れることで、私たちは、物事を正すという道義的な責任もまた受け入れます。


 それゆえに、私たちは、この重要な仕事を新たに始め、私たちが奉仕する人々と共同体への新たな誓約、アイヌ民族社会にとっての更新された希望と繁栄という大義への、私たちがあなた方と共有する献身から生じる誓約を行います。決して二度と、嫌悪と暴力がアイヌに対して犯される時に、この機関は、沈黙を貫くことはしません。決して二度と、私たちは、アイヌ民族の能力がその他の民族の能力よりも劣っているという前提から政策が進められることを許しません。決して二度と、私たちは、アイヌの財産の盗みに共謀しません。決して二度と、私たちは、アイヌ民族の目的以外の目的に奉仕する偽りの指導者を任命しません。決して二度と、私たちは、悪印象を与えるアイヌ民族のステレオタイプのイメージが、政治の場を醜くしたり、日本国民をアイヌ民族についての浅くかつ無知な信念へと導くことを許しません。決して二度と、私たちは、あなた方の信仰、あなた方の言語、あなた方の儀式、そしてあなた方の様式の何ものをも攻撃しません。決して二度と、私たちは、あなた方の子どもたちに自分が誰であるかを恥じるようにと教えることもしません。決して二度と。


 私たちはまだ、あなた方の許しを請うことは出来ません。それは、この機関の歴史の重荷がアイヌ社会に非常に重く圧し掛かっている間は不可能です。私たちが実際にお願いすることは、共に、癒しが始まることを可能にすることです。すなわち、あなた方が郷里に戻った時、そしてあなた方が同胞と語る時に、どうかその人々に、死の時代は終わったと伝えて下さい。あなた方の子供たちに、恥辱と恐怖の時代は過ぎ去ったと言って下さい。あなた方の青年たちに、自分たちの怒りを自分たちの同胞への希望と愛で置き換えるように言って下さい。共に、私たちは、幾世代もの涙を拭わねばなりません。共に、私たちは、私たちの壊れた心が修復するのを可能にしなければなりません。共に、私たちは、自信と信頼をもって課題多き世界に向き合うでしょう。共に、私たちの未来の指導者たちが集ってこの機関の歴史を語る時、それはアイヌ民族にとっての喜び、自由、そして進歩の再生を祝う時であると決意しましょう。北海道庁が、将来に向けて、アイヌ民族の繁栄の道具として在ることを願います。

出所
私のコメント

P.S. (2016.04.01, 23:59):いやいや、驚いた。今日のアクセス数を見て、エイプリル フールかと思った(笑)。通常の数の約25倍!
 アクセス元を見ると、どうもツイッター経由で拡散したみたいだけど、私はツイッターを使っていないから、最後のリンク先までちゃんと正確に伝わったことを願うのみ。ツイッター、恐るべしだな。騙された方、本当に、笑って許して!

 世界の先住民族の動向に詳しいと自負している人なら、この声明の土台が何であるかはご存知でしょう。謝罪は、実際に2018年の知事の計画に含めるように働きかけるべきであり、また、さらに良い内容で実現することを願うものである。

 Please be reminded that the above article was posted on April 1.

P.S. #2(2016.04.03, 0:28):誰か、「知事がお目にかかりたいと申しております。――道庁秘書課」とか何とか、洒落た冗談のコメントを入れて来ないだろうかと期待していたが、中味もちゃんと読まずに騒ぐだけの読者――と言うより、通りがかりの通行人かな――には閉口した。そのうち、何が「悪質」なのか、ちゃんと活字で文章にすることにしよう。

P.S. #3(04.04, 1:20):コメント投稿欄が開かないというメールを読者から戴きましたが、こちらからは開くことが可能ですし、コメント禁止措置は取っていません。