AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

北海道アイヌ協会の「国際先住民族の日記念事業」の一瞥(w/ P.S. 2つ)

 こちらでは連日の猛暑日の中で頭がのぼせそうになっているのであるが、涼しい北の大地では熱い闘いが続いているようである。久しぶりに現地からの報告を3本読んで、体内の血液の温度がさらに熱くなってきた。(一つ前の記事をしばらくトップに置いておきたかったのだけど、読者はもうお気づきだろうが、こういうふうに思っていると毎回のように書いておきたいことが現れる。)

 「先住民族の日」は「学者たちが『アイヌ民族のために』講釈を垂れる日」ではないと、昨日書いたばかりだったが、6日の「記念事業」ではそれに似たようなことが起こったように見える。
 先日、課題と争点の定義には権力関係が含まれているという主旨のシャットシュナイダーの言葉を引用しておいたが、結局、予想していたとおり、「これからのアイヌ人骨・副葬品に係る調査研究の在り方に関するラウンドテーブル(中間まとめ)」の中で「適切とは言えない取り扱いが少なからず見られた」(p. 1)と指摘されている遺骨と副葬品の研究材料としての扱いに関する現在の根本的な課題をパネリストたちは避けたようである。

 以下、「UNDRIPを軽視したアイヌ遺骨・副葬品研究は許容されない 平田剛士(寄稿)」からの引用である。

 2部構成のうちの第1部では、共催の各学協会2人ずつの会員研究者たち(いずれも和人)が、それぞれ自分の研究について約20分ずつのプレゼンテーションを行ないましたが、残念なことに、後半の第2部(パネルディスカッション「先住民族の権利に関する国連宣言に照らした今後の研究のあり方」)との連携がまったくみられませんでした。

 しかしこの日、両学協会に属する4人の発表者のなかで、UNDRIPや「中間まとめ」と自分の研究の関係に言及する者は皆無でした。そして、各プレゼンテーションを聞く限り、それらの研究がUNDRIPを「尊重」しているようには感じられませんでした。

 さらに、「フェアな引用をお願いします 植木哲也(寄稿)」は、学問・研究のあり方の基本的な課題を提起している。

 私としては北海道アイヌ協会からの2人のパネリストが何をどう発言したのかに関心があるのだが、同協会のホームページかどこかで公開されるかな?

P.S.(13:20):2人の読者から反応が届きました。私と同じような感想をお持ちのようです。

あの第1部の学者たちの発言を受けて第2部のアイヌ協会の発言がどうだったのか。何故あのような人選をしたのか。アイヌ協会のホームページには毎度のことながらその内容は出ないでしょうね。

ラウンドテーブルの中間まとめさえも無視するような発言が繰り返されて、アイヌが集約後の研究を一切許さないという気持ちにまとまったのだとすれば(もしかして主催者の意図が最初からそこにあったのだとすれば)、開催の意味はあったでしょう。

 後段については、2年前も「蜘蛛の巣トラップ」とかいう話題が出ていましたが、結局、アイヌ協会の意図はそこにはなかったようでしたから、今回もどうでしょう。今回の判断材料がないので、今のところ何とも言えないとしておきます。

ほんと、こういう研究者の報告を聞いた後でアイヌ協会の幹部たちが何を話したのか、気になるところです。

 せっかくのホームページですから、協会「幹部」の発言内容なり、当日のまとめ報告なりとともに、先住民族の権利に関する国連宣言に基づく主張を公開して欲しいものです。

 「従兄弟/従姉妹の日」の投稿を削除した。アクセスを増やすことが目的ではないし、この記事から周囲の別の記事を読んでもらえるという可能性もあるだろうが、多分大した意味はもたないだろう。この記事だけに来た人には、「血液から採取されたウイルスが注入されていたら」というシャレも伝わるまい。
 (過日、あるアイヌの高齢者の方から電話を戴いた時、「血は採られてないですか」と尋ねたら、「血かい? 採られてるよ、3カ月に1回」という答えが返ってきた!!

P.S. #2(08.11, 0:10):
 タイトルを変更した。直前に、あることを確認したくて北海道アイヌ協会ホームページを訪問した。そして、驚いた――と言うか、本当のところは、ちょっと呆れた。
 「新着情報」のトップに、「2016/08/10 New!!」として、「『これからのアイヌ人骨・副葬品に係る調査研究の在り方に関するラウンドテーブル』の協議による中間まとめをアップしました」と出ている。何で今頃!? せっかく立派なウェブサイトを作成していながら、なぜ「事業」の事前に読めるようにしておかないのだろう。これも業者の怠慢か? しかし、業者に指示を出すのは協会の誰かだろう。
 偶々、昼間に札幌の方とお話をした。「事業」に出かけて行ったらしいが、そこで「中間まとめ」を初めて見たらしく、やや驚いた様子だった。断っておくが、この方はアイヌ政策に無関心なフツーの人ではない。だから、このブログでも何回か言及したことがあるとお知らせしたのだが――つまり、この方もこのブログに関してはあまり熱心な読者ではないということをここで暴露せねばならないが――本当に「関係者からの意⾒を広く求め」る気があったのかと言いたくなる。「関係者」に私のような人間は入っていなくてもよいが、常日頃、政府の関連会議で「全国政策」などと言いながら、また、道外を無視していると言われかねないな。6日の「事業」が「一般に向け概要説明、意見聴取等も行な」った場とされている。以下、上記「新着情報」をクリックした先からの引用である。太字化は、追加。

北海道アイヌ協会、日本人類学会、日本考古学協会の三者によって昨年11月から設置された「これからのアイヌ人骨・副葬品に係る調査研究の在り方に関するラウンドテーブル」の協議による中間まとめが、今年3月に発表されました。

その後、5月13日開催のアイヌ政策推進会議にも報告された内容です。
8月6日の国際先住民族の日記念事業(当協会主催、日本人類学会、日本考古学協会共催)第2部では、一般に向け概要説明、意見聴取等も行ないました

 ついでに書くと、上記の参加者は、北海道アイヌ協会からのパネリストの主張は不明瞭で、同協会としての立場が良く分からなかったと仰っていた。先住民族の権利に関する国連宣言に沿ってと言われても、これまでに政府の関連会議で表明されている見解に変わりがないというのであれば、潜在的に支持を得られそうな人々でさえ、積極的に前に出ることを躊躇し、控えることであろう。