AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

「アイヌ人骨・副葬品に係る調査研究の在り方」(その2)(w/ P.S.)

 こちらの記事のP.S. #3で言及したコメントの掲載許可が届いていたのだが、前述の通り、31日を過ぎていたので、私の預かりとしておいた。第7項目は既に取り上げたので、他の6項目をここに貼り込んで、それぞれに私の簡単なコメントを付すことにする。また、最初の7項目の掲載許可を送って来られた際に3項目を追加してこられたので、それも合わせて掲載して紹介することにする。

1)概要版を作る必要はなかった(本質的なことではありません)。
⇒よく理解するために2回は読みなさいということでしょう。私も2回読んだ気分です。そして、もう一度本文を読みながら、これは、実際にはまだまとまっていないのではないかと考えています。


2)「学協会」という用語は見慣れない、奇異な感じ。
⇒その通りですが、たしか、作業部会の議事概要やアイヌ協会のホームページの文書にも登場していたと思います。耳慣れない言葉を使用することで、不信感を増幅するということもあり得るでしょう。


3)「との指摘がある」など、直截な表現を避けている箇所がある。
⇒同感です。冒頭段落の修正案をご覧下さい。他にもありますね。


4)「概ね100年以内」という期間限定(近代主義)でよいのか。
⇒私もここの「古人骨」定義の記事で触れたことがありますが、議論の必要ありですね。しかし、北海道アイヌ協会(の幹部?)がその「近代主義」の思考様式に浸かってしまっている感じが拭えません。


5)「限定的に研究を行う可能性を有する」というのは篠田あたりが無理矢理ねじ込んだ感じ。
⇒(3)の①と②の各最終段落は、大いに問題があり、私が当事者なら、削除するべきだと主張します。これについては、執筆中の拙稿でもっと詳述する予定です。


6)「骨に含まれる分子分析等から…独自性を明らかにする」というのも篠田の主張が通っている。協会がアイデンティティの「客観的証明」に幻想を抱いて捨てられない。
⇒「先住民族」としての権利主張の戦略とも深く関わってくる重要な問題です。これについても、準備中の論稿でもう少し触れる予定です。

8)人体のうち人骨だけが問題とされているが、血液や尿、内臓組織などはどうするのか。
⇒「はじめに」の修正案に入れた通りで、血液その他の問題もありますが、一応は、いま話題の遺骨と副葬品のことだけに絞ったということでしょう。しかし、考古学者と自然人類学者だけの狭いスコープの文書となっており、またそれが、3つの「利益団体」による文書の限界とも言えるでしょう。


9)身元特定のための調査費用等はだれが負担するのか。
⇒読者への注:「このまとめというより今後のこと」ということです。


10)結局のところ、個人の身元が特定される遺骨はごくかぎられた数しかないことは協会も認めているはず。直接の祭祀承継者に対してしか返還しない(コタンの代表者ではだめ)ということであれば、仮に遺骨の研究利用に制限をかけるとしても、ほとんどの遺骨は宙に浮いたままになってしまう。それでも集約を進める意義はどこにあるのか。
⇒この質問に対して書いた私の返答は、特定の方のプライバシーに関係しそうなので、ここでの公開は控えます。それに、これは、それこそ「関係者」に直接お聞きした方が、分かりやすい答えが返ってくるでしょう。

P.S.(06.04):再度読み直すと、非常に重大な問題をいくつも含んでいることを改めて認識した。北海道アイヌ協会は、先住民族の権利なんてどうでもよいのだろうか。それを前提にすれば、そこそこよくできた文書だと言えるのだろう。

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